リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第10節 アラベス対ビジャレアル レビュー「すぐにチームは良くならない」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン第10節、アラベス対ビジャレアルは、1-2でアラベスが勝ちました。

試合のハイライト

きつかったビジャレアルのコンディション

ビジャレアルはUEFAヨーロッパリーグのラピド・ウィーン戦から中2日。かなり厳しいコンディションで試合に臨むことになりました。ラピド・ウィーン戦からスターティングメンバーを4人入れ替えましたが、中央のDFを務めるアルバロ・ゴンサレス、フネス・モリ、パブロ・フォルナルスといった、チームの軸となる選手は、続けてスターティングメンバーとして名を連ねました。

前節のアトレティコ・マドリー戦のレビューで、僕は「選手同士の連携は大分改善された」と書きました。特に攻撃時に「誰が」「どこに」動いて、パスを受け、ボールを相手ゴール方向に進めていくのか、選手同士の理解が進み、スムーズに動けるようになりました。

ビジャレアルの連携を狂わせたアラベスの攻撃

アトレティコ・マドリー戦の引き分け、ラピド・ウィーン戦の5得点は、連携がスムーズになったことが要因だと思います。この試合もジェラール・モレノが先制点を挙げるまでは、ビジャレアルの選手同士の連携はスムーズで、アラベスを圧倒していました。

しかし、先制点を挙げたあと、ビジャレアルは、アラベスの攻撃を受けて、相手陣内にボールを運べず、ズルズルと後退してしまいます。ボールを相手陣内に運ぼうとしても、ボールを奪いにきたアラベスのアクションをまともに受けてしまい、ボールを奪われてしまいます。

ビジャレアルがアラベスの攻撃を受けてしまったのは、アラベスのロングパスを活用した攻撃が有効だったからです。アラベスはビジャレアルのサイドのDFの背後を狙って、何度もロングパスを出し、FWがサイドに移動してボールを受けます。この攻撃は直接得点につながることは少ないのですが、確実にボールを相手陣内に運べるだけでなく、ボールを奪われても、自陣ゴールからの距離が遠く、失点の確率も低くできる「リスクの少ない」攻撃です。

そして、何より効果的なのは、相手チームのDFとFWの距離を広げることで、ボールを奪われても、パス交換をスムーズに行わせないという効果があります。ビジャレアルは、アラベスの攻撃によって、DFとFWの距離を広げられてしまったため、ボールを奪っても近くに味方がおらず、パスをテンポよくつなぐことができません。

コンディションが悪いとき、プレーに影響が出るのは、攻撃より守備です。特に影響があるのは、ボールを奪われて相手の攻撃を受けたときに自陣に戻るアクションや、ボールを奪うアクションを行って奪えなかった後に元の場所に戻るアクションが、遅くなったり、止まってしまうのです。

ビジャレアルは、アラベスの攻撃を受け続け、少しずつアクションが遅くなっていきます。普段のビジャレアルなら何でもないアラベスの攻撃ですが、この試合のビジャレアルにとっては、かなりダメージを与える攻撃だったと思います。

余談ですが、日本だと鹿島アントラーズがアラベスのような攻撃を得意としています。ロングパスを活用し、少しずつ相手を押し込み、相手の体力を奪い、相手のアクションが遅くなったり、頻度が少なくなって相手の守備がずれてきたら、セットプレーや終了間際の得点で勝つ。魅力的とは言えませんが、とても堅実なサッカーです。

きつい試合の傷口を最小限にするのは監督の仕事

こういう試合こそ、監督の選手交代や戦術によって勝ち点を挙げたいのですが、上手くいきませんでした。

後半21分にカソルラに代わってエカンビを入れて、エカンビにアラベスのDFの背後を狙わせることで、押し込まれていた状況は改善できましたが、エカンビが入った効果も10分だけでした。

こういう試合は上手くいかないことを受け入れ、他の選手よりアクションを起こせる選手を入れて、ダメージを最小限にしつつ、上手くしのぐことが求められます。しかし、ビジャレアルの監督は交代が遅く、3人目の交代も逆転された後半50分から。元々積極的に選手を交代させる監督ではありませんが、この試合は起用方針が裏目に出てしまった気がします。

リーグ戦で1点差の敗戦はこれで4試合目。力負けした試合は第8節のエスパニョール戦くらいで、1点差の試合をちょっとの差で負けて、勝ち点を失う。そんな試合展開が続いています。

攻撃の問題が改善しつつあるので、チームとしては少しずつ上向きつつあると思います。ただ注意したいのは、改善策が定着したわけではないので、一気に勝ちにいかないこと。この試合は引き分けでよかったので、残り10分はDF5人にして守っても良かったと思います。

チームの関係者やサポーターとしては悩ましい展開が続きますが、上向くきっかけは掴みつつあると思います。勝ったり負けたり、引き分けたりを繰り返しながら、少しずつ勝ちと引き分けを増やしていけるか。引き続き注目したいと思います。

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