「むかしはよかった」なんてことは1つもない。

この記事を読んで共感したので、時にはむかしの話を。

就職超氷河期をくぐり抜けて

僕が社会人1年目の頃は「就職超氷河期」と言われていました。僕が在籍していた建築学科は「就職率90%以上」というのが強みで、就職したくない人以外は、たいてい就職できると言われていました。

ところが、当時は景気が悪く、理系の学生でも内定が出ない。ゼネコンもデベロッパーも新卒採用枠を絞り、説明会に行っても、面接に行っても、全く内定がもらえない。設計事務所はそもそも募集すらしていない。そんな状況でした。

同級生の中には、見切りをつけて大学院に進んだり、現場監督のような仕事に就いたり、家業をついだり、建築とは別の業界に就職した人もいました。僕は建築業界に就職するつもりはなかったのですが、大学生活にうんざりしていたので、就職はしたいと思っていました。ところが、就職できるような仕事がなかなかみつからず、焦っていました。

そんなときに、商社系の派遣会社が「紹介予定派遣」というサービスを始めていることを知ります。最初は派遣社員として入社した後、1年後に正社員として雇用されることを前提にした制度でした。僕が興味をもった会社はエンジニアとしての雇用を前提としており、エンジニアとしてキャリアを積んでいけば、職に困ることはないのではないか。そう考えて、僕はこの制度に応募し、無事内定をもらいました。

ただ、制度には合格したけど、派遣される会社が決まらない。なかなか決まらないなか、大手商社の子会社を紹介されます。実はこの商社の意向としては、1名しか採用する予定がなかったのですが、なぜか僕は当時の社長に気に入られ、エンジニアとしての知識に長けていた同期と共に内定をもらいます。他に内定もなかったので、僕はこの会社に紹介予定派遣として入社することにしました。

入社後5日で社会を知る

入社初日からして、事件が待っていました。エンジニアとして採用されたと思っていた僕の配属先は営業。事前に連絡もなく、突然の通達でした。配属された部署に行くと、20代は自分だけ。部長は白髪にパンチパーマで、シャツのボタンは2つ空いていて、金のチェーンのネックレスを身に着けていました。どうみても、カタギではありません。

戸惑いながらも、入社2日目から仕事の引き継ぎが始まるのですが、入社3日後に仕事を教えてくれる予定だった人が会社に来なくなってしまいます。

そして、入社4日目。僕は突然親会社の課長からファミレスで呼び出されます。ファミレスに呼び出した課長は、分厚い請求書の束を見せて、こう言いました。

「この請求書は前任の担当者がためた負債なんだよ。俺が承認すればよいんだけどな、俺が預かってるんだよ」

これを聞いた時、思わず「知らんがな」と言いたくなりましたが、携帯電話で付き合いがなかった上司を呼び出し、間に入ってもらったのですが、入社5日目にこの請求書の処理をめぐって、本社の経理から電話がありました。

「お前の前任者が処理するはずの請求書、どうなってんだよ」と。

僕は「課長が預かってるはずですよ。机やカバンをあさったら出てくるんじゃないんですか」と答えました。

経理の人は、本当に課長の机をあさり、「机の中に入っていたよ。ありがとう。処理しておくよ」と言って、電話を切りました。

入社して5日間で、社会とは、会社とは何かを、嫌というほど思い知りました。その後も、海外で売れなかった商品の滞留在庫で社内と社外の監査に詰問されたり、海外の代理店経由で商品を売ったら、勝手に傷をつけられたのに、「お前のせいで傷がついた」といちゃもんつけられたり、いろいろありました。一緒に働いていた人の中には、僕が退職した後に、noteには書けない問題をかかえて退職した人もいると、風のうわさで聞きました。

その会社は3年半でやめることになるのですが、退職メールを送った後「お前はよく頑張ったよ」とメール頂いたのをよく覚えています。楽しかったこともあったと思いますが、忘れてしまいました。

唯一よかったことは、人生の師匠とも言える本部長にあったことです。僕が退職後に、赤字だった部署の精算を行った人です。自分は事業を引き継いで他社に移籍させ、将来ある30代の若手は残留させました。僕が物事を判断するときは、常に「師匠ならどうするか」が頭にあります。

身につけるべきスキルとか、今やるべきこととか知らんがな

「身につけるべきスキル」とか、「今やるべき5つのこと」とか、大人は声を大にして伝えますが、あれは全部「自分がすごい」と伝えたいがためのPRだと思ってください。そんなものはありません。

「むかしはよかった」と口にする人がいます。僕にはその感覚が分かりません。大切なのは、いまここ。大きな夢も抱かないかわりに、過去を悔やまないし、人も恨まない。そうやって生きてきました。

人にアドバイスできるようなことはありませんが、今の自分を大切に、友達を、家族を、仕事を、精一杯やっていれば、なんとかなります。どうにもならないことは、どうにもなりませんが、なんとかなることは、なんとかなります。

今を楽しんでみてください。


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西原雄一

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