闇夜の舟

闇夜の舟

澤 祐典
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大輪の美空に 
舞い散る花は
心かすめる
彼岸花

夢見る頃は
とうに過ぎても
思い出だけは
残されてゆく

ああ 旅路の果てで
目にするものは
何の罪とがもない安らぎか
わずかに香る気配

エンヤコラ 
漂う波間の舟は
雲の切れ間に 
月見るの? あああ

エンヤコラ
悲しい闇夜の舟は
この海こえて
何処いくの? あああ

やがて波が
我が子を抱く

飽くこともなく
流れる河は
滔々と流れる
わらべ歌

親しき友は
遠く離れて
哀しみだけが
逝きすぎてゆく

ああ 涙に暮れて
ぼやけた雨は
男の方にぽつりと囁いた
それは命の最期(おわり)

エンヤコラ
寄り添うつがいの鳥は
声のかぎりに
誰よぶの? あああ

エンヤコラ
さまよう闇夜の舟は
泣き濡れたまま
何処いくの? あああ

やがて空が
堕ちてくる

ああ 明日をも知れぬ
人の嘆きは
この白波に呑まれて
命果て 
ただ花燃ゆる世界

エンヤコラ
移ろう月夜の空は
何を照らして
微笑むの? あああ

エンヤコラ
悲しい闇夜の舟は
あてもないまま
何処いくの? あああ

やがて波が
我が子を抱く

そして
舟は消えて逝く

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