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リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第2節 セビージャ対ビジャレアル レビュー「我慢の序盤戦」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン第2節、セビージャ対ビジャレアルは、0-0の引き分けでした。

ビジャレアルは前節の課題をいかに修正したのか

前節のレアル・ソシエダ戦のレビューで、僕はビジャレアルのビルドアップがレアル・ソシエダの守備に捕まってしまい、上手くいかなかったと書きました。したがって、この試合を見るにあたって、僕はビジャレアルのビルドアップが上手くいくのか、相手陣内にスムーズにボールが運べるのか、チェックしようと思っていました。

ビジャレアルは前節から2人メンバーを替え、左MFにトリゲロス、左のセンターバックにビクトル・ルイスを起用。チームオーガニゼーション(フォーメーション)もMFの4人の並びをフラットから、ダイアモンドに変更します。4-1-2-1-2とも表記できるフォーメーションで、ダイアモンドの頂点にフォルナルス、底にカセレス、右にカソルラ、左にトリゲロスと並べました。

選手とチームオーガニゼーションを変更した意図は、怪我やコンディションといった問題もあったのかもしれませんが、前節上手くいかなかったビルドアップを改善しようという意図もあったのだと思います。

前節では、ビジャレアルのDFがボールを持つと、レアル・ソシエダの選手がマンツーマンでマークし、素早くボールを奪おうとアクションを仕掛けてきます。ビジャレアルの選手は、レアル・ソシエダのアクションに対して後手を踏んでしまい、相手のアクションが生み出す矢印をまともに受け止めてしまいます。なかなか相手陣内にボールが運べず、DFがボールを奪われ2失点。失点につながるミスをしたことが要因で、左のセンターバックを変更したのかもしれません。

今節対戦したセビージャは、守備時は5-4-1、攻撃時は3-4-3というフォーメーションで戦うチームです。セビージャはレアル・ソシエダほど守備時にはボールを積極的に奪いにこないので、ビジャレアルの選手たちは比較的楽にボールを持つことが出来ました。

ビジャレアルは前節の反省を踏まえてなのか、修正したと思われる点が3点ありました。

1点目は、MFのカセレスがセンターバックがボールを持った時、ボールを受ける動きをするようになったことです。

ビジャレアルのセンターバックがボールを持った時、MFのカセレスが近くに寄って、ボールを受ける動きをすることで、ビルドアップがスムーズになりました。セビージャのFWのアンドレ・シウバが必ずカセレスをマークしていたので、カセレスが左右に動けば、センターバックはマークを受けずにボールを持つことが出来ました。

2点目は、ロングパスの活用です。相手に距離を詰められて、ボールを奪われそうになったら、FWのエカンビとモレノに対してロングパスを出せば、この2人は相手に競り勝ってボールをキープすることも出来ますので、ロングパスを上手く活用することで、セビージャ5人で守っているDFの背後をとり、ボールを相手陣内に運ぶことに成功していました。

3点目はフォルナルスを中央に起用したことで、中央からも攻撃できるようになったことです。前節はFWが2人ともサイドに動いてボールを受けるので、中央でボールを受ける選手がいませんでした。フォルナルスが中央にいることで、中央を攻撃するという選択肢が増えたこと、そして、選手間の距離が近くなったことで、中央からもスムーズにボールが運べるようになりました。

攻撃を修正したら、守備が上手くいかない

ただ、攻撃は修正できたのですが、守備ではチームオーガニゼーションを変更したことで、セビージャにサイドのスペースを上手く活用されてしまいます。

4-4-2のダイアモンドのチームオーガニゼーションの弱点は、MFの4人が中央に寄るので、サイドにスペースが空きやすくなるのです。セビージャには、右にヘスス・ナバス、左にエスクデロというスペイン代表にも選ばれたことがある選手がいるのですが、ビジャレアルの守り方では、どうしてもこの2人のうち、いずれかがフリーになってしまいます。

ビジャレアルは攻撃では上手くボールを運べるものの、守備ではセビージャにボールをスムーズに運ばれてしまい、何度かシュートチャンスを作られてしまいました。

守備を修正すると攻撃の選択肢が減る

後半に入ると、ビジャレアルは前節同様に4-4-2でMFがフラットにならぶフォーメーションに変更します。フォルナルスが左MFに移り、サイドのスペースを埋めようとします。この変更によって、セビージャのビルドアップをある程度妨げることに成功しました。

ただ、フォーメーションを変更したことで、攻撃の選択肢が減ってしまいます。中央から攻撃できなくなったので、FWをエカンビからバッカに変更し、中央でボールを受ける選手は1人残したものの、なかなか中央からボールが運べず、両サイドのカソルラとフォルナルスも少しずつ守備の時間が増えていきます。試合終盤はセビージャが攻撃する時間が増え、ポストに当たるシュートも打たれましたが、どうにか無失点で試合を終えました。

最適なバランスが見つかるまで試行錯誤は続く

ビジャレアルの試合を見ていると、まだチームとして最適なバランスが見つかっていないと感じます。ビジャレアルはチームのプレーモデルは明確なチームなのですが、新加入の選手をどのようにプレーモデルに組み込むのか、最適な答えが見つかっていないと感じます。攻撃に注力すると守備の問題がみつかり、守備を修正すると攻撃が上手くいかない。監督としては悩ましい状況だと思います。

しばらくは、失点を出来るだけ少なくすることを心がけながら、僅差の試合を勝利しながら、勝ち点を確保し、少しずつチームを作っていくことになると思います。まだまだ試行錯誤が続きそうですが、どうチームを修正していくのか楽しみです。

試合のハイライト

photo by Ungry Young Man

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