音楽タウンに移住した話

音楽タウン。移住してわかった町の魅力を紹介します!

ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*

朝、6時ぴったりにチャイムが鳴ります。

もっと寝ていたい私には心地よい音なのですが、このチャイムを目覚ましにしている人にはどう聞こえているのでしょう。

ウワサによると、この町で暮らしている天才が作った音らしいです。作曲家なのか、天才ってどんな人なのか、お会いしてみたいです。

プロの演奏家しか暮らせない町だと思っていたので、私のような部活レベルでも住めると聞いてすぐに移住を決めました。

ちなみに私はフルートを少しだけ吹けます。フルートが出せる音を全部鳴らせないくらいですが、いつか、オーケストラの一員になって町の中心にあるホールで演奏したいと夢みています。いつかだけど、ここで生活を続けていたらかなう気がしてくるのです!

その、町の中心にあるホールは、夕方、町中に響き渡る荘厳な音色の大きな鐘と、礼拝で讃美歌を奏でるパイプオルガンが美しい、音楽タウンのシンボル。ここで演奏するのが夢という人も多く、特にクラシックの演奏家さんからは聖地と呼ばれているそうです。

私はよく礼拝に行くのですが、このパイプオルガンで讃美歌を歌うと、心が洗われて神聖な気持ちになるのでオススメです。

まだコンサートには行ったことがないので、宇宙のようなスケールを感じる音響と評されているこのホールで、早くオーケストラの演奏を聴いてみたいです。"迫力のある音楽を浴びる"とは、どんな感覚なのでしょう!

ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*

晴れている日には、楽器と譜面台を持って外で練習することもあります。プロの人が素晴らしい演奏をしている近くで音階を練習していても、この町の人は誰も嫌な顔をしないんです。万が一嫌なことを言う人がいたら、なんと罰則があります。

町民規則第3条:音楽をこころから楽しんでいる人に対して否定的な言動をした者は、

①レッスン250時間 ②町内にある全ホールで演奏会を鑑賞のうち、いずれかまたは両方を科す

と記載されていました。

音楽が好きでこの町に居ることを思い出すためなんだとか。初心にかえりなさいということですね。罰則なのに、なんだか羨ましくなってしまうのは私だけでしょうか。

そんな環境ということもあって、はじめは楽器を遠慮していたのですがその必要はないようです。好きなとき好きな場所で好きなだけ楽器を吹けるなんて、贅沢ですよね。以前暮らしていた村では、場所も時間も気にしながら音を出していましたから。

同じマンションに、レッスンしてくれるフルーティストの方がいらっしゃるようなので、訪ねてみようかなと思っています。レッスン料はそれなりみたいですが、プロの演奏家さんから直接習えるなんて凄すぎませんか?!コンサートでオペラグラスを使わないと見えないような人に会えると思うだけでドキドキしてきます!

これもウワサですけど、3食おいしいごはんを作ってお届けすると無料レッスンしてくれるプロの演奏家さんもいるそうです……

ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*

この町に来て、私が特に楽しみにしていたのは、「誰でも初見で演奏会」です。学生の頃にみんなで演奏した楽しさが忘れられなくて、合奏したいなと思っていました。ここへ来る前、アマチュア楽団の体験に行ったらみなさんとても上手で、基礎練習にもついていけなくて、居づらく感じて入団できませんでした。だから、これを知ったとき一瞬、その体験が頭をよぎりました。また上手な人の集まりで入っていけないかもしれない。

でも合奏したい!という気持ちが大きかったので行ってみました。

懐かしい吹奏楽曲を7曲吹きました。チューニングだけしたら、初見で1曲通しちゃうんです。もう最高に楽しかったです!昔から初見大会が大好きなのでテンション上がりっぱなしでした。合奏っていろんな楽器のメロディに自分も溶けこんでいく感覚がなんとも言えないんですよね……

「誰でも初見で演奏会」は、上手い下手より、とにかく初見演奏を楽しむものなので、その日の曲目リストに演奏したい曲があれば誰でも気軽に参加できるのが良いと思います。敷居が低いと入りやすいですし、合奏したいけど基礎練習は嫌いな人にも向いています(笑)。私もその口です。内緒です。でもそういう人、いっぱいいるみたいです(笑)

もちろん、演奏を引っぱってくれる奏者の方々もいるので、曲が崩壊する心配はいりません。人気のプログラムのため、全パートが必ず集まります。途中で譜面を追えなくなっても、わかるところが来たら音を出せば良いのです。希望すればスコアも貸してもらえますよ。

合奏の楽しさを気軽に体験できるので、ぜひ参加してみてもらいたいです!「演奏会」ではあるので、聴きに行くという楽しみかたもあります。本当に、好きなように自由に音楽を楽しめるのが、この町の魅力です。

ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*

マンション内には、ホテルさながらのラウンジがあり、小さな演奏会が毎日何度も行われています。

私は15時の回に手作りのお菓子を提供しています。ちょうどおやつの時間ですから、日替わりで、ふわふわのシフォンケーキやあんずジャムに合うスコーンを焼いたり、昨日はなぜかご近所さんにバナナをたくさんいただいたのでバナナパウンドケーキを振る舞うことができました。音楽とお菓子を楽しむ時間は私も大好きなので、お菓子を作っていると無意識に鼻歌をうたっていることがあります。

私はおっちょこちょいで、たまに焼菓子を焦がしてしまうのですが、そんな時のために、牛乳と混ぜるだけの即席デザートの素を常備しています。それがおやつの日は私が失敗したってことは今のところバレていないようですが、時間の問題です……

お飲み物は、紅茶とシャンパンをご用意します。こどもはもちろん、大人にも好評な週替わりのジュースもありますよ。今週は、"オペラde果樹シリーズ"のりんごを2種類ジュースにして、飲み比べできるようにしました。魔王を聞いて育ったりんごと、カロミオベンを聞いて育ったりんごです。

優雅なティータイムを過ごしましょう!

ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*

音楽タウンは「1日」という概念を忘れそうになる不思議な町です。

私は真っ暗な夜に寝ていますが、夜の森でアイデアが浮かぶ作曲家さんや、星あかりのなかトランペットを吹くことで有名な演奏家さんもいます。夕焼けが朝焼けの人もいますし、朝焼けが夕焼けの人もいます。どちらも綺麗なグラデーションで、朝でも夕方でも、もうどっちでもいいです。

ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*

寝る前の楽しみは、「星空の音」です。その日の空の音が鳴るもので、屋上にあるソファーやハンモックに寝転びながら癒しのひとときを過ごせます。

星の音は、0等星に近づくほど高い音になり、遠くにある星は小さな音で表現されるので、星の位置によって奥行きのあるメロディが創られます。メロディは不規則で、長調だったり短調だったり、何時間聴いても飽きません。最近では、木星と土星が接近しましたが、そのときはホルストの「土星」を彷彿させるような音が降ってきました。

この星空の音は自然が創るものですから、人間は手を加えられません。天候によって、遠くの星の音が届いてこなかったりマイナス2等星くらいのキーンとした音が聞こえる日もあります。この町に来るまでは、星に音があるなんて知りませんでした。

あと、一瞬しか見えない流れ星の音を聞けると願いがかなうと言われています。なかなか聞こえる音ではないそうです。流れ星の音が聞こえたというアマチュアのピッコロ奏者さんが、あのホールでソリストをつとめたというのは有名な話です。

願いがかなうというのは、ラッキーなことが起こるわけではなくて、努力の先にある夢を後押ししてもらう感じなのだそうです。ただ単に、上手になれますように、オーケストラのメンバーに選ばれますように、と願っていても流れ星の音は聞こえない。

聞こえるべき人に聞こえる特別な音なのでしょう。

ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*ーーーーー*

いかがでしたでしょうか。音楽タウンに移住してきた私の日常を切り取って紹介してみました。

わくわくしてきた人には本当にお勧めの町です!!


あれ、働かなくていいの?と思われたかもしれませんね……それはまたの機会に……。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!