リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第9節 ビジャレアル対アトレティコ・マドリー レビュー「ようやくビジャレアルが理解できた」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン第9節、ビジャレアル対アトレティコ・マドリーは、1-1の引き分けでした。

試合のハイライト

ビジャレアルが抱えている課題

僕はこの試合を見るポイントとして、「ビジャレアルがどう修正するのか」に注目していました。

ビジャレアルの課題は攻撃です。8試合を終えて得点は6。失点数は7点と1試合平均1失点を下回っており、前節のエスパニョール戦の3失点がなければ、もっと少ない可能性もありました。

失点数は少ないのに、順位が上がらないのは、得点が奪えないことが要因でした。得点が増えないため、勝利が求められるホームゲームでの勝ち点が増えず、ホームゲームの成績は1分3敗。3敗はすべて1点差負け。勝ち点を増やすために、得点を増やすことが求められました。

得点を増やすには、成功する確率が高いシュートチャンスの数を増やす必要があります。成功する確率が高いシュートチャンスの条件には、以下の状況が挙げられます。

1つ目は、ゴールからの距離です。ゴールから1mのシュートと、ゴールから50mのシュートでは、1mのシュートの方が成功する確率は高くなります。したがって、ゴールから近い場所までボールを運ばなければ、シュートチャンスも増えないし、得点も増えません。

2つ目は、成功率の高いシュートチャンスを増やすことです。フリーキックやコーナーキックといったセットプレーを増やすことや、シュートの上手い選手にシュートチャンスをより多く与えられるようにすると、得点が増える可能性が高まります。

他にもいくつか考えるべき要素はありますが、シュートチャンスを増やすこと、できれば、成功率の高いシュートチャンスを増やすために、どのチームも工夫しています。

ビジャレアルの課題は、ゴールから近い位置にボールが運べていないことにありました。

成功率が高いシュートチャンスを作るには、左右のサイドと中央の3箇所からボールを運び、ペナルティーエリアに侵入していく必要があります。ビジャレアルはハーフラインは超えられるのですが、ペナルティーエリア内までなかなかボールを運ぶことができませんでした。

第7節のレビューでも書きましたが、改めておさらいします。ビジャレアルは攻撃時には以下のようなチームオーガニゼーションを採用します。

中央のDFはペナルティエリアの横幅に開き、中央のDFの間に2人のMFが立ちます。注目して欲しいのは、FWの位置とFWの近くに位置するMFの位置です。守備時は左右のMFを務める選手が、攻撃時は中央に入ってくるのが、ビジャレアルの特徴です。

このチームオーガニゼーションは、DFと中央のMFとのパス交換から、円滑にサイドと中央を攻撃したいという意図から採用しているのだと思いますし、中央のMFと中央のDFに左利きの選手を採用していることからも、監督の意図が読み取れます。

このチームオーガニゼーションを保てていれば、中央のDFからは直接FWにパスを出すことができますし、中央のDFにはMFとサイドのDFと、近くに2つのパスコースがあります。サイドのDFはドリブルでタッチライン際を駆け上がってクロスを上げるのが役割ではなく、あくまでDFとMFとのパス交換を円滑にする役割を担っています。

そして、サイドのMFが中央に入ることで、相手チームが「4-4-2」で守っているならば、相手チームのMFの背後でボールを受けてもらい、中央からボールを運ぼうという意図があるのです。FWはペナルティエリアの幅まで移動した後、ゴール前までボールが運ばれてからは、得点を奪うために、ゴールに対して斜めに動いて、ペナルティエリアに侵入してきます。

この攻撃で得点を奪うには、中央のDF、中央のMF、そして、サイドから中央に侵入するMFとの連携が不可欠です。そして、素早くパス交換しないとチームオーガニゼーションは維持できないので、ボールを正確にコントロールし、速いスピードでパスすることが求められます。

ビジャレアルはこれまでの8試合を見ていると、連携がスムーズにいかず、ボールを運ぶスピードが遅くなってしまい、なかなかペナルティーエリアに侵入することができませんでした。僕が注目していたのは、選手同士の連携がどう改善されているかでした。

選手同士の連携がだいぶ改善される

結論を先に申し上げると、選手同士の連携はだいぶ改善されました。特に改善されたのが、FW、サイドのMF、サイドのDFの連携です。

この試合は、これまでにサイドのMFで起用されていたフォルナルスをFWに、左MFに左利きのペドラサ、右MFにカソルラを起用し、中央のMFで起用されることが多かった、フネス・モリを左中央のDFに起用しました。

効果的なプレーを披露したのが、フォルナルスとペドラサ、そして中央のMFのトリゲロスです。フォルナルスはボールを持つと、相手が予想しないコースへのパスやドリブルを披露し、相手の守備を攻略できる選手なのですが、サイドから中央に侵入するタイミングが悪くて相手に捕まってしまうことがありました。ところが、この試合を見る限りは、常に相手の守備者の間に動き、相手に捕まらない位置でボールを受けることが出来ていました。

左MFのペドラサの動きも効果的でした。ビジャレアルのMFとFWは、相手DFの背後を狙って動く選手は少ないのですが、ペドラサは相手の背後を何度も狙い、アトレティコ・マドリーの守備者を動かすことに成功します。

ペドラサの動きによって、少しずつボールを受けるスペースが生まれ、フォルナルス、カソルラといった選手たちがボールを受けられるようになり、中央のMFを務めるトリゲロスからテンポよくパスが届き、左右のサイドと中央から攻撃ができるようになりました。この試合のトリゲロスは本当に素晴らしかった。文句なしのマン・オブ・ザ・マッチです。パスが上手いカセレスも怪我から復帰し、テンポのよいパス交換を披露しました。

これは予想ですが、代表戦が行われている間、ビジャレアルは「いつ」「どこに」「誰が」「どう」動くのかを徹底的にトレーニングしたのではないかという気がします。ビジャレアルのサッカーはとても緻密でして、11人が決められたルールに基づいて、正確に、タイミングをあわせて動かなければ、機能しません。これまでは選手がアクションを起こすタイミングがずれていたのですが、この試合はタイミングがズレていると感じる場面は、ほとんどありませんでした。トレーニングの成果が出た試合だと思います。

ようやくビジャレアルがやりたいサッカーが理解できた

この試合を見ながら、「ビジャレアルはこんなサッカーがやりたかったのか」と初めて理解できた気がします。

もし、ビジャレアルがこれからリーガで勝ち点を増やし、UEFAヨーロッパリーグで勝ち点を増やしていくとしたら、この試合がきっかけになるかもしれません。この試合をチームが上昇するきっかけになるのか。楽しみです。

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西原雄一

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