ボブ・ディランの「FOREVER YOUNG」を元に作られた絵本「はじまりの日」

何気なく図書館で娘の絵本を探していた時、1冊の本が目に留まりました。その絵本は「ボブ・ディラン 作」と書かれていました。「ボブ・ディランが絵本??」。思わず興味を持った僕は、この絵本「はじまりの日」を借りてみることにしました。

実の息子に向けて作られた「FOREVER YOUNG」

「はじまりの日」はボブ・ディランの「FOREVER YOUNG」という曲を元に描かれた絵本です。「FOREVER YOUNG」という曲は、息子のジェイコブ・ディラン(The Wallflowersという素晴らしいロックバンドのボーカリストです。)の事を想って作られた1曲です。

「FOREVER YOUNG」は、ボブ・ディランの曲特有の難解な解釈を必要とする歌詞ではありません。ボブ・ディラン本人も「別に作詞作曲をやろうと意気込んだわけじゃなく、自然にうかんできて、そのままできあがった。なるべく感傷的にならないように努力しただけだ」と語っているように、シンプルで前向きで語りかけるような歌詞が特徴です。

ボブ・ディランの曲のモチーフとなったイラストが登場

「はじまりの日」は「FOREVER YOUNG」の歌詞をベースに、ポール・ロジャースという人が絵を描いています。絵の中には、ボブ・ディランの歌の世界に登場するモチーフがいくつも登場します。

「Like a Rolling Stone」に出てくるシャム猫や「Blowin In The Wind」に出てくる「どのくらい?(How Many?)」という問いかけがプラカードに書かれていたり、ボブ・ディランが敬愛するリッキー・ネルソンやウッディ・ガスリーのレコードの絵など、ボブ・ディランに対するイラストレーターの敬意がところどころに感じられます。

曲のメッセージをより前向きに理解できる翻訳

あと、この絵本は翻訳が素晴らしいです。アーサー・ビナードさんが「FORVER YOUNG」を「はじまりの日」と翻訳したことによって、この絵本の世界観を日本語で味わうことができるようになりました。また、シンプルで子供でも理解できる言葉で翻訳されているので、曲のメッセージを誰でもより前向きに理解できるようになっています。

ボブ・ディランの歌は人によって様々な解釈ができる歌詞の曲が多く、正しく意味を理解するのは難しいこともあるのですが、こうして絵本という形で歌の世界を伝えることは、歌詞がよく分からない人だけでなく、ボブ・ディランを知らない人でも、曲のメッセージを理解する手助けになるんじゃないかと思いました。

子供だけでなく、読み聞かせる大人もぜひ読んでほしい1冊です。

※2013年5月公開の記事を転載

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