書評「それからの僕にはマラソンがあった」(松浦弥太郎)

僕は松浦弥太郎さんのエッセイが好きで、何冊も読み、松浦さんの仕事や生活に対する向き合い方を参考にしてきました。

松浦さんのエッセイには、ランニングに関する記述がいくつか登場するので、松浦さんがランニングをしていることは知っていました。しかし、なぜか、松浦さんのランニングに関するエッセイは、読んだことがありませんでした。

松浦さんは、なぜ走るのか。なぜ走るようになったのか。

本書「それからの僕にはマラソンがあった」は、「走る」ことに関する、松浦さんのエッセイと、「Ekiden News」というメディアや、「オトナのタイムトライアル」というランニングイベントを主催し、ランニング好きに支持されている、西本武司さんとの対談が収められた書籍です。

松浦弥太郎さんがランニングを始めたきっかけ

本書の「まえがき」を読んで、驚きました。なぜなら、松浦さんがランニングを始めたきっかけが、仕事によるストレスだったからです。松浦さんがランニングに関するエッセイを書かなかったのは、辛かった頃の自分と向き合わなければならなかったからかもしれません。

「暮しの手帖」の編集長に着任して三年ほどたったころ、無我夢中で働いていたにもかかわらず、がんばった分に見合うだけの成果がでず、かつて経験したことがないほど苦労が続いていたそうです。

疲れがたまり、睡眠障害が日常になり、休日に家にいても、つねに仕事のことで頭を働かせていたら、目に見えて体力が落ち、集中力が落ち、とうとう帯状疱疹が出てしまったのだそうです。

心療内科の戸をたたき、クスリを処方してもらったものの、どうしても飲む気になれない。「仕事が忘れられるような、現実から少し離れられるような、ストレス発散とでもいうような事をしてみよう」と思った時、松浦さんの頭をよぎったのは「ちょっと走ってみようか」という考えでした。

思いつきで走り始めた松浦さんですが、最初は思うように走れません。しかし、走り終えた時に感じる「心地よい疲れ」に魅せられ、忙しい中時間を調整し、ランニングを続けます。怪我をしたらフォームを見直し、トレーニングを見直し、走る距離や頻度など試行錯誤していくうちに、松浦さんはあることに気がつきます。

これは、普段の仕事と同じではないか、と。

まずは、走る。

人はなぜ走るのか。人によって答えは様々だと思いますが、僕の元同僚に「仕事の悩みを解決するために走る」と答えた人がいます。

頭の中に考えたいことをもって走りに行くと、なぜか走り終えるころに解決策が浮かぶ。そんな事が何度もあるそうです。

僕も、悩んだり、辛いことがあると、走りに出かけたり、散歩に出かけます。歩きながら考えていると、大抵の悩みに対する解決策は浮かびます。

立ち止まって、床に寝そべって悩んでいても、何も解決しない。

まずは、走る。考えるのはそれからだ。

本書は、そんな当たり前の事を教えてくれます。


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西原雄一

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