2018年J1第13節 川崎フロンターレ対FC東京 レビュー「基準がぶれた時に、手本を示して改善するのはベテランの仕事」

2018年J1第13節、川崎フロンターレ対FC東京は、0-2でFC東京が勝ちました。

ただ、FC東京が素晴らしいプレーを披露したというよりは、川崎フロンターレのプレーが良くなかったことが、勝敗に大きく影響した試合ではないかと感じました。

パスが遅く、止まっている選手の足元に出している

僕が今節の試合を見ていて最も気になったのは、川崎フロンターレの「パス」についてです。

1点目は、パススピードが遅いということです。

川崎フロンターレのサッカーは、「パスを出して、受ける」というアクションを繰り返し、相手陣内にボールを運んでいきます。したがって、相手の守備者が反応出来ないくらいのスピードでパスを出し、素早くボールを受けるために動く。このアクションのスピードを速くし、パスの出し手と受け手のタイミングをあわせることで、川崎フロンターレのサッカーは成立しています。

ところが、この試合を見ていると、川崎フロンターレの選手が出すパスが遅く感じられました。パスの受け手にボールが届く前に、ボールのスピードが明らかに下がっているように見えた程です。パスが遅いと、相手の守備者が距離を詰める時間が出来てしまいます。僅かな時間ですが、この僅かな時間の差の積み重ねで、相手の守備を攻略出来るかどうかが変わります。

今の川崎フロンターレのパスは、パスの受け手の足元に届く前にパスは減速しているだけでなく、ボールがバウンドしている時もあります。

ボールがバウンドしていると、ボールの受け手はボールを止める時に、ミスをする確率が増えます。パスのスピードが遅く、止めづらいパスを出しているため、ボールがすぐに止まらない。コンマ数秒の違いですが、コンマ数秒の違いが、勝敗につながるのが、プロの世界なのです。

2点目は、パスが止まっている選手の足元に出ているということです。

川崎フロンターレでは、「パスは動いた選手の足元に正確に出す」ということを、繰り返し求められてきました。動いている選手の足元に正確に出すことで、ボールを受けている選手の動きを止めず、次のアクションへとスムーズに移行することが出来るだけでなく、ボールを相手陣内に運ぶスピードを落とすことなく、プレー出来るからです。

しかし、今の川崎フロンターレは、「動いた選手の足元」ではなく、「止まった選手の足元」に対して、パスを出しているように見えます。動いている選手の足元にパスを出すには、ボールを受けようとしている選手の動きを読み、足が届く場所を見極め、ズレなくパスを出す必要があります。しかし、今の川崎フロンターレのパスは、以下の順番でパスを出しているように見えます。

1.パスの受け手が動く
2.パスが出てこないから、動くのを止める
3.止まった選手にパスを出す

この順番でパスを出すと、止まった選手は相手の守備者に捕まりやすく、ボールを受けたとしても相手にボールを奪われたり、相手にボールを奪われないようにプレーするのが精一杯になってしまいます。川崎フロンターレのプレーを見ていると、パスはつながるけれど、なかなか相手ゴール前までボールが運べず、相手が守っている外側でパスが回っているように見えるのは、相手にボールが奪われないようにプレーするのが精一杯だからなのかもしれません。

「止まった選手の足元」にパスが出ているのは、パスの受け手にも問題があります。

パスの受け手が、パスを受けるために相手より先に動いて、相手を外してからボールを受けるというアクションがほとんどなく、足を止めてボールを待っていたり、ボールを受けるために、ボールを持っている選手に近づいてしまうことがあります。

ボールを持っている選手に近づいてしまうのは、ボールがいつもらえるのか分からないからでもあるのです。ボールが受けられないから、近づいてしまい、味方が動きたかった場所を潰しあっているという場面も見られます。

大久保や家長が、ボールを受けるためにボールを持っている選手に近づいてしまうことがありますが、近づいてしまう要因は、いつボールが出てくるかわからないからです。

パスの出し手としては、パスの受け手が動かないから出せないと感じているからなのですが、彼らは相手が近くにいても「ボールを奪われない」と思っているので、相手が近くにいても「フリー」だと思っています。ただ、パスの出し手は「フリー」だと感じていない。どういうことかというと、川崎フロンターレが基準をあわせてきた「フリーの定義」が揺らいでいるのです。

課題は解決していない

2018年シーズンが開幕してから、僕は川崎フロンターレの課題として以下の3点を挙げています。

1.DFからMFへのパスが遅い
2.ポジションが重なっている
3.相手の背後を狙わず、ボールを止まった状態で受けている

この3点の問題については、第9節の鹿島アントラーズ戦以降の試合で3連勝している間は、ある程度解決したように見えました。

ところが、第11節のヴィッセル神戸戦、第12節の浦和レッズ戦、そして、今節のFC東京戦を見る限り、この3点の問題は解決出来ていたわけではないという事が、よく分かりました。この問題が起きている要因は、戦術が原因ではないと、僕は思います。

チームの戦略・戦術を支える、「どう戦うか」「どうプレーするか」「フリーとはどういう状態か」という基準が揺らいでいることが、要因だと思います。

では、どうすれば改善出来るのか。この続きは有料で購読頂くか、有料課金マガジン「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」を購読頂いた方は閲覧出来ます。

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西原雄一

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西原雄一

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