2018年J1第13節 川崎フロンターレ対FC東京 プレビュー「データから分かるFC東京の特徴と齋藤学に注目する理由」

2018年J1第13節、川崎フロンターレの対戦相手はFC東京です。まずは、Football-Labに掲載されている前節までのデータを元に、FC東京のデータから分かる特徴を紹介したいと思います。

プレビューで紹介する「2つの指標」

1つ目は、「チャンス構築率」。これは、シュート数を攻撃回数で割った指標で、1回の攻撃でどのくらいの確率でシュートチャンスを作れるかを把握するためのデータです。このデータから、チームのビルドアップ(攻撃の開始からシュートチャンスを作るまで)の特徴を把握することが出来ます。

2つ目は、「シュート決定率」。これは、得点数をシュート数で割った指標で、何本シュートを打てば得点を奪えるのか、把握することが出来ます。

2つの指標ともに、10%を目安にしています。守備では「被シュート構築率」「被シュート決定率」という指標に着目することで、シュートチャンスを作らせない守備がどのくらい出来ているのか、得点を奪われない守備が出来ているのかを把握することが出来ます。

シュート成功率がリーグ1位のFC東京

前節までのFC東京の攻撃のデータを分析すると、攻撃回数は121.4回でリーグ15位、シュート数は11.3本でリーグ14位、チャンス構築率は9.3%でリーグ13位、シュート成功率は13.3%でリーグ1位です。

FC東京の攻撃のデータで気になるのは、シュート成功率がリーグ1位というデータです。しかし、攻撃回数はリーグ15位、シュート数もリーグ14位と、攻撃を仕掛ける回数も、シュート数も、リーグ内では多いチームではありません。

詳しくデータを分析すると、30mライン進入回数は38.4回でリーグ16位、ペナルティエリア進入回数は12.1回でリーグ16位。このデータからは、FC東京というチームは、「攻撃を仕掛ける回数も少なく、相手陣内、ペナルティエリアにボールを運ぶ回数が少ない」ということが分かります。つまり、ボールを持って、攻撃を仕掛ける回数も少ないのです。

FC東京がボールを持って攻撃を仕掛ける回数が少ないというのは、1試合平均のボール支配率が45.5%でリーグ14位、パス本数が387.8本でリーグ16位というデータからも分かります。

しかし、FC東京は攻撃回数が少なく、シュート数も少ないものの、シュート成功率はリーグ1位。興味深いのは、ゴールの枠内にシュートした本数を示す「枠内シュート本数」は、1試合平均4.2本でリーグ8位。つまり、確実にゴール枠内に飛ばすシュートが多いから、シュート成功率が高いというわけではないということです。このデータからは、もしかしたらFC東京は、成功しているシュートと失敗したシュートがはっきりと分かれているのかもしれないということが考えられます。

FC東京の攻撃に関するデータを調べると、面白いデータが2点見つかりました。

1つ目は、PKでの得点数(3得点)がリーグ1位というデータです。もしかしたら、シュート成功率が高いのは、PKからの得点が多いからということも考えられます。

2つ目は、ドリブルの回数が9.8回でリーグ17位というデータです。ドリブルが少ないので、直接フリーキックの回数も1試合平均11.0回でリーグ17位。このデータから分かることは、FC東京はドリブルを用いて相手陣内にボールを運んでいるわけではない、ということです。

では、どのようにFC東京は相手陣内にボールを運んでいるのか。それは、ロングパスだと思います。ロングパスで相手DFの背後を奪い、素早く相手陣内にボールを運び、シュートを打つか、もしくはPKを奪う。サイドから攻撃を仕掛ける回数は多くありません。クロスの本数は1試合平均12.8本でリーグ16位。これは川崎フロンターレに次ぐ少なさです。

はっきりしたことは言えませんが、これだけは言えます。

FC東京というチームは「ボールを持たせる事を恐れない」チームだということです。ボールを持っているから自分たちのペースで試合を運べているわけではない。むしろ、ボールを持っているということは、FC東京のペースであり、FC東京の攻撃チャンスでもある。そう考えることも出来ます。

オフサイドは少なく、インターセプトが少ないFC東京の守備

FC東京の守備のデータを分析すると、被攻撃回数は、128.0回でリーグ9位、被シュート数は12.4本でリーグ9位、被チャンス構築率は9.7%でリーグ9位。被シュート決定率は8.7%でリーグ8位です。

FC東京の守備のデータで気になったのは、間接フリーキックの本数とインターセプトの回数です。

間接フリーキックの本数は、1試合平均1.2本でリーグ16位。間接フリーキックの本数は、ほぼオフサイドを獲得した回数です。このデータからは、FC東京の守備はオフサイドを積極的に奪いにいくような守備をしているわけではないということが分かります。

そして、相手のパスをカットし、自ら保持した回数もしくは味方に渡したプレーの回数を示す「インターセプト回数」は、1.4回でリーグ18位。このデータからは、相手のパスを積極的に奪う守備を仕掛けてくるわけではないということが分かります。インターセプト回数がリーグ1位のサンフレッチェ広島とは、守備が全く違います。

つまり、FC東京はある程度自陣で守り、わざと相手ゴールから遠ざかります。ゴールから遠ざかることで、FWの前にはボールを運ぶスペースが広がります。このスペースを上手く活用して、ボールを運び、シュートを決める。こうした戦い方を仕掛けてくるチームなのです。

川崎フロンターレとしては、DFの背後のスペースを狙ってくるロングパスに対して、どのように対応するかがポイントだと思います。また、FC東京は川崎フロンターレにボールをもたせ、中央から川崎フロンターレが攻撃を仕掛けてくれば、距離を詰め、ボールを奪おうとしてくるはずです。

FC東京の狙いを踏まえて、どう対応するのか。どう相手の狙いを外すのか。そして、どこまで相手の狙いに付き合うのか。相手の狙いに付き合わないのか。それが、この試合のポイントです。

齋藤学はもう他の選手と同じ目線で見よう

この試合の川崎フロンターレは、チョン・ソンリョンが出場停止。そして、中2日で迎える試合ということで、武岡、齋藤学、田坂、守田、知念といった選手たちがスターティングメンバーで出ることが予想されています。僕が注目しているのは、齋藤学です。

前節、齋藤は途中出場しましたが、決してよいプレーをしたとは言えません。ただ、齋藤が上手くプレー出来なかった要因としては、齋藤の周りに多くの選手が集まってしまい、齋藤が得意なドリブルを仕掛ける場所がなかったことも要因だと思います。

川崎フロンターレの他の選手は、短い距離でのパス交換を好むので、選手間の距離は狭いほうが良いのですが、齋藤や長谷川はドリブルを仕掛ける場所があった方がよいので、あまり近づかないほうが良いのです。

この試合は右MFは田坂が務めるため、家長のようにボールに寄ってくることはないと思います。したがって、ある程度ドリブルを仕掛ける場所を確保した上で、プレー出来るように工夫すると思います。

齋藤も途中出場を続け、ACLの蔚山現代戦ではスターティングメンバーでプレーし、そろそろ怪我の再発のリスクも減りつつあると判断し、このタイミングでスターティングメンバーに入るというのは、予定通りなのではないかと思います。したがって、齋藤のプレーを恐る恐る見ていたサポーターも多いと思いますが、もう他の選手と同じ目線で見てよいと思います。

お客様として、品定めする期間は終わりました。もう1人の選手として、厳しく、温かい目線で、チームにどれだけ貢献しているのか、判断していく段階にきたのだと思います。

そして、齋藤は現段階では、長谷川より優先度が高いとは言い切れないと思います。鬼木監督のなかでは、長谷川がある程度計算できるので、齋藤がどのくらいプレーできるのか判断しているのだと思います。齋藤はこのチャンスを活かせなければ、長谷川の方が試合出場機会が増えてくるはずですし、阿部や家長といった選手を脅かすようにならなければ、川崎フロンターレのチームとしての成長はありません。

他の選手達が疲労で疲れている状態で臨む試合で、どのくらいドリブルでボールを運んでくれるのか。ドリブル数が少ないFC東京との対戦だからこそ、齋藤のプレーは楽しみです。


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西原雄一

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