リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第15節 ビジャレアル対セルタ・デ・ビーゴ レビュー「アイデンティティを取り戻せ」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン第15節、ビジャレアル対セルタ・デ・ビーゴは、2-3でセルタ・デ・ビーゴが勝ちました。

この記事は全文は無料でご覧頂けますが、投げ銭制を採用しています。もし気に行ったら、投げ銭して頂けたら嬉しいです。

今回は以下のようなテーマで書いています。

1.したたかだったセルタ・デ・ビーゴの攻撃
2.機能しなかったビジャレアルの守備
3.選手の強みが発揮できるポジションと異なるポジションでの選手起用
4.アイデンティティを取り戻せ

したたかだったセルタ・デ・ビーゴの攻撃

この試合のポイントは、セルタがビジャレアルの守備を攻略するために実行した攻撃を、ビジャレアルが抑えきれなかったことだと思います。

セルタがビジャレアルの守備を攻略するために狙ったポイントは2点あります。

1点目は、ビジャレアルのDFの背後のスペースてす。ビジャレアルのDFは足が速い選手が少ないので、イアゴ・アスパスという背後を取るのが上手い選手の強みを活かそうとしました。

2点目は、MFのカセレスの両脇のスペースです。

この試合のビジャレアルは、フォルナルスをFW2人の間でプレーする「4-3-1-2」とも表現できるチームオーガニゼーションを採用しました。

このチームオーガニゼーションを採用すると、フォルナルスの強みであるDFの間や背後へのパスは引き出しやすくなるのですが、守備時にフィールドの横幅を3人で守る必要があるだけでなく、相手チームが4-4-2のチームオーガニゼーションを採用すると、両サイドのMFをマークする選手がいなくなってしまいます。

そして、ビジャレアルは攻撃時にカセレスの両脇でプレーするトリゲロスとカソルラがFWの近くでプレーするので、ボールを奪われるとどうしてもカセレスの両脇にスペースが生まれてしまいます。

セルタはビジャレアルの守備の問題を把握した上で、巧みに問題をついてきました。DFの背後を狙うために、自陣でボールを持ち、ビジャレアルがボールを奪いにくる位置を自陣に引き出します。

ビジャレアルがボールを奪いにきたら背後を狙う。背後が狙えないなら、カセレスの両脇にロングパスを出し、競り合ってこぼれたボールを拾って相手陣内に運ぶなど、単純に狙いたいスペースを狙うのではなく、狙いたいスペースを大きく広げてから攻撃を仕掛けていました。とてもしたたかな攻撃でした。

機能しなかったビジャレアルの守備

ビジャレアルはセルタの攻撃に対して、守備か上手く機能しません。特にFWのジェラール・モレノ(左)とチャックエズ(右)の2人がボールを奪いにいくタイミングが揃っておらず、セルタのDFに何度も外されてしまいます。

チャックエズがスターティングメンバーで起用されたのは、第11節からです。チャックエズは右サイドからドリブルでボールを運び、ペナルティエリア付近まで運んだら、左足でシュートを打つプレーを得意としています。

もちろん、ドリブルとシュートは上手いのですが、残念ながらそれだけの選手なのです。相手の背後を狙ったり、相手が食いついてきたら味方を活用したりといった、ドリブル以外のプレーで相手を攻略するプレーがないのです。

攻撃でも選択肢の少ない選手であるがゆえに、守備でもそこまで器用にプレーできるわけではありません。守備時のアクションが他の選手より遅く、ジェラール・モレノから何度か「早く動け」と促される場面がありました。前節も促される場面があったのですが、今節は前節より多かったように思えます。

ビジャレアルはチャックエズの守る位置にあわせて、トリゲロスが前に出るため、セルタに上手くボールを運ばれ、セルタの左MFのブファルとビジャレアルの右DFのマリオ・ガスパールが何度も1対1で対応する場面がありました。

ビジャレアルはジェラール・モレノとチャックエズの左右を入れ替えるのですが、チャックエズは左より右のプレーが得意な選手のようで、今度は攻撃が機能しなくなってしまいます。

ビジャレアルはシーズンが始まってから、FWとMFの組み合わせに苦労し続けました。試合ごとに組み合わせが変わる要因は、相手チーム対策というのもありますが、僕は「監督が起用したい選手がいる」からではないかと思いました。

選手の強みが発揮できるポジションと異なるポジションでの選手起用

監督が起用したいのは、ジェラール・モレノとフォルナルスの2人です。ジェラール・モレノは左足のシュートが正確なFWで、フォルナルスは相手DFの背後を狙うパスが上手い選手です。

ところが、この2人は強みが発揮できるエリアが限定されています。

ジェラール・モレノは右FW、フォルナルスは中央のMFが最も得意な選手です。この2人の適性に当てはめると、4-3-1-2が最適なのですが、この試合でジェラール・モレノが起用されたのは左FW。選手の強みを組み合わせて、選手を起用しているようにも見えず、守備も上手く機能していない。チグハグでした。

後半からトリゲロスに代わってエカンビを入れますが、チャックエズを右MFにしたため、守備の問題はさらに大きくなってしまい、ほころびは全体に広がり2失点。チャックエズを替えたのは0-3になってからでした。

僕が驚いたのは、チャックエズに代わって出場したバッカを左FWで起用したことです。バッカの強みは中央のFWを務め、ペナルティエリア内でプレーさせることで発揮されます。一方、中央のFWを務めたエカンビは、左サイドでプレーし、中央に入り込んでからの右足のシュートを得意としています。強みと起用されているポジションが合っていない。僕はそう感じました。

カソルラとバッカの技術で2点を返しましたが、フォルナルスは最後までシュートチャンスを作り出すようなプレーはできず。それでも監督は期待していたのか90分フォルナルスを起用しました。監督はフォルナルスに期待していたのだと思います。

僕はこの試合は勝てた試合だと思います。

せっかく第13節のレアル・ベティス戦で手にしつつあった勝つための戦い方を忘れ、選手の強みとプレーさせるエリアが異なるという事象を、重くみたのだと思います。この試合の終了後、監督以下スタッフを変えるという決断を下しました。

アイデンティティを取り戻せ

僕が監督交代後注目しているのは、ビジャレアルがチームとして掲げている「確固たるプレーモデル」に立ち戻れるかどうか、です。

ビジャレアルというチームは、守備のときは全員が忠実にアクションを起こし、スペースを埋めることで得点を与えず、攻撃時は確実にじっくりとパスをつなぎながら、シュートチャンスを作り出す攻撃を得意としています。カウンターも上手いチームですが、ボールを持つのも上手いチームです。

この試合では、選手がプレーすべきエリアをはみ出したり、戻るべきエリアに戻らないような「ビジャレアルらしくない」プレーが何度も見られました。ビジャレアルがもつプレーモデル、アイデンティティを取り戻せるか。ここが浮上のカギを握ると思います。

キーマンは、守備はアルバロ、攻撃はカソルラとバッカが軸になると思いますが、僕は前監督時に重宝されていたフォルナルスがどう起用されるか注目しています。

今週はヨーロッパリーグ突破がかかったロコモティフ・モスクワ戦があるにもかかわらず監督交代を決断したということは、僕が思っていたより、チームは「ヤバイ」と思っていたということでもあります。

チームの決断がどんな結果をもたらすか。注目したいと思います。

この続きをみるには

この続き:0文字
記事を購入する

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第15節 ビジャレアル対セルタ・デ・ビーゴ レビュー「アイデンティティを取り戻せ」

西原雄一

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートと激励や感想メッセージありがとうございます! いただいたサポートは移動費や機材補強などにありがたく遣わせていただきます!!

失敗とはトライしないこと
10

西原雄一

勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方

勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。それがスポーツの楽しみ方の原点だと思う一方で、スポーツの楽しみは勝ち負けだけじゃないはずだ。勝ち負けだけじゃない、スポーツの楽しみ方とは何か。
2つのマガジンに含まれています