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2018年10月福島、浪江駅前<終>

<続き>

丸腰で帰還困難区域を歩くことは全く想定しておらず、体力的な疲れと同時に心にもドッと疲れが出て、丈六公園は満足に見ることが出来なかった。時間には余裕があったが、早く浪江駅まで戻りたいと思っていた。

丈六公園を出ると、すぐ傍に一風変わった美術館跡があった。

(「天○美術館」と書かれているが、読めない。思い切って入ってみる)

(「解体家屋」)

(奥は完全に廃墟と化していた)

この道の裏側では、帰還した人が犬の散歩をしていた。完全に不審者と化していた僕は、通報されないか気が気ではなかったw

(幸せの黄色いハンカチ? この家の人は戻ってきたようだ)

昨年11月にも来た場所。夕日に照らされて美しい高瀬川。何故か切ない風景。

コインランドリーラスカル。中を撮影しようと思ったが、人目があったため断念する。

向こうは双葉、大野、夜ノ森、そして富岡駅。まだ常磐線は動いてないが、線路は綺麗に整備されている。帰還困難区域である双葉駅は、既に改修工事が始まっている。

浪江駅へ向かう。5月に歩いた時とほとんど変わっていない。

(看板が崩壊し、崩れたまま)

(消防団の建物もそのまま)

(建物の中にまで植物が入り込んでいる)

(解体工事が進んでいると言うが、断固応じない人もいると聞く。心情はよくわかる)

浪江小学校。5月に訪れた際は校庭はもっと荒れていた。最近草刈りが行われたのだろう。

駅前だが

人影はない。

浪江駅に着く。いろいろと今回も疲れた。でもいろいろと見ることが出来た。

0.223μSv/h。5月とほとんど変わってない。

帰りの代行バスは最高3.34μSv/hだった。

日が暮れていく。感慨深い風景だ。

いわき駅は賑やかだ。数年前より景気は悪いようだが。もう一泊したかった。また来よう。

特急ひたちで帰ります。特急料金もっと安くしてw

(今回歩いたルート。酒井地区だけ飛び地のように帰還困難区域になっている)

まさか帰還困難区域を防護服もなしで丸腰で歩くとは思っていなかったが(本来は禁止です)、なかなか貴重な体験をしたし、これこそが徒歩でまわる醍醐味だと思ったりもする。狭い範囲しか回れないけど、細かいところまで追えるのはやはりいいと思った。「歩いて通れる帰還困難区域」を知ってしまったので、後日新しいガイガーカウンターを片手にまた訪れようと思う。

自分の足で現場を歩いて見えてくることは山のようにある。インターネットの普及で情報は世間に溢れるようになったが、その弊害で、現場を見たことも聞いたこともない奴が知った風な口をきいて、あっという間にフェイクが拡散していく。僕は徹底的に現場にこだわっていきたいと思う。そして、自分のできる手段でメッセージを伝えていきたい。

<終わり>

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