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40分授業の可能性をさぐる

 これまで小学校で採
用されてきた45分授業
が短縮されるかもしれ
ない。文部科学省は小
中学校の授業時間を見
直し、学校の裁量を拡
大する方向で検討を始
める見込みだ。今後は
江東区への影響も出て
くる可能性がある。す
でに区立小で40分授業
が実現している目黒区
に話しを聞きに行っ
た。【井川諒太郎】
 目黒区によると、1
コマ45分授業から5分
短縮することで、12
7コマ分の時間が生み
出せる。その時間で、
児童に興味関心がある
分野の個人探求に使っ
たり、特別支援学級の
児童との交流時間にあ
てたり、使い方は様々。
学校ごとに特色があ
る。子どもたちだけで
なく、教員の業務にも
ゆとりが生まれ、働き
方改革の面もあるとい
う。
 一方で、短縮授業実
現で懸念が広がってい
るのは、学力低下の可
能性だ。ただでさえ、
全国的に学力低下が叫
ばれる中、問題はない
のか。そんな疑問を目
黒区の担当者にぶつけ
ると「短縮授業にした
ことでよい結果が出て
いる」と強調する。全
国学力・学習状況調査
では、短縮授業校(研
究開発学校)と45分授
業の学校を比べ、この
5年間で全国平均より
も同等以上の学力つい
ている。理由について
「教員に余裕が生まれ
授業の研究をすること
で内容の質が上がった
ことがあるのでは」と
説明する。より効率的
な授業ができ、子ども
たちにも大人にもプラ
スに働いているという
のだ。
 目黒区の短縮授業取
り組みの歴史は古い。
始めは2002年で、
当時の校長の発案から
開始した。その後、年
々40分授業校が増加
し、昨年度までに区立
小17校(全22校)で導
入。2026年度をめ
どに全校で実施する方
向で進めている。
 興味深い結果だが、
長年時間をかけて取り
組んできたからこその
成果かもしれない。40
分授業で午前5時間制
にしたことから給食の
時間が遅くなり、保護
者から「子どもがお腹
をすかせている」とい
った否定的な意見が寄
せられているという。
これまでなじみのない
江東区ですぐに実現す
るにはハードルは高い
かもしれない。早い段
階からしっかりとした
議論・調査を進めてい
くことが重要だ。今後
の動向を注視していき
たい。

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