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イングランド・プレミアリーグ第1節 フラム対クリスタルパレス レビュー

イングランド・プレミアリーグ第1節、フラム対クリスタルパレスは2-0でクリスタルパレスが勝ちました。

思いつきなのですが、2017-18シーズンは、Daznでイングランド・プレミアリーグと、リーガ・エスパニョーラの試合が見れるので、レビューを書こうと思います。

ただし、普通に書くのは面白くない。そこで、こんなルールを思いつきました。

イングランド・プレミアリーグなら、マンチェスター・シティ、アーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム・ホットスパーの試合のレビューは書かない。

リーガ・エスパニョーラなら、FCバルセロナとレアル・マドリーのレビューは書かない。こんなルールで運用してみようと決めました。

あまり人が書かない試合のレビューを、あえて川崎フロンターレの試合を見ることが多い、有料購読マガジンの読者限定で公開したいと思います。さて、果たして誰が読むのでしょうか!

ボールを保持したが枠内シュートが少なかったフラム

この試合は、フラムがボールを保持して攻撃し、クリスタルパレスが守るという時間が長く続きました。フラムのボール保持率は66%と、クリスタルパレスを大きく上回りました。

しかし、シュート数はフラム15本に対して、クリスタルパレスは10本。ゴールの枠内に飛ばしたシュート数は、フラムが6本に対してクリスタルパレスは10本。クリスタルパレスの方が、より得点する確率が高いシュートチャンスを作っていたといえます。

フラムがボールを保持できた要因

フラムがボールを保持できた要因は、フラムのフォーメーションです。フラムは攻撃時に4-3-3というフォーメーションを採用していたのですが、フラムの中央のDFを務めるチェンバースとル・マルシャンの2人、MFのケヴィン・マクドナルドの3人のパス交換に対して、クリスタルパレスは上手く対応できませんでした。対応できなかった要因は、クリスタルパレスのフォーメーションと、守備をしない選手がいたことです。

クリスタルパレスのフォーメーションは4-4-2。FWには、ウィルフレッド・ザハとクリスティアン・ベンテケの2人が配置されているのですが、試合序盤のこの2人は守備時にパスコースを消し、ボールを奪いにいくようなアクションをほとんどしません。そして、フラムの3人のパス交換に対して、クリスタルパレスは2人で守っているため、フラムは数的優位を活用して、センターラインを越えることに成功していました。

また、クリスタルパレスの右MFのタウンゼントは、ボールを持っている時は、左足の強烈なシュートや、ボールを運ぶスピードが速く、相手の守備を攻略するのに欠かせない選手なのですが、守備時はボールを奪う時のアクションが遅かったり、戻るべき場所に戻るのが遅かったりと、守備時のアクションが他の選手に比べて遅い傾向があります。

フラムは対面のセセニョンは、タウンゼントが作る「ズレ」を上手くついて、タウンゼントの背後や、守備者の間でボールを受け、ペナルティエリア付近まで何度もボールを運び、シュートチャンスを作り出していました。前半41分に生まれたシュラップのゴールがなければ、フラムが勝っていた可能性もありました。

ただ、フラムの守備も問題がありました。ボールを奪われた後、戻るべき場所に戻るのが遅く、相手選手のアクションに対するマークを怠る傾向があるのです。

さらに、アクションが遅いにもかかわらず、DFラインは相手ゴール近くに設定されていて、攻撃時にサイドのDFも相手陣内に侵入しているため、攻撃を受けた時は守備者の人数も足りず、数的不利になってしまうのです。クリスタルパレスはフラムにボールを持たせ、上手く守備の問題をつくことに成功しました。

クリスタルパレスは守備の問題をどう修正したのか

シュラップのゴールが生まれた後、クリスタルパレスは守備を修正します。MFのマクドナルドにFWのザハをマークさせ、DFのル・マルシャンにベンデケをマークさせ、フラムが起点にしていた、左サイドの攻撃と中央からボールを運ぶ回数を減らすことに成功しました。

フラムのシュートチャンスは、サイドからのクロスからしかありませんでした。セルビア代表のミトロビッチは、クロスからのヘディングシュートが得意な選手ですが、攻撃時にボールを受け、低いパスに走り込んでシュートを打つのが得意な選手ではありません。

したがって、サイドからのクロスの精度が低く、相手DFがしっかり守っていると、なかなかシュートチャンスは作れません。ミトロビッチは何度もシュートチャンスを迎えましたが、得意なパターンではなく、ミドルシュートが多かったため、クリスタルパレスのGKのヘネシーが止められる範囲にシュートが飛んでしまいましたし、クリスタルパレスが修正してからは、時間が経つにつれて、シュートチャンスも減ってしまいました。

修正が遅かったクリスタルパレス

クリスタルパレスは、守備を修正したことが勝因だと思いますが、マクドナルドにザハをマークさせる程度の修正なら、前半20分くらいまでには対応するか、試合開始時から実施してもよいと思いました。

また、MFのタウンゼントの守備も気になりました。今後の対戦相手は、タウンゼントの守備の問題を把握した上で、攻撃を仕掛けてくるはずです。もしかしたら、強豪チームとの対戦では、タウンゼントを外して、守備をしてくれる選手を起用するかもしれません。

フラムは何を優先したかったのか

フラムは時間が経つにつれて、なかなかボールが相手陣内に運べなくなってしまいました。特に後半16分にシュールレに代わってカマラを入れた後、カマラは身体が強く、ボールを運べる反面、シュールレのように守備者の背後や間で受ける動きがないので、クリスタルパレスの守備を動かすことが出来ず、クリスタルパレスがDFラインを自陣ゴール付近に下げたこともあり、カマラの強みが活かせず、クリスタルパレスの守備を攻略することは出来ませんでした。

FWの両サイドに、セセニョンとシュールレという、守備者の間で受けるのが上手い選手を起用しているのに、シュートチャンスを作るのは、クロスから。そして、クロスに飛び込むのは、ミトロビッチだけ。これではなかなかチャンスは作れません。

中央からの攻撃でシュートチャンスを作りたいなら、ミトロビッチにはもっとセセニョンとシュールレを活かすために、守備者の背後を狙う動きを増やさなければならないと思いますし、ミトロビッチを活かすなら、クロスにあと1人誰か飛び込まないと、得点は奪えないでしょう。シュートチャンスを作り出すのに、手間がかかりすぎていることも、守備時のアクションが遅れている要因だと感じました。

来週からはリーガ・エスパニョーラも開幕します。リーガ・エスパニョーラ第1節は、ビジャレアル対レアル・ソシエダのレビューを書くつもりです。

photo by Tom

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