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書評「アイデアのつくり方」

本書はとにかく文章量が少ない。まえがきを含めても40P程度しかないので、あっという間に読むことができる。ただ、本書に書かれているメッセージはシンプルだが「これしかない」と思わざるを得ないほど力強く、説得力がある。

本書「アイデアの作り方」は1975年に出版された、タイトル通り「アイデアの作り方」について書かれた書籍です。

アイデアの作成は流れ作業

本書の特徴を紹介のに頻繁に用いられるのは、アイデアの定義アイデアの作り方であろうと思うけど、僕が最も本書で重要なのは、「アイデアの作成は流れ作業である」と定義したことだと思う。

アイデアの作成はフォード車の製造と同じように一定の明確な過程であるということ、アイデアの製造過程も一つの流れ作業であること、その作成に当って私達たちの心理は、習得したり制御したりできる操作技術によってはたらくものであること、そして、なんであれ道具を効果的に使う場合と同じように、この技術を修練することがこれを有効に使いこなす秘訣である。

本書は「ひらめいた」「天から降りてきた」というように表現されるアイデアが生まれたきっかけとして表現される事象も、アイデアを作る工程の一つとして定義されている。アイデアが生まれたのは偶然ではなく、ただ生まれる工程を無意識のうちにたどっていたに過ぎない。そのことを本書は教えてくれる。

アイデアは偶然生まれるのではない

本書を読んでいて思い出したのは、村上春樹さんの言葉だ。

村上春樹さんはランニングに関するエッセイ「走ることについて語るときに僕の語ること」で、ランニングと自身の創作過程を重ね合わせて文章を紡いでいる。村上春樹さんは、小説を書く作業を支える集中力や持続力を維持するための仕組みを、ランニングを通じて学んだと書いている。頭の中の世界を表現することは、偶然が生むものではなく、ある過程を経て生まれるのだ。

本書から学ぶべきポイントは、アイデアを生むための過程であり、アイデアを生むための過程を自分なりに作り出し、生活の中で実行し続けることなのだと思う。アイデアは偶然から生まれるのではなく、偶然生まれる過程を経ていたに過ぎない。そのことを知っているかどうかで、生産性は大きく変わってくる。本書を読み終えて、そう感じた。


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