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少年ジャンプの元祖王道ラブコメ『きまぐれオレンジ☆ロード』の話

 先日、漫画家のまつもと泉先生が永眠されました。長年ご病気を患っていたそうでして、61歳という若さでの逝去。ご冥福をお祈りいたします。

 訃報が出た日、Twitterでは『きまぐれオレンジ☆ロード』と『鮎川まどか』というワードがトレンド入りしていました。『きまぐれオレンジ☆ロード』はまつもと先生の代表作、鮎川まどかはそのヒロインですね。

 これって凄い事だと思うんですよ。『きまぐれオレンジ☆ロード』って1984~1987年に週刊少年ジャンプで連載されていた漫画でして、87~88年にアニメ化もされているとはいえもう30年前の作品。『ドラゴンボール』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』みたいに長期連載ではなく80年代の数年間だけ存在していた作品にも関わらず、物凄い数の人が話題に出したわけですよね。

きまぐれオレンジ☆ロード

 最終巻の表紙ですね。僕はこの巻の表紙が一番好きです。ラストシーンは今でも印象に残ってます。

 僕は連載が終わる頃に生まれた人間でして、つまり現役世代ではない。でも僕この作品が大好きなんですよ。

 中学二年生の時、実家がJ-COMに加入しまして、地上波以外の番組が一気に観れるようになりました。それまでアニメも観てましたがポケモンだとかドラゴンボールだとかこち亀だとか有名な作品をなんとなく観ていただけだったんですが、J-COMにアニメ専門のチャンネルがある事に気付きまして。

 その時キッズステーションで『うる星やつら』、アニマックスで『きまぐれオレンジ☆ロード』がやってたんですが、この2作品にとにかくドハマりしてしまいまして(笑)

『うる星やつら』は圧倒的なギャグの連続でキャラクターがとにかく自由!監督が途中まで押井守さんだったので時々シリアスだったり怖い話もあり、1話1話がとにかく面白かった。

 そして『きまぐれオレンジ☆ロード』はもう甘酸っぱい!鮎川まどか、檜山ひかるの狭間で揺れる優柔不断の春日恭介の関係性が非常に良くて、この世界の中に入りたいとすら思わされました。

 僕が中学生の頃ってちょうど深夜アニメが増え始めた時期ではあったんですが、アニメオタクになったきっかけは完全にこの2作品だったんですよね(笑)

 ハマってすぐに古本屋を梯子して全巻揃え、何度も読み返しましたね~。今でも持ってますし思い出深い作品であります。

 ストーリーを軽くご紹介しましょう。主人公・春日恭介は先祖代々超能力者の家系であり、家族全員念動力だったり瞬間移動、入れ替わりや催眠術なんかも使えます。しかしそれは春日家だけの秘密でございまして、周囲にバレる度に引っ越しを繰り返してきました。物語はこの引っ越し当日にヒロインの鮎川まどかと出会うところから始まります。

 鮎川まどかは美少女なんですが一匹狼的な不良少女であり、慕っているのは舎弟の檜山ひかるだけ。しかし引っ越し当日、何も知らずに出会ったまどかは親しげで優しい少女であり、恭介は彼女の事が気になってしまう。

 しかしひょんな事からまどかの舎弟の檜山ひかるに惚れられてしまい、三角関係がスタートしていくわけです。

 漫画では中3~高3までの4年間、アニメ版では漫画の4年間を中3だけの1年間にまとめて作られてます。不良ですが愛嬌があって可愛く素直なひかるは恭介に純粋な愛情を注ぎ、実は恭介の事が好きなまどかは可愛い後輩に遠慮して素直な気持ちが出せないでいる。

 鈍感な恭介はその事にまったく気付かず(笑)時には超能力を使ってデートのブッキングなどの問題を解決し(字面にしてみたら最低ですが笑)、時には自身の超能力によって変な事件を起こしてしまいながらも恋愛関係を進展させていくという、本当に王道中の王道なんですよ。

 僕は世代ではないので歴史に詳しくはないんですが、ラブコメというジャンルが70年代の末期あたりに誕生し、先ほど名前を出した『うる星やつら』とかあだち充先生の『みゆき』などが大ヒットした。ジャンプはラブコメブームには若干乗り遅れていたらしいのですが、いよいよ本格的にブームに乗らなければという時に出てきたのが『きまぐれオレンジ☆ロード』だったらしいんですね。

 鮎川まどかの人気って物凄かったらしくて、大昔の1キャラがTwitterのトレンドになるくらいですからそりゃ凄いんですが(笑)当時の学生男子の好きな女性キャラクターといえばまどか。アニメ雑誌の表紙もだいたいまどか。当時おたくが出していたエロ同人誌もまどかだらけだったようで、今まで語られて来なかったから印象はなかったんですが当時はラムちゃんであったり朝倉みなみであったりと双璧をなすほどの人気キャラクターだったみたいなんですよ。

 でもその気持ちは凄くわかります。まどかって多分今でも通用するくらいのビジュアルでして。

 例えばこれとか可愛い。

 これとかはかっこよくていいですね。

 しかもこのビジュアルで声が鶴ひろみさんなんですよ(笑)もう完璧じゃないですか。ビューティーで芯がしっかりしてる鶴さんの声と本当にぴったりなんですよね。

 個人的には恭介が自己催眠にかかってまどかを襲う回で、最後にまどかが殴るふりして恭介の鼻をつまんで「許さないぞ♡」って言うシーンがあるんですけど、あの演技が最高すぎてヤバいんすよ(笑)

 あとキノコ狩り中にまどかが変なキノコ食ってエロくなる回とか、バレンタインデーで素直にチョコを渡せないからってバイトしているabcbという喫茶店でチョコココアをサービスして飲ませる回とかあって、意外と積極性もあって大変よろしいんですよね(笑)

 挙げればキリがないんですが普段クールなのに実はおばけが苦手だったり可愛い一面もあってですね、00年代のキャラでいうと誰が近いかな…『キミキス』の二見瑛理子がキャラ的に一番近いかもしれません。

 あと『きまぐれオレンジ☆ロード』って主題歌の映像が素晴らしいんですよね。4クールで3曲、『ナイトオブサマーサイド』『オレンジ・ミステリー』『鏡の中のアクトレス』という曲を使用してまして、YouTubeとかで検索したら出てくるんですが、とにかく映像がお洒落でかっこいいんです。

 1クール目の『ナイトオブサマーサイド』では、1秒にも満たない感覚で映像を切り替え続けてMAD感というかハイテンポ感を演出していますし、『オレンジ・ミステリー』では完全にミュージックビデオ。

『鏡の中のアクトレス』では最初猫のジンゴロが走るシーンからスタートするのですが、ジンゴロが走ってる途中にまどかのセーターの絵になり、そのまどかが恭介達と遊園地のコーヒーカップで遊んでるシーンから今度はそのコーヒーカップの取っ手をひかるが指で掴んで飲むという、映像で繋げて繋げてどんどん展開させていく今でもやらないような手法でオープニングを作ってるんですよね。

 これ本当にどこかで観てほしいんですけど、マジでお洒落でかっこいいんですよ。当時の『きまぐれオレンジ☆ロード』の立ち位置もなんとなくわかるんですよね。少年誌のラブコメだけど他と色合いを変えてたというか、かっこいいものを目指してたんだなというのがよくわかりますね。

 あとOVA版とか映画版の『あの日に帰りたい』とか小説版とかもあって、それぞれ違った魅力があって良いですよ。歌ではOVAのオープニングが一番好きです。

 今回は以上になります。まつもと先生が永眠されて、他の方々から話題が出てくるうちにいろいろ思い出しちゃいましたね。あの頃好きだった記憶。夢中になってた記憶。

 人間には死が二度訪れるという有名な話もありますが、覚えている、または思い出していくという事ってやっぱ重要だなあと思いました。

 …なんかDVDBOXとか買いたくなってきちゃったな(笑)書き終わった探してみよう。では今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!それでは。

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