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殿堂ゼロ王決定戦決勝戦 解説・考察

※この記事は殿堂ゼロ王決定戦決勝戦のネタバレを含んでおります。
まだ動画を観ておらず、ネタバレされたくないという方は、一度視聴してから読む事を推奨します。
(もっとも観られていないという方はおそらく現時点でかなり少数ではあると思いますが)

それでは本編に参ります。


本編

対面相性としてはダッカルパラノーマルvsジャックオービーメイカーに関しては筆者がそもそも想定していた対面だったので当然ダッカルパラノーマル側が有利ではありますが、では完全に有利なのかというと実はそういう訳でもありません。
有効なメタカードが3種入っているとはいえ確実に引けるものではないというのはそうなのですが、《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》も《希望のジョー星》も《凄惨なる牙 パラノーマル》もいつでもプレイさえできればジャックオービーメイカーが機能停止するというわけではないからです。

パルテノンもジョー星も確かに貼れれば相手の《十番龍 オービーメイカー Par100》の展開を止める事はできますが、相手の場に既にオービーメイカーが出てしまうと貼っても手遅れになっていることが多いからです。
ダッカルパラノーマル側にとってオービーメイカーのシヴィルカウント能力自体はそこまで脅威にはならないのですが、オービーメイカーのパワー19000とQ・ブレイカーが単純に重くオービーを止めるために最低でも1枚以上のカードの消費を強要させられるというのは序盤のリソースの無いギャラクシールドデッキであるダッカルパラノーマルにとってはかなり辛いものになります。
もちろん《護天!銀河MAX》で手札に戻す事で対処する事はできますが、またコスト軽減とジャック等の効果を用いて場に出てくるクリーチャーを手札に戻すことを4マナを払ってまでやる事かというとあまりやりたいことでは無いです。
なので場に出てしまうとシールドから銀河MAX+αのトリガーを踏む前提のプレイを強いられることになるでしょう。

なんだかんだ下位互換になったもののウォルナⅣより環境で活躍していた気がします

パラノーマルに関してはいつ貼っても効果的ではあるのですが1枚だけだとパワー3000以下のクリーチャーは封殺することはできますが、《ベイBジャック》などのパワー3001以上のクリーチャーを封殺する事ができずブロッカーがいなければ即ロックを解除されてしまいます。(GRであえて《ウォルナⅣ》の完全下位互換であるワイラビⅣが入っているのは殿堂ゼロ環境の殴り合いではパワー4000ラインが重要だというものが理由なのですがこういうところでも刺さるので意外と大事だったりします)
なので完封するのにはパラノーマルを2枚貼ってロックする必要がありますが、他のメタカードと違って貼ったら終わりの維持管理不要なカードでは無いため、貼ってから維持をしなければいけないのでパルテノンやジョー星、ブロッカーが基本的には併用しなければならないと案外メタカードがあれば必ずしも勝てるというわけでは無いのです。

どう足掻いても単体では運用ができないが刺さる相手には一撃で完封させる強烈な制圧札

とここまでダッカルパラノーマル側も完全有利ではないと書いてきましたが、オービーメイカー側はどうかと言うと不利でありますし、ダッカルパラノーマル側がメタを展開する前にこちら側の盤面をパワー3001以上で形成しなければなりませんが、それ以外にも達成しなければならないことがあります。

それは零龍の《復活の儀》の達成になります。

確かに盤面をパワー4000台のクリーチャーとオービーメイカーなどで盤面を形成し殴っていけば勝てそうですし、実際勝てる試合も出てきます。
しかし、オービーメイカーで4枚シールドをブレイクするなどしてパラノーマルが2枚以上貼られるなどの厚いカウンターを食らったら最後、オービーメイカーしか場に残る事ができるクリーチャーが無い為、オービーメイカーが対処されたらそのままゲームに敗北してしまいます。

ただそれは何の策を練らないで殴った時なので対策していれば即敗北にはなりません。
負ける条件が場にクリーチャーが定着しなくなるという事であれば、オービーメイカー以外に場にパラノーマルがあっても離れないクリーチャーがあればゲームを続行できるということになります。

インフレで薄れがちですが場を離れない全体除去持ちのフィニッシャーは今でもオーバースペックです

つまり《零龍》を卍誕させてしまえば、相手の強固な盤面とパラノーマルの盾をも吹き飛ばしながら一生相手にブロック要求させる事ができるようになり、不利を一気に捲る事ができるようになります。
勿論、卍誕したら勝ちというわけではありませんが少なくともギャラクシールド側の要求値を大幅に上げる事とこれを想定したプレイングを強いらせるという意味では名に恥じぬ最終手段であると言えるでしょう。

この最終手段を実行するためには零龍降臨の儀を当然4つ達成する必要がありますが、《手札の儀》は自然に達成できるとして《墓地の儀》《破壊の儀》はパラノーマルが貼られると自動達成する事ができます。
しかし、《復活の儀》だけは《樹占の風》が墓地にある事は最低条件ではありますが、場にフシギバース元のクリーチャーがいないと達成できないのでパラノーマルを貼られてしまうとフシギバースが一生達成できなくなります。
なのでジョー星パルテノンを貼られる前にオービーメイカーを立てるのを優先するのは当然なのですが、パラノーマルで盤面が消される前に《復活の儀》を達成する事も安全にフィニッシュするといった意味では必須になります。

その為、オービーメイカー側は見た目以上に要求される動きが多くプレイングとデッキ構築の時点でかなりの負担を強いられることになります。
ダッカルパラノーマルの対面を想定しているのであればどんな対策をすれば良いのか事前に用意できるのですが、まず想定される対面ではないので今までやってきたデュエル・マスターズのプレイングと普段使わないカードの動きの知識を要求されるのでかなりオービーメイカー側のプレイヤーに頭を抱えさせる対面だと思います。

ジャックオービーメイカーの中で1番イカれる動きをするといっても過言ではないカード

以上がこの対面についての対面相性等になります。
正直細かいところまで詰めていけば書ける事はさらにあるのですが読者としても筆者としてもかなり負担になる量になるのでここまでにしておきます。

ではここからは試合内容について触れてきます。

動画内容について

動画自体が1時間を超えるほど大ボリュームのため試合に大きく関わってくる部分のみ焦点を当てて解説していきたいと思います。

1本目(動画時間2:40~15:20あたり)

先攻3ターン目

後攻2ターン目パルテノン設置によって先攻3ターン目オービーメイカー+αの盤面ができなくなってしまった以上《S級原始サンマッド》によるアグロルートを使うことで詰めに行く事になりましたが1/6のハズレである《クリスマⅢ》を捲ってしまい大きく崩れることになりました。(クリスマ自体にも破壊の儀達成補助の上振れ要素としての運用もあるので仕方無いのですが)
この場合リカバリーとしては殴るための打点維持の自壊無しか次のターンの展開のための自壊してマナ加速+回収になりますが、結果論としては自壊させてオービーメイカーを回収するべきだったかなとは思います。(次のターンパラノーマルで崩壊するのでこのプレイをしても結果は変わりませんが)
というのもクリスマ自体はパワー3000の為、パラノーマルで破壊されることからワイラビウォルナのような打点運用ができないのと《陰陽の舞》がマナにあったので1コストクリーチャーか《ダンディ・ナスオ》のいずれかと組み合わせればオービーメイカーが4マナで出せるルートがあったからです。
仮にオービーメイカーが出さない状況になったとしてもパラノーマルに屈しないクリーチャーを探しに行った方がクリスマを残すより目は太かったと思うので自分ならそちらを取るかなとは考えます。(一応《ソイソイミー》とベイBジャックが回答になりうるのでそこから先の選択肢もかなり分岐していたかなと感じます)

後攻5ターン目

この時点で後攻3ターン目に打った《シナプス・キューブ》の山札調整のカードが2枚トップにある状態だったのでパルテノンで1枚掘ってからシナプスキューブを撃つ事により見えていないカードを3枚にする事で山札調整の効率を上げていました。
この時上から《緑知銀ダッカル》、《絶対の楯騎士》、パラノーマル、《水上第九院 シャコガイル》の順に積んでいたので次のターン確実にアドを取りながらパラノーマルを再展開できるようにはしていました。(実際は先攻6ターン目に銀河MAXをトリガーして楯騎士を置いたのでその動きをやる必要がなくなったのですが)

残りはパラノーマル2枚体制とダッカルジョー星までロックを決めていたので動画の尺的にも画的にも勝ち確だった為殴りに行ったという展開なので割愛します。

動画内で最も推されててデッキ採用決まったのも最後だったので影の主役と言ってもいいのかもしれない

2本目(動画時間15:20~39:45あたり)

後攻3ターン目

パルテノンが引けなかった為、オービーメイカーの着地を許してしまったのでサンマッドなどの展開を許さないためにジョー星を貼りましたが、実は銀河MAXの効果を両方使えるようにしてシールドの受けの解答を増やすといった点では実は貼らなくても良かったのではという場面ではありました。
あの場面だとどちらにせよ《ベイBセガーレ》がいたので《光魔の鎧》が場に出ない事から貼りましたが後々これがこちらの展開をも苦しめる要因になりました。(今考えても多分貼った方が目があるとは思いますが実際のところは分かりません)

後攻4ターン目

《ブレイン・ストーム》で楯騎士と銀河MAXを仕込んでいたのでヘブンズフォースダッカルをしてシナプスキューブまで行きたいところだったのですがジョー星が展開されているとダッカルの効果が自身に刺さりプレイできなくなるといった事から先にシナプスキューブ撃つことで楯騎士が連鎖しないかお祈りすることに。
楯騎士、銀河MAX、銀河MAX、パラノーマルの順で上から積みましたが、パラノーマルで除去できるクリーチャーも相手の場にいませんでしたし、銀河MAXを楯騎士の上に置いて《正義全帝》をシールドに置いた方がかなり受けとしては強かったのでプレイミスをしたなと思います。(正しくは楯騎士、銀河MAX、パラノーマル、銀河MAXと積むべきでした)

この後かなり長考する要素はあるのですが積み方をここまで間違えたり、先攻6ターン目にヘブンズフォースをトリガーした時のダッカル誘発忘れしたせいで負けるべくして負けたといった展開だったので割愛します。(盤面を返すためにはブロッカー+パラノーマル2枚貼りした上でオービーメイカーを除去することが最低条件かつ零龍の攻撃も耐えなければならないかなり高品質の解答を求められていました)

3本目(動画時間39:45~1:04:00あたり)

後攻4ターン目

ナスオの攻撃してきたタイミングでダッカルでブロックするべきかどうかといった選択を迫られていましたがあれはブロックすると裏目が多かった為通しました。
というのも次のターンジョー星の展開も狙っていたのですが、そうするとダッカルのコスト上昇ロックが自分にも刺さるのでサンマッドで除去してもらう分には、使えるマナが増えて展開が更に出来るようになるので、パラノーマルで焼けるナスオをブロックしてベイBジャックでダッカルを殴り返される旨みの無い展開よりはトリガーも期待できるといった意味でもブロックしない方が旨みがあったこのプレイは今でも間違っていないと思っています。

その後、運良く銀河MAXをトリガーして楯騎士か正義全帝を置くかを考えているのですがシナプスで積んでいた3枚が正義全帝、銀河MAX、シャコガイルの順で上から積んであったので楯騎士で積んでもあまりおいしくはないので正義全帝で更なる可能性を探してからデッキトップに置くというプレイをとりました。
只今考えてみると積み方が銀河MAXが一番上にあれば楯騎士を置いて更に楽なプレイができたと思うので正直上振れた動きをしてケアしてしまったなと思います。


といったところがこの動画で語るべきポイントだったのかなと思います。
正直まだまだ考察・解説するべき点はあったのですが、更に2倍長くなることが確定だったので割愛させていただきます。

自分のプレイミスは大体山札の積み方関連なものばかりな気します

というわけで長くはなってしまったのですがいかがだったでしょうか?

「ダッカルパラノーマルとジャックオービーメイカーなんて見え見えの相性差だから一方的にボコボコにしているだろう」と動画を観る前に思われた方がいたかもしれませんが、その期待を大きく裏切るような展開になったと思います。
このような試合を行えたのは殿堂ゼロという普段やり慣れない環境下かつ不利対面でも素晴らしいプレイングを発揮していたアーチーさんのおかげなので尊敬の念と共に感謝します。

大会内容を振り返って

ということでなんとか優勝することができました!

実は初公開である記念のトロフィー(実物がかなり重く大きくてびっくりしました)

元々自分の専門のレギュレーションであるというアドバンテージを持っていましたが、それを含めても普段CSGP等で見かける強豪プレイヤーの方々と戦えて勝てたというのは今でも信じられないと思っています。(GP成績上位経験者と日本一経験者の3人とマッチングしているのは正直今考えてもすごいなと感じています)
この3人に通常レギュレーションで対戦したらプレイングは絶対勝てないのでほぼ間違いなく負け越すでしょうし、動画の対戦中でもかなり負けそうな場面があったのでデッキ選択での利があったとしてもかなり運が良かったです。
なので自分が昔愛用していて現代流に魔改造しても戦って応えてくれたダッカルパラノーマルには感謝しかないです。

ダッカルパラノーマルのデッキ選択理由

今更ではありますが最後に自分がこのデッキを選択した理由を書いておきます。
自分の記事を読んでデッキを持ち込んできそうであると感じていたので一番持ち込まれそうなダーツデリートとジャックオービーメイカーに対して有利なデッキを持ち込んだという面もありますが、動画の演出装置としてもダッカルパラノーマルは向いているのではと思った面もあり選択しました。(正直デッキタイプ被らんだろうと思ってたらヤマダさんと被って衝撃でした)

というのも持ち込まれるデッキ群がおそらく高速即死コンボを搭載したデッキばかりであるのでメタカードを用いてコントロールを行うデッキは良い箸休め的なポジションになり、メタデッキではありますが完全有利ではなく序盤に隙があるといったところも負けたとしても、不利対面を捲った対戦相手あるいは自分の記事を読んだ上で別の解答を持ってきた対戦相手といった画が撮れるのでどちらに転んでも悪くは無いかと思っていました。

勿論、優勝を目指す事は第1目的であるのは当然だったのでデッキ構築の見直しとプレイングに関しては勝敗関わらず良い結果になるように全力で行えたかなと思いますし、久方ぶりにデッキの最適化を進めることができたのでダッカルパラノーマルを選択して間違いはなかったと思います。
ただ仮に2回目が開催される事があれば、今回のような初見殺しを行う事ができないのもそうですし、同じデッキを使うのも芸が無いのでおそらく違うデッキタイプを握ると思います。

まとめ

動画で観ていた憧れの方々とまさか公式の場で殿堂ゼロをやるという夢にも思っていなかった最高の環境でプレイできた事を今でも忘れられない良い思い出になりました!(更に自分が実況・解説とジャッジをやるなんてもう情報過多過ぎて過去の自分に言ったら冗談が過ぎて大爆笑するレベルだと思います)
公式様にはこのような場を用意して頂き感謝しかありません。
おそらく無いと思いますがまた2回目などやることがあればまた参加させて頂きたいなと思っています。

長くなってしまいましたが、殿堂ゼロ王決定戦の記事を締めさせて頂きます。
本記事の投稿が色々あって遅くなってしまい、申し訳ありません。
改めまして、参加者の方々、公式の方、撮影に携わった方々、そして動画の視聴者と記事の読者の方々には多大なる感謝をさせて頂きます。

ありがとうございました!


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