リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第23節 レアル・バリャドリード対ビジャレアル レビュー「目の前の試合に過去の試合の評価を持ち込むな」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第23節 レアル・バリャドリード対ビジャレアルは、0-0の引き分けでした。

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チームを変えたボネーラのプレー

前節のエスパニョール戦から、ビジャレアルは3-4-3のチームオーガニゼーションで戦っています。

前節のレビューにも書きましたが、2018-19シーズンのビジャレアルは、中央の守備とサイドからボールを運ぶプレーに課題をかかえていました。この課題を解決するには、3-4-3(下記の図では5-4-1と表記)のチームオーガニゼーションへの変更は最善の解決策だったと思います。

前節の内容が悪くなかったという評価だったのか、この試合も同じスターティングメンバーで臨みました。正しい判断だったと思います。

赤く塗りつぶしたのが、チームオーガニゼーション変更後に起用されている選手が担当しているエリアです。中央のDFがボネーラ、右がミゲロン、左がペドラザです。

チームを大きく変えたのは、ボネーラのプレーです。

ボネーラの凄さは、チームメイトがいて欲しい場所に必ずいること、そして、チームメイトがやって欲しいプレーを確実にやってくれることだと思います。

派手にボールを奪うわけでもなければ、相手を圧倒するようなプレーをするわけでもありません。ただ、チームメイトに頻繁に声をかけ、中央のエリアで埋めて欲しいエリアをきちんと埋める。ボールを持てば、空いている選手に適切なタイミングで、適切なスピードのパスを出す。プレーに無駄がなく、ミスが少ないのです。

たぶん、ボネーラは自分が守っている位置から、頻繁にチームメイトに声をかけ、ボールを奪うタイミング、守る位置について指示を出しているのだと思います。ボネーラがカバーしてくれると分かっているので、両脇のアルバロとフネス・モリのボールを奪うアクションの強度が上がり、2人が守る場所でボールが奪えるようになりました。

そして、ボネーラはパス交換でミスがありません。派手なプレーをするわけではありませんが、ボールを止めてから蹴るまでのテンポが速く、味方の選手に正確にパスが通るので、他の選手をフリーにすることができます。

ボネーラ、そして両サイドのミゲロンとペドラザがいるエリアは、4-4-2で守るレアル・バリャドリードにとっては、守りずらい位置に立っている選手たちです。この3人を上手く活かしながら、ビジャレアルは他の選手のマークを外し、ボールを運んでいきました。

サイドはミゲロンとペドラザ、中央はボネーラとカソルラとボールを前に運べる選手がいるので、これまでボールを受けるのに苦労していたフォルナルスとジェラール・モレノがボールを受ける回数が増えました。

フォルナルス、カソルラ、イボーラの3人のパス交換はとてもテンポが速く、レアル・バリャドリードの守備を何度も外し、シュートチャンスを作り続けることができました。後半も状況は変わらず、ビジャレアルが優勢の時間が続きました。

痛恨の選択ミスだった1人目の選手交代

ビジャレアルにとって悔やまれるのは、1人目の選手交代の選択を誤ったことだと思います。1人目の交代として、バッカを入れたことは間違っていないと思うのですが、交代したのはフォルナルス。僕はエカンビを替えたほうが良いと思っていたのですが、カジェハ監督の判断は違いました。

フォルナルスはこの試合のビジャレアルのベストプレーヤーといってもいいだけの活躍を披露しました。カソルラと連携しながら、パスを出して受けるというアクションを繰り返し、相手の守備網を何度も突破するプレーを披露し続けました。

これまでの試合で、活躍していないのに起用されていたフォルナルスとは違いました。やるべきことをやり、フィールドで相手チームに向き合い、戦い続け、チームにチャンスを作り続ける選手を残さない手はありませんでした。フォルナルスがいるから、カソルラが生き生きとプレーできているという側面もあるので、僕は絶対に残すべきだと思いました。

あえて交代の要因を挙げるとしたら、これまでフォルナルスが我慢して起用してきたのに、結果が出ていなかったため、チーム内での序列が下がり、ちょっと良いだけでは交代させられるという扱いになっているのかもしれません。

それは理解できなくはありませんが、この試合のことだけを考えると、序列は持ち込むべきではなかったと思います。エカンビは疲れていて、アクションの量が明らかに減っていました。

拮抗した試合では、1つのミスが勝敗を左右します。選手たちはミスなくプレーしていたので、監督がミスをしてはいけない場面でした。本当にもったいない、そして痛恨のミスだったと思います。

そして、カジェハはこの交代でもう1つ間違いを犯しました。それは、中央のFWでプレーして強みを発揮するバッカを、左FWで起用したことです。エカンビを左に起用するなら分かるのですが、バッカをそのままフォルナルスがプレーしていた位置に移動するのを見たときは、さすがに驚きました。そして、こうも思いました。

この監督は、選手の適性が未だに分かってないのだな、と。

バッカに交代される前後から、レアル・バリャドリードはビジャレアルの左サイドから攻撃を仕掛け続けていました。バッカは左でプレーすることに慣れていないので、バッカが守るエリアを何度も突破され、レアル・バリャドリードにチャンスを作られてしまいます。

慌ててエカンビを交代させ、チャックエズを入れて、ジェラール・モレノを左FWに移動させ、バッカを中央のFWに移します。ところが、カソルラとFWをつないでいたフォルナルスがいないので、チャックエズになかなかパスが届きません。

フォルナルスがいれば、カソルラと連携しながら、バッカのDFの背後を狙う動きにあわせてパスを出したり、チャックエズにプレーしやすいようにパスを供給できたはずです。3人目の選手交代で4-4-2にしてから少しだけ盛り返しましたが、時すでに遅し。

もったいない引き分けだったと思います。勝てた試合でした。

焦らないこと。小さな改善を積み重ねること。

前節のチームオーガニゼーションの変更によって、ビジャレアルは在籍している選手の強みをいかし、チームのプレーモデルにしたがって戦う術をようやく見つけることが出来ました。前節は2得点、今節は無失点。確実にチームは改善していると思います。

不安なのは、カジェハという監督が「紙一重の試合を勝ちにもっていく」技術をもっていないことです。選手の適性把握に時間がかかり、最適なチームオーガニゼーションを発見するまで、20試合以上を費やしました。そして、目の前の試合に勝つことより、自分の理想を追いかけがちな監督に見えるので、目の前の試合に勝つために最適な選択をする監督ではないのです。

カソルラ、ボネーラ、アセンホといったベテラン選手に頼りつつ、20代中盤の選手の力を上手く引き出して戦う必要があったシーズンに、20代中盤の選手たちを序盤に重宝しすぎたツケが、積み上がらない勝ち点となって、重くのしかかっています。

これで10試合勝利なし。辛い状況が続きますが、辛い状況を抜け出すには、やるべきことをやって、首の皮一枚相手を上回るような勝利を積み重ねていくしかありません。出口は見えているので、焦らないこと。小さな改善を積み重ねること。監督が余計なことをしないこと。これしかありません。

僕は「まだなんとかなる」と思ってます。どうなるのか楽しみです。

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西原雄一

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西原雄一

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