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2019年夏、浜通り取材 解体に向かう富岡第二小

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<続き>

引き続きうだるような暑さの富岡を歩く。

前回、「緑の放射線管理区域」とタイトルをつけたが、これは大げさでもなんでもなく、実際にそのレベルで汚染されている。富岡のふたば診療所の前を歩くととても不思議な気分になるが、おそらくあの診療所の中にある「放射線管理区域」の方が、管理されているという意味で安全だろう。

しかし放射性物質は目に見えない。臭いもしない。傍目には、人がいなくなったことで自由を謳歌している大自然しか目に入ってこない。

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(凄まじい緑だ)

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お城のような家。ここには住人が帰還しており、工事が行われていた。

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こんなところを歩く人は滅多にいない。時折通り過ぎる車の運転手からは訝しげな視線を送られる。その度に僕は挨拶をしてやり過ごす。

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(ソーラーパネル)

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(なんて立派な木だろう)

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あの森の中を線量計を持って歩きたい衝動に駆られる。どれだけの放射性物質が除染もされずに残っているだろうか。富岡町は「除染完了」とされているが、それは住居周辺に限っての話だ。山林は除染されておらず、木の上から放射線が降り注ぐ状態となっている。線量計をかざせばわかることだ。どこもかしこも「地表面の方が空間線量が高い」と考えるのは現場を知らない証でもある。

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この家も帰還している。どのような想いで帰ってきたのか、聞いてみたい気もする。

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(常磐線は今年度末の全面開通に向け急ピッチで工事中)

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様々な人の思い出を解体して、夜ノ森駅はどんな駅舎に生まれ変わるのか。

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そして富岡第二小学校。体育館の扉が開いている。中の片付けが始まったようだ。富岡第一小、第二小中学校の3校は、東京五輪の聖火リレーに備えて解体が決まった。テレビ中継に廃墟が映り込まないようにという“配慮”。復興五輪までに復興は見かけだけでも為されなければならないのだ。それがたとえ偽りであろうとも。

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ポツンと置かれたピアノ。被曝ピアノと言うべきか。中の汚染度はどの程度なのだろう。

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(これも皆、放射性廃棄物か…)

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学校の周りをまわってみる。

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時期が時期だけに、凄まじい緑が侵食していく。

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「売地」の看板が目立つ。しかし誰が買うのだろう。こういう土地は、国が責任を持って買い取るべきではないのか。

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学校給食センター。

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(この中はそのままか)

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(アスファルトの隙間から伸びる雑草。校舎の向こうの校庭はどうなっているのか)

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(ここも五輪までには解体されるのだろう)

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(大切に整備して乗っていたであろうクラシックカーも放置されたままだ)

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「売物件」「売地」この二束三文に成り果てた土地で新しく住処を構える人は現れるのか。工場でも建てられそうな広さだ。

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校庭側に周った。この暑い時期に浜通りを訪れたのは初めてだが…すごい緑だ。

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緑の海だ。

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↑2017年11月。四季折々の表情を見せながら、多くの人々の思い出に生きてきた富岡第二小は、東京五輪の体裁を保つために解体される。

<続く>

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