2018 FIFAワールドカップロシア グループH 日本代表対コロンビア代表 レビュー

2018 FIFAワールドカップ グループH 日本代表対コロンビア代表は、2-1で日本代表が勝ちました。

この試合のスターティングメンバーはこちら

退場に至ったプレーは狙い通りの攻撃だった

この試合のポイントは、前半3分のカルロス・サンチェスの退場でしたが、退場に至ったプレーは、偶然ではなく、日本が狙っていたプレーだと思います。

退場に至ったプレーを振り返ると、コロンビアからボールを奪い、香川が浮き玉でコロンビアDFの背後にパスを出します。大迫がパスを追いかけて走り込み、ダビンソン・サンチェスに競り勝ってシュート。GKのオスピナが弾いたボールを香川がシュート。シュートがカルロス・サンチェスの手に当たりPK。カルロス・サンチェスはレッドカードで退場となってしまいました。

香川から大迫に出したDFの背後を狙ったパスですが、この試合を振り返ると、大迫が中央かサイドに移動する動きを繰り返して、ボールを受けようとしていました。たぶん、コロンビアのサイドのDFと中央のDFの背後でボールを受けるというプレーで、相手陣内にボールを運ぼうという意図があったのだと思います。

大迫が背後を狙う動きを繰り返したことで、コロンビアのDFはFWとの距離を詰める事が出来なかったので、香川、乾、原口といった選手にボールを受けるスペースを作る事が出来ました。

コロンビアはなぜクアドラードを代えたのか

もう一つポイントを挙げるとしたら、コロンビアの選手交代だと思います。

カルロス・サンチェスの退場後、中央のMFを務めるキンテーロをカルロス・サンチェスの位置に下げました。しかし、キンテーロはもう一人の中央のMFのレルマと連携して動けず、守備が時のアクションが遅いので、中央にスペースを作ってしまいます。

前半15分に香川が中央のスペースを利用して上手くボールを受け、乾にパスを出してシュートチャンスを作り出します。このシーンでは、キンテーロが中央のスペースをカバー出来ていないだけでなく、右MFのクアドラードも戻れておらず、守備時にアクションが遅い選手が二人いる事が分かりました。

守備時にアクションが遅い選手は、クアドラードとキンテーロだけではありません。最も問題なのは、キャプテンで、チームのエースであるファルカオが、ほとんど守備の時にアクションを起こさないことです。

ファルカオはペナルティエリア付近では危険な選手ですが、他の場所では、アクションを起こさず、力を溜めている事が多い選手です。普段なら他の選手がカバーしてくれるので大きな問題にはなりませんが、1人少ないと、ファルカオのアクションの少なさは、他の選手にとっては大きな負担となります。

10人になったチームに求められるのは、ボールを奪う位置を下げ、少ないチャンスで効率よく相手陣内にボールを運ぶこと、そして、何より大切なのは、普段より走ることです。特に守備の時に、普段以上に走る事が求められます。

キンテーロ、クアドラード、そして、ファルカオ。ボールを持っている時に力を発揮する選手を下げて、チームのために走ってくれる選手を入れることが、コロンビアには求められました。得点が取れるファルカオ、ボールが運べるクアドラード、そしてキックが上手いキンテーロ。コロンビアのペケルマン監督の選択は、クアドラードでした。結果論ですが、この交代は失敗だったと思います。

クアドラードを替えたことで、コロンビアは「ボールを運ぶ選手」がいなくなってしまいました。クアドラードがいれば、ドリブルで日本のゴール前までボールが運べるので、少ない人数でも攻撃が出来ます。しかし、クアドラードがいなくなったことで、コロンビアはパスをつなぎながら相手陣内にボールを運ばなければならなくなりました。

もしかしたら、コロンビアとしては、日本のDFがロングパスで背後を狙われた時の対応が上手くないので、キンテーロからのパスでファルカオに背後を狙ってもらい、シュートチャンスを作ろうとしたのかもしれません。しかし、キンテーロは時間とともにアクションが遅くなり、戻るべき場所に戻れなくなりました。

コロンビアにとって誤算だったハメス・ロドリゲス

そして、キンテーロに代わって入ったハメス・ロドリゲスのプレーが、コロンビアをさらに苦しめます。ハメス・ロドリゲスはボールを持ったら素晴らしいプレーをしますが、ボールを持ってないとき、守備をきちんとやる選手ではありません。

この試合は、ベンチスタートだったということは、コンディションも良くなかったのだと思います。守備の時にほとんど相手を追いかけるようなプレーはしません。普段ならそれでも良いかもしれませんが、この試合は10人で戦っている試合です。ハメス・ロドリゲスが守備をしないので、長友はFWと同じ位置まで躊躇なく上がっていくことが出来ました。

チームのキャプテンと10番が、チームの苦境に走らないチームは勝てません。そして、そんな選手たちを怒鳴りつけて、走らせるような選手もコロンビアにはいませんでした。3人目の交代は、ボールをペナルティエリア内で受けるプレーが得意なバッカ。コロンビアに必要だったのは、ボールを運んでくれる選手だと思ったのですが、最後までチグハグだったと思います。

準備していたとおりに実行した日本代表の攻撃

一方、日本代表は落ち着いて試合をコントロールしていたと思います。後半からは、ファルカオが守備をしない事は分かったので、MFの長谷部や柴崎が攻撃時にDFの間に移動して数的優位を作るプレーを止めて、吉田と昌子にボールを運ばせ、ハーフラインを超えさせます。吉田と昌子がボールを運んでくれるので、長谷部と柴崎が前半に比べて、より相手ゴールに近い位置にポジションをとることが出来ました。

コロンビアの中央のMFの両脇にはスペースが空いているので、空いたスペースで原口と乾がボールを受け、長友と酒井宏樹はタッチライン付近に位置取り、大きく幅をとります。

中央は左に香川、右に柴崎、中央に長谷部。本田が入ってからは、右に本田、中央に長谷部、左に柴崎という位置取りに変更し、右サイドからボールを運んでいきます。この位置取りは、西野監督就任後からずっとトライしてきた位置取りです。相手の守備を横に広げ、相手の守備者同士の間隔が広がったところにパスを出して、相手陣内にボールを運ぶ。狙い通りの攻撃でした。ずっと準備してきたことが実を結びました。

そして、日本代表は逆転してから、無理して得点を奪いにいかず、ボールを保持することを優先します。コロンビアはボールを奪いたいのですが、ずっと日本代表にボールを保持されていたので、動けません。そして、ファルカオ、ハメス・ロドリゲスという「動かない」選手のフォローをし続けるのは、いかにコロンビアの選手といえども、簡単ではなかったということだと思います。

西野監督はどのようにチームをマネジメントしているのか

この試合を観ながら、改めて感心したことがあります。それは、西野監督の選手交代含めたマネジメントです。

この続きをみるには

この続き:1,467文字
記事を購入する

2018 FIFAワールドカップロシア グループH 日本代表対コロンビア代表 レビュー

西原雄一

200円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートと激励や感想メッセージありがとうございます! いただいたサポートは移動費や機材補強などにありがたく遣わせていただきます!!

問題が起こったら改善していけばいい。
9

西原雄一

勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方

勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。それがスポーツの楽しみ方の原点だと思う一方で、スポーツの楽しみは勝ち負けだけじゃないはずだ。勝ち負けだけじゃない、スポーツの楽しみ方とは何か。
2つのマガジンに含まれています