川崎フロンターレが、今のドルトムントと戦ったらどちらが勝つ?

実は、今週の継続課金マガジン向けのコラムとして、「川崎フロンターレを倒す方法」というタイトルのコラムを書こうと思っていました。

川崎フロンターレの新加入選手に対する評価や、新加入選手に関するコラムは、色々な人が書いてくださっているので、他の人が書かない事を書こうかなぁと思っていたところ、意地の悪い僕は、「川崎フロンターレの弱点を徹底的に書いて、攻略方法を伝授する」という記事を書くことを思いつきました。

5年間にわたって、プレビューとレビューを書き続けてきた経験と知見を活かして、川崎フロンターレの弱点を徹底的に分析する。川崎フロンターレのサポーターの読者は減るかもしれないけれど、他のチームのサポーターもnoteで読んでもらうきっかけを作ろう。(意地は悪いけど)いい企画だ。そんな事を考え、構成を考え始めた時に、あることに気がつきました。それは、僕がいくら川崎フロンターレを倒す方法を書いても実行出来るかどうかは、対戦相手のチーム次第だという当たり前のことに気がついたのです。

リバプール対トッテナム・ホットスパー戦で感じたこと

例えば、2017-18シーズン・イングランド・プレミアリーグ第26節、リバプール対トッテナム・ホットスパーの対戦で、前半のリバプールは徹底的にトッテナム・ホットスパーのサイドのDFが守る背後を狙って、ロングパスを蹴り続けました。

ロングパスは味方の足元ではなく、誰も守っていないスペースに向かって蹴り続けました。リバプールの狙いは、トッテナム・ホットスパーがボールを積極的に奪いにくるチームなので、トッテナム・ホットスパーの守備に捕まる前に、DFの背後にロングパスを蹴ることで、相手の守備の狙いを外そうとしました。

そして、ロングパスを蹴ったのは、サイドのDFの背後です。サイドのDFの背後は、積極的にボールを奪いにくるチームや、ボールを保持して戦うチームと戦う時に、とても有効な手段です。サイドのDFの背後にロングパスを蹴ると、相手チームサイドのDFや、中央のDFがボールを拾います。相手チームのDFがボールを拾った瞬間は、相手チームの選手間は距離が遠く、素早くパスをつなぐ事が出来ず、簡単に陣地を挽回する事は出来ません。

その瞬間を狙って、リバプールの選手は素早く距離を詰め、ボールを奪おうと試みます。スローインになったとしたら、スローインを受けた選手に対して素早く距離を詰め、ボールを奪い返す。現在、リバプールの監督を務めるユルゲン・クロップが取り入れ、RBライプツィヒやロジャー・シュミットが監督を務めていた頃のレバークーゼンなど、サイドバックの背後を狙ってボールを蹴ってくるチームはあります。

Jリーグだと、鹿島アントラーズがこの戦い方を得意としていて、サイドDFの背後でFWがボールを受け、味方が移動する時間を作ります。サイドDFの背後は、ボールを奪われたとしても挽回しやすいだけでなく、自陣ゴールから遠い場所にあるので、有効な攻撃を受けるリスクも少ないのです。

トッテナム・ホットスパーも開始4分で先制点を奪われたものの、すぐさま相手の狙いに気がつき、サイドDFの背後にパスを出していた選手に対する守備を修正。パスコースを蹴るような守備に切り替えただけでなく、少しDFの位置を下げ、相手がロングパスを蹴ってきたら素早くステップバックして、ロングパスに対応していました。

川崎フロンターレに有効な2つの戦い方

実は、リバプールが採用していた「サイドDFの背後にロングパスを出す」という攻撃は、川崎フロンターレ相手にも有効だと思います。川崎フロンターレは、守備時に積極的にボールを奪いにくるので、DFとGKの間にはスペースが空いています。

GKのチョン・ソンリョンは、積極的に前に出てDFの背後をカバーするGKではないので、DFの背後のスペースへのパスは通しやすいチームだったりします。実際、サガン鳥栖や鹿島アントラーズやセレッソ大阪といったチームは、川崎フロンターレのDFが守る背後のスペースにロングパスを出す攻撃を使い、何度も川崎フロンターレを押し込むことに成功していました。

川崎フロンターレは、守備時には「4-4-2」というフォーメーションで守ります。このフォーメーションは、フィールドを均等にカバーできるので、守備がしやすいフォーメーションなのですが、川崎フロンターレはFW2人が上手くパスコースを消せないと、相手がボールを運ぶプレーを止める事が出来ず、ズルズルとボールを奪うポイントが下がってしまう傾向があります。

攻撃時に「3-3-4」というフォーメーションを採用したベガルタ仙台、「3-2-5」というフォーメーションを採用した浦和レッズと戦った時は、なかなかボールを奪うポイントが見つからず、パスコースを消すことも出来ず、ズルズルとボールを奪うポイントが下がってしまうということがありました。DF3人で、川崎フロンターレのFW2人の守備に対して数的優位を保ち、ボールを奪われずに、ボールを相手陣内に運ぶ回数と時間が増えれば、シュートチャンスを作る確率が高くなります。

ただ、川崎フロンターレは「ロングパスを活用した攻撃」や「フォーメーションの変更」だけをやるチームとは何度も戦い、勝利を収めてきました。攻撃だけでなく、守備も含めた相手の攻撃を受け止めつつ、ボールを保持する時間帯を増やして、相手の動きを止め、勝利をおさめてきました。

今の川崎フロンターレは強い

今の川崎フロンターレに勝つのは、簡単ではありません。特にボールを奪われずに、相手陣内に運ぶ力は、Jリーグでも抜きん出ています。ボール保持で川崎フロンターレと勝負出来るのは、柏レイソル、浦和レッズ、名古屋グランパスくらいではないでしょうか。

つまり、川崎フロンターレと戦うということは、相手にボールを保持される事を前提に、15分おきに戦い方を変えながら、川崎フロンターレの狙いを外し続け、いかに効率よく得点を奪い、失点を最小限にして勝つかが求められるのです。

今のJリーグは、時間帯や得点差によって、フォーメーションや戦い方を使い分けられるチームは少数です。「フォーメーション=戦術」と勘違いするチームも多く、「勝つために必要な事を実行するため」に使い分けるのがフォーメーションなのだという考えが、Jリーグのチームには、多くありません。

特にJ1では、時間帯や得点差によって、戦い方が変えられるチームがほとんどないため、一度戦況が不利になると、簡単に競り負けてしまうチームが多いのが現状です。したがって、Jリーグのチームが、川崎フロンターレを倒すのは、簡単ではないだろうとは思います。

そんな事を考えていた僕は、年末にTwitterでこんなアンケートを実施しました。

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西原雄一

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