2018年J1第30節 川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸 レビュー「ヴィッセル神戸のプロジェクトが成功するために必要なこと」

2018年J1第30節、川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸は5-3で川崎フロンターレが勝ちました。このレビューでは、プレビューで書いたことのレビューではなく、試合を見て感じたことを書きたいと思います。

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今回は以下のようなテーマで書いています。「1と2」は無料でどなたでも読むことができます。

1.リージョが準備した川崎フロンターレ対策
2.川崎フロンターレが試合中に行った変更
3.イニエスタの凄さはスタジアムで見ないとわからない
4.ヴィッセル神戸のプロジェクトが成功するために必要なこと
5.中村憲剛がイニエスタのことを口にしなかった理由を考えた

リージョが準備した川崎フロンターレ対策

試合が始まって驚いたのは、川崎フロンターレの選手がどうもプレーしにくそうにしていたことです。10分くらいは、雨が降っていたせいもあって、ボールが止めづらいのかもしれないと思ったりもしたのですが、試合を見ているうちに、グラウンドのせいではないことが分かりました。(むしろ、あれだけ雨が降って、コンディションが維持されていたことに驚きです。)

川崎フロンターレの選手がプレーしにくかったのはなぜか。それは、ヴィッセル神戸が準備した川崎フロンターレ対策が機能していたからです。僕が記憶している限り、ヴィッセル神戸が準備してきた川崎フロンターレ対策は、これまで見たことがない対策でした。

普段はあまりやらないのですが、図にしたほうがわかりやすいので、図で説明します。青が川崎フロンターレ、白がヴィッセル神戸です。川崎フロンターレが攻撃を開始するときのフォーメーションを図にしてみました。

選手の配置を図にすると分かるのは、ヴィッセル神戸の選手が川崎フロンターレの選手が縦方向にパスをしたい場所に立っているということが分かります。

川崎フロンターレは、相手を外す動きと、速いパスを組み合わせて、相手の守備を外していきます。多くのチームは、川崎フロンターレが動くスペースを消す守備をするか、川崎フロンターレのDFがボールを持ったときに素早く奪いにいく守備をするのですが、ヴィッセル神戸が選択した守備はどちらでもありませんでした。

ヴィッセル神戸が選択したのは、川崎フロンターレがパスを出したい場所に選手を配置し、パスを出させないという守備でした。川崎フロンターレの選手はボールを持っても、パスを出したい場所にヴィッセル神戸の選手が立っているので、素早くパスを出すことが出来ませんでした。

ヴィッセル神戸は10月からフアン・マヌエル・リージョ監督が就任しています。たぶん、リージョ監督は「どの場所からプレーを始めるのか」をチームに教えているのだと思います。ヴィッセル神戸の選手は、イニエスタを除いて、常に適切な場所に立てる選手はいないので、フォーメーション(チームオーガニゼーション)で立つべき場所を指示することで、相手の攻め手を封じようとしたのだと思います。

リージョは試合後の記者会見でこう語っています。

中村選手、大島選手から相手のサイドを切り崩していく選手に対して良いボールが配給されてくるということも明らかな傾向があるということを把握して臨んでいます。そういった状況があるなかで、私たちは中盤に4枚、藤田、三田、イニエスタ、ポドルスキという選手を配置したことで、インサイドの選手達がサポート無しではなかなかプレーがしづらいという状況を作りだそうとしました。

すごいことをするなぁ、と感心しました。こんな川崎フロンターレ対策は見たことがなかったからです。

川崎フロンターレが試合中に行った変更

川崎フロンターレはヴィッセル神戸の対策にしばらく苦労していましたが、20分過ぎには対応策を導き出していました。

対応策は「家長を自由に動かす」です。

ヴィッセル神戸の川崎フロンターレ対策は、川崎フロンターレの選手が定められた場所に常に立っている、という前提で成り立っています。だから、川崎フロンターレの選手が決められた場所以外に立っていたら、その選手へのパスコースが作られるということでもあります。

川崎フロンターレは20分過ぎから、普段は規制している「家長の左サイドへの移動」を解禁し、パスコースを作り出そうとします。家長が移動したことによって、少しずつ押し込める時間が増えていきます。1-3になったあと、鬼木監督は家長のポジションを中央に変更し、チームオーガニゼーションも4-5-1に変更します。

このフォーメーション変更によって、家長がヴィッセル神戸のMFの間に立てば、自然とパスコースが作られるようになり、中央から攻撃できるようになったのです。

ヴィッセル神戸は川崎フロンターレの変更を察知し、素早くチームオーガニゼーションを4-4-2に変更します。FWの古橋を左MFに移し、FWはポドルスキとウェリントンの2人、イニエスタを中央のMFに変更します。

この変更によって、家長がボールを受けるスペースを消そうと考えたのだと思います。

ただ、ヴィッセル神戸が行った変更は、ヴィッセル神戸が最も警戒していた中村と大島に対する守備への警戒が弱まるということも意味していました。時間が経つにつれて、中村と大島がボールを保持し、家長がタイミングよく中央でボールを受ける場面が増えていきます。

ヴィッセル神戸の中で、この状況を打開しようと動いていたのはイニエスタです。中村と大島はわざと谷口や奈良に近い場所でプレーし、前を向いてボールを受け、ヴィッセル神戸のFWとMFの注意をひきつけます。イニエスタは中村と大島の意図を読み取ったので、リスクは承知で思い切って前に出て、中村と大島からボールを奪おうとアクションを起こします。

ところがヴィッセル神戸の他の選手は、イニエスタに連動して動くことができません。イニエスタとすれば、最も警戒すべきは、中村と大島なので、彼らがボールを持ったら素早くアクションを起こすのは当然です。ただ、ヴィッセル神戸の選手はイニエスタの意図が理解できているようには見えません。イニエスタが何度か「前に出てこい!」というアクションを起こしていたところからも、イニエスタの意図がチームメイトに伝わってないのだなと感じました。

イニエスタの凄さはスタジアムで見ないとわからない

僕はイニエスタのプレーを見るのは2度目です。1度目は2008-09シーズンのリーガ・エスパニョーラ。ペップ・グアルディオラ監督の1シーズン目でした。もちろん、イニエスタがどれだけすごい選手なのかは分かってます。でも、昨日の試合を見て、僕はショックを受けました。

驚いたことは2点あります。

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ヴィッセル神戸に就任したリージョ監督とはどんな監督なのか。第30節の川崎フロンターレ戦を見て、久しぶりに凄い監督が日本に来たと衝撃を受けました。第30節以降のヴィッセル神戸の戦い方をマガジンにまとめました。

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西原雄一

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