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2019年4月富岡浪江取材 寂しい桜

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<続き>

取材2日目は浪江町へ向かう。朝5時に起きて、いわき駅6:12発の電車で出発する。富岡駅6:55発の代行バスを逃すと10:25発までないため、こんな朝早く起きざるを得ない。

(早朝の代行バス。お客さんは少ない)

(線量計はドリンクホルダーに)

代行バス出発。車窓の風景は、初めて走った2015年5月からほとんど変わっていない。この廃墟も相変わらず。オーナーの居所がわからなければ、取り壊しは難しいだろう。

(道路脇にフレコンバッグが並ぶ)

(上がり始める)

大熊町は未だ空間線量が高い。印象としては、双葉町よりも大熊の方が高い。

動画撮影中に撮ったもの。帰還困難区域通過中に空間線量が最高値を出す場所も大体憶えてしまった。この日の行きのバスでは、この値が最高だった。

(どうしても撮ってしまう場所)

(昨年5月の時点では、ここにフレコンバッグはなかった)

4μSv/hなんて数字を見てしまうと、この程度ではもう驚かない。バスの中だし。

六国を走る代行バスでは、いつも最高4.5μSv/h前後の数値が出る。友人の写真家の方が車を止めて測ったところ、車内で8μSv/hを超えた。六国ではいつもそれくらいの数値が出る。しかし車に乗っていれば、そこからすぐに離れることが出来るので、それほど怖いとは思わない。

僕は基本的に歩いて取材しているので、2〜3μSv/h程度で推移している区間を歩くときのほうがよっぽど怖い。浜通りは基本的に乾燥していて風が強く、土埃や塵がたくさん舞うため、それを吸い込んで内部被曝する方が怖い。そして、現地を知らない人がよく「線量が高くてもそれはホットスポット」などというが、1μSv/h以上のエリアは広範囲で存在する。関東で言う「ホットスポット」は0.23μSv/h以上の場所を言うものだと思うが、17年に避難指示が解除されたエリアでは0.5〜1μSv/hが普通で、ホットスポットといえば2μSv/hを軽く超える。

浪江駅到着。絵本「楽園」の浪江駅のシーンでは、実は自動販売機を割愛している。

早朝の代行バスは乗客が少なく、線量計も気兼ねなく出すことが出来た。この日は、帰りの代行バスで酔っ払いに喧嘩を売られた。自らのミスもあったが、苦々しい体験となった。細かいことはあとで触れようと思う。

「みんなでともに乗り越えよう 私たちの暮らしの再生に向けて」
大切な言葉。しかし実際は、「乗り越える=都合の悪いことは無視」してるように見える。

(解体された家は、フレコンバッグへと変貌を遂げる)

(町工場の廃墟)

特に「解体家屋」と書かれた張り紙もなく、この中華料理屋は今も浪江駅前で原発事故の不条理を訴える。地震による被害も少なく、津波の被害も受けていないのに。

(この先は南相馬の小高駅。小高にもいずれ宿泊してみたい)

元原発作業員、Kさんに教わった宿泊もできる食事処「いふ」。いつか宿泊してみるかな。

まずは昨年5月に訪れた正西寺を目指す。感度の悪いエアーカウンターSで3.3μSv/hを叩き出したホットスポットが今どうなってるのか、より精度の高いガイガーフクシマを携えて向かう。

(廃工場)

去年5月に訪れた時の記事を見た人なら気付くと思うが、季節が違う(植物が違う)ということ以外は、驚くほど何も変わっていない。震災直後のまま、時間が止まっている。

(廃屋が並ぶ)

(そんな廃屋の脇に、運転代行サービスがオープンしていた)

(ここも廃屋。そんな場所に綺麗に桜が咲き誇る)

還る人のない家に、見る人のない寂しい桜。その先にはフレコンバッグの仮置場。

(ここも昨年5月と何も変わってない)

この後、正西寺にたどり着く。去年5月と変わらず、寂しくそこに鎮座していた。

<続く>


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