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リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第13節 ビジャレアル対レアル・ベティス レビュー「変わるもの、変わらないもの」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン第13節、ビジャレアル対レアル・ベティスは、2-1でビジャレアルが勝ちました。

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今回は以下のようなテーマで書いています。

1.メンバーを変えずにシステムを変えたビジャレアル
2.システムは相手や状況に合わせて変わるもの
3.変わるもの、変わらないもの

メンバーを変えずにシステムを変えたビジャレアル

この試合に臨むにあたって、ビジャレアルはシステム(チームオーガニゼーション)を普段採用している「4-4-2」から「4-3-1-2」に見えるチームオーガニゼーションに変更しました。

「3」のポジションは、左からカソルラ、カセレス、トリゲロス(前半途中からモルラレス)、「1」のポジションにフォルナルスを起用。FWの2人には、ジェラール・モレノと右MFで起用されることが多いチャックエズが起用されました。

ビジャレアルが普段採用しているチームオーガニゼーションを変更したのは、レアル・ベティスのサッカーに対応するためです。

レアル・ベティスは「3-5-2」というチームオーガニゼーションを採用しています。両チームのチームオーガニゼーションを照らし合わせると、以下の図のようになります。(緑:レアル・ベティス、黄色:ビジャレアル)

ビジャレアルの狙いは、FW2人の守備によってレアル・ベティスのDFからのパスコースを限定させる、そして、レアル・ベティスのMF3人に対してビジャレアルのMF3人がマークについてボールを奪うことでした。

ビジャレアルがこの守備を実行すると、レアル・ベティスのサイドのMF2人に対応する選手がいなくなってしまうように見えますが、ビジャレアルはサイドのDFが前に出ることで対応し、FWには中央のDFが対応、中央のDFが空けたスペースは、MFのカセレスが対応することで、スペースが空かないようにしていました。

ただし、サイドのMFにパスが通ってしまうと、ビジャレアルのDFが応対するのが少し遅れてしまいます。ビジャレアルとしては、サイドのMFにパスを出させず、中央でボールを奪いたい。レアル・ベティスとしては、中央から攻撃を仕掛けつつ、サイドを使いながらボールを奪われずに、相手陣内に運びたい。こうした、両チームの狙いがはっきり伝わってくる試合となりました。

ビジャレアルが中央でボールが奪えればシュートチャンスを作れるし、ビジャレアルの守備をかいくぐって、サイドからボールを運べれば、レアル・ベティスがシュートチャンスを作るといった具合に、両チーム一進一退の攻防が続きました。

勝敗を分けたのは、セットプレーです。ビジャレアルはレアル・ベティスの守備の問題を2回連続でついてみせました。

ビクトル・ルイスのヘディングシュートはゴールキーパーに防がれてしまいましたが、続けざまに得たコーナーキックをジェラール・モレノが得点。この得点の2分後にチャックエズが得点し2-0。この2得点によって、ビジャレアルが優位に立ちました。

システムは状況に合わせて変わるもの

2点を取らなければならなくなったレアル・ベティスは、2人の選手を入れ替え、チームオーガニゼーションを「4-4-2」に変更します。

ビジャレアルもレアル・ベティスの変更にあわせて、「4-4-2」に変更したのですが、どうも守備が上手く機能せず、「4-3-3」に変更します。レアル・ベティスの得点を1点に抑え、どうにか勝つことに成功しましたが、少しバタバタしてしまいました。

システム(チームオーガニゼーション)は、「戦術」を実現させるための手段であり、状況に応じてチームオーガニゼーションは変わります。両チームとも状況に応じてシステムを柔軟に変更し、試合を優位に進めようと、90分を通じて試行錯誤を続けていました。こうした戦術の柔軟な変更は、Jリーグではほとんど見ることが出来ません。リーガ・エスパニョーラのレベルの高さがよく分かる試合でした。

変わるもの、変わらないもの

僕は前節のレビューで、結果が出ていないジェラール・モレノとフォルナルスをどうするのかということを書きました。2人ともチームや監督が期待している選手ですが、これまで結果が出ていないので、スターティングメンバーから外すことも十分考えられました。

しかし、監督の決断は、チームオーガニゼーションは変えても、選手は変えないというものでした。結果的には、ジェラール・モレノは1得点し、フォルナルスは再三にわたって素晴らしいパスを披露し、チームの攻撃を牽引しました。

もちろん、2アシストしたカソルラの活躍も忘れてはいけません。ただ、監督としては、期待していたジェラール・モレノとフォルナルスが好プレーを披露してくれたことのほうが嬉しかったのではないのでしょうか。

どんなチームも、使える選手には限りがあります。お金にも限りがあります。好きな選手を、好きなだけ集めてくることができるわけではありません。「人」「モノ」「お金」といった持っている資源を有効に活用するためにはどうすればよいか。どのチームも知恵を絞っていますが、一番悩ましいのは、結果が出ないときにどこまで辛抱できるかだと思います。

(僕のような)周りにいる人は、「変えろ」と簡単に口にしますが、チームに代わりになるような選手が簡単にいるなら、とっとと代えてますし、そもそもその選手が試合に出ていない可能性が高いです。

試合に出ているということは、試合に出場できるだけの価値を提供できる選手だからです。価値を提供できるということは、代えがきく選手ではないということです。

限られた資源をどう有効活用するか。どんな会社でも、どんなチームでも悩む問題ですが、サッカークラブは勝敗がはっきりしているので、実行した戦略や戦術の優劣が分かりやすい一方で、勝敗に左右されずに継続すべきこともあり、その見極めがとても難しいと、試合のレビューを書きながら感じています。

「変わるもの、変わらないもの」

この2つをどう見極めて、チームをアップデートしていくのか。引き続き注目したいと思います。

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リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第13節 ビジャレアル対レアル・ベティス レビュー「変わるもの、変わらないもの」

西原雄一

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西原雄一

プロ・スポーツレビュアー。note「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」で #川崎フロンターレ #ビジャレアル と #Bリーグ のレビュー連載中。趣味は愉快な人同士をつなぐこと。#coffee ☕好き。

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勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。それがスポーツの楽しみ方の原点だと思う一方で、スポーツの楽しみは勝ち負けだけじゃないはずだ。勝ち負けだけじゃない、スポーツの楽しみ方とは何か。
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