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「スポーツと暴力」について考えた2日間-NON VIOLENCE PROJECTトレーナー講習に参加して-

先週の土日は「NON VIOLENCE PROJECT」が主催するトレーナー講習会に参加してきました。

NON VIOLENCE PROJECTとは、1993年に設立された、ジュネーブに本部をおく教育NPOです。ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、オノ・ヨーコ、リオネル・メッシをはじめとする世界中の約100人の著名人・団体が活動をサポートし、FIFAと連携し2010年サッカーWカップ・南アフリカ大会での「NVP平和教育サッカー教室」、レアル・マドリードとのコラボによるスポーツを通した平和教育普及、アメリカのロック・フェスティバル「Lollapalooza」への参加への実績がある団体です。

今回の講習会は、お世話になっている 筑波大学 体育系 准教授の河合先生にご紹介頂き、とても興味があったので参加してみることにしました。なお、会場には親しくさせていただいている新川さんもアドバイザーとして参加されてました。

僕が今回参加した理由は、日大アメフト部の件について、もっと深く考え、解決策を知りたいと考えたからです。僕は体育会の雰囲気と指揮命令系統が嫌いで、高校から部活でスポーツすることを止めました。どう考えても、円滑なコミュニケーションが生まれる関係だとは思えなかったからです。

日大アメフト部の件が起きたとき、僕は「恐れていたことが起きた」と思いましたが、解決策を手元に持っていたわけではありません。自分の子供が同じような状況に陥ったときの解決策を手元に残しておきたい。そう考えて、参加することにしました。

参加者はスポーツ関係者とそれ以外に分かれました。スポーツ関係者は、近代五種協会の理事の皆様や、日本バスケットボール協会の方が参加していました。それ以外のメンバーとしては、僕のような会社員や、主婦の方もいらっしゃいました。

NON VIOLENCE PROJECTのプログラムの特徴は、以下の3点をアクティビティを通じて、楽しく学べる点にあると思います。

1.コンフリクト(対立)・マネジメント
2.セルフ・エスティーム(自己肯定感)
3.ノン・バイオレンス(非暴力)

コンフリクト(対立)

まず最初に学ぶのが「コンフリクト(対立)」についてです。コンフリクトはどのように起こり、どのように対処するのか、立場や人によってどう変わるのかを学んでいきます。

僕は普段仕事をしているとき、コンフリクトが「わからない」というのが、最もまずい状況だと思っています。意見は違って当たり前なので、違う点を明確にした上で、お互いが「協調」できるポイントを探すことが大切だと思っています。

スポーツに関わる人と会っていると、相手を征服しようとする人が多いなと感じることがありました。特に選手として実績があり、自分の意見に自信がある人ほど、相手に対して上に立とうとする人が多いと感じることがありました。

特にあるサッカー選手と有名なアスリートとお会いしたとき、話している内容は友好的なのですが、時に自分の話は強く主張し、否定や質問は許さず、人の意見を受け入れないような態度をとられたのを今でもよく覚えています。

自身ではそうは思わないのかもしれませんが、一般社会なら、高圧的だと思われても仕方がない態度だったと感じましたし、共に良い物を作り上げようという気持ちは、全く感じられませんでした。

たしかに試合では、勝ち負けがあります。ただ、人間関係まで勝ち負けを持ち込んでしまうと、本来やりとりされなければならない情報がスムーズに伝わらなかったり、問題が解決されずに放置されてしまう、といったことが起こります。参加者の1人がおっしゃってましたが、征服と服従による関係は、問題解決に「コストがかかる」のです。

人によっては、コンフリクトを避けがちですが、僕はコンフリクトは「マネジメント」するものだと思っています。表面化させたり、解決したりと、コントロールできるのが望ましい状況です。コンフリクトは誰とでも起こりうるということを頭に入れながら、解決する方法を探ることの大切さを学びました。

僕自身のこととしては、家族、兄弟、仕事など、様々な人間関係に対して「協調」「服従」「妥協」「服従」「逃避」のどれを選択するかを選ぶというアクティビティがあったのですが、僕はどれも「逃避」を選びました。揉め事からは逃げる。コンフリクトが表面化したら逃げる。誰もいない場所を作ることに注力する、僕らしい選択だなぁと自分自身笑ってしまいました。

セルフ・エスティーム(自己肯定感)

難しいと思ったのは、「セルフ・エスティーム」です。セルフ・エスティームとは「自己肯定感」のことで、「自分は英語が得意」というスキルに基づく自信というよりは、「自分は人に優しい」というように、自分の行動や性格を自分で肯定することなのだそうです。

ただ、不必要なくらい謙虚であることを美徳とする日本人にとっては、セルフ・エスティームを持つのは、簡単じゃありません。僕自身も講習会を終えても、ここは理解できているとは、言い切れるほど、理解が深められていません。

理解を深められていませんが、セルフ・エスティームの大切さは理解できているつもりです。その理由は、自分を自分で肯定できなければ、コンフリクトのパワーに負けてしまい、相手に服従するしかないからです。スキルで負けていても、自分が元々持っている素養を信じて、相手とコミュニケーションをとる。そのことの大切さを学びました。

コンフリクトマネジメント、セルフ・エスティームの理解が進み、自分以外の人と共有できるようになることによって、初めてノンバイオレンス(非暴力)が実現するのだということを、プログラムに参加したことで、理解できました。とても勉強になりましたし、今後の仕事、家庭などの人間関係の改善に活かしたいと思います。

「答えはない」「自発的に発言することを促す」と繰り返す理由

Non Violence Projectのプログラムの特徴は、「答えはない」ということを繰り返し参加者に伝えること、そして、「自発的に発言することを促す」こと。この2点にあると思います。

「答えはない」「自発的に発言を促す」ということには、共通している点があります。それは、争いの元になる「勝ち負け」「優劣」「上下」といったパワーバランスの差を生み出さないようにしているからです。プログラムを進行するトレーナーはあくまで進行役で、進行役が偉いわけでも、正しいわけでも、答えを知っているわけでもありません。

考え方には多様性があり、協調(Win-Winとも言います)関係を築くにはどうしたらよいのか。とても学びの多い2日間でした。

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