リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第22節 ビジャレアル対エスパニョール レビュー「ようやくスタートラインに立った気分」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第22節 ビジャレアル対エスパニョールは、2-2の引き分けでした。

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今回は以下のようなテーマで書いています。

前節から今節までの間に、ビジャレアルは監督が交代し、一度解任されたカジェハが監督に復帰しました。

前節のレビューにも書きましたが、この発表にはビジャレアルの会長自ら会見で発表しました。そのことが、今回の決断の重さと、本来トップチームをマネジメントするマネージャー(もしくはスポーツディレクター)のマネジメントが、いかに機能していなかったかが分かります。

僕はこの試合をレビューするにあたって、カジェハがどのような修正策をチームに持ち込むのか注目していました。結論から言うと、カジェハはきちんと修正策を用意し、ビジャレアルのサッカーを改善させることに成功しました。

カジェハが施した修正策

この試合のビジャレアルは「3-6-1」とも「3-4-2-1」とも言えるチームオーガニゼーションで戦いました。

2018-19シーズンのビジャレアルは、2つの問題に悩まされ続けていました。

1つ目はサイドからボールを運べる選手の不在です。

2018-19シーズンに臨むにあたって、カジェハは中央から攻撃を仕掛ける戦術を選択しました。(戦術についてはこのnoteに詳しく書いています。)

本当なら攻撃を仕掛けるには、中央だけではなく、サイドからも攻撃を仕掛けられるのが理想です。ところが、中央から攻撃を仕掛ける戦術を選択し、その戦術に適応できる選手を揃えたため、サイドからボールが運べる選手が少ないという状況を生んでしまいました。

2つ目は中央のDFとGKの間のスペースへの対応です。

ビジャレアルの中央のDFは足が遅く、自分の背後のスペースを守るのを苦手としています。したがって、相手チームはビジャレアルのDFの背後を狙ってロングパスを仕掛けるという攻撃を徹底的に仕掛け、ビジャレアルの守備を攻略してきました。GKのアセンホはシュートストップは得意なのですが、DFの背後をカバーしてくれるような選手ではないことも、上手く守れなかった要因です。

ロングパスを恐れるがゆえに、守る位置が下がり、FWとDFとの距離が広がり、ますますロングパスを蹴り込まれ、ズルズルとボールを運ばれて失点を繰り返すという場面を何度も見ていました。

この2つの問題を解決するために、カジェハは3-6-1を選択し、DF3人の中央にベテランでACミランでもプレーしたボネーラを起用しました。ボネーラも足が速い選手ではありませんが、DFが3人になったことで、カバーしてくれる選手がいるので、残り2人のDFが思い切って相手FWにボールを奪いにいけるようになりました。これによってDFの位置がより相手ゴール近くになり、ボールを奪える位置も、相手ゴールに近くなりました。

そして、3-6-1を選択したことで、サイドからボールを運ぶ選手がハッキリとし、サイドからの攻撃回数も増えました。

特にサイドMFだとボールを運ぶ能力に欠け、サイドのDFだと守備が心もとない左利きのペドラザの能力は、ウイングバックと呼ばれるDF3人のときのサイドの選手として起用すると、上手く活かすことができます。この試合のペドラザは、ポストに当たったシュートを放っただけでなく、何度もチャンスを作り出しました。

カソルラとアセンホというチームの柱が決まった

さらにビジャレアルのサッカーを改善させたのが、カソルラの中央のMF(ピボーテ)での起用です。

カソルラはチームで最も個人戦術に長けた選手です。「受ける」「外す」「運ぶ」「止める・蹴る」といった技術に長け、ファウルせずにボールを奪うのが上手い選手です。

ただカソルラにも弱点はあります。ボールを常に受けたいという気持ちが強過ぎて、普段プレーしているサイドを外れて、中央や逆サイドまで動いてしまうのです。川崎フロンターレでも家長が同じようなプレーをするので、チームが機能しない要因になっていたのですが、カソルラも家長同様に、チームの機能を妨げているところがありました。

僕はカソルラを中央でプレーさせた方が上手くいくと考えていましたが、ようやくこの試合では、イボーラと組んで中央のMF(ピボーテ)で起用されました。カソルラが中央でプレーしたことで、ビジャレアルはボールを奪われる回数が減り、スムーズに相手陣内にボールが運べるようになりました。

余談ですが、この試合のキャプテンはGKのアセンホが務めました。カソルラとアセンホは、このチームで数少ない、どんな試合でも安定して力を発揮できる選手です。アセンホはこの試合ではミスをしてしまいましたが、これまで何度もチームを救ってくれました。

ようやく、ビジャレアルは「誰を頼りにするのか」はっきりさせたと感じました。

守備で貢献したFWの3人

FWは右からジェラール・モレノ、エカンビ、フォルナルスと並びました。ジェラール・モレノとフォルナルスは、ペナルティエリアのラインの直線上のエリア(ハーフスペース)に位置し、上手くボールを受け続けました。

2人とも、中央でボールを受けるのは、上手くないけど、サイドでプレーするには足が遅いというタイプなので、この配置転換は2人の能力を上手く引き出しました。

そして、ジェラール・モレノ、エカンビ、フォルナルスの3人は守備でも貢献します。エスパニョールは中央のDF2人とMF1人(主にグラネロ)の3人のパス交換が上手く、パス交換で相手を外してボールを運んでくるチームなのですが、ビジャレアルはエスパニョールの攻撃の起点となっている3人をマンツーマンでマーク。前半は3人に思い通りにプレーさせませんでした。

ビジャレアルの戦術に対応したエスパニョール

ところが、エスパニョールもさすがです。後半からはビジャレアルの守備に素早く対応し、対策を実行します。選手を1人交代し、チームオーガニゼーションを4-3-3から4-4-2に変更。ビジャレアルのマンツーマンの守備と噛み合わないチームオーガニゼーションに変更し、ボールを奪われないように修正しました。

さらに2点リードを奪われた後は、イエローカードをもらっていた、左DFのフネス・モリと、中央のDFのボネーラの背後を狙う動きを仕掛けさせて、ビジャレアルのDFの守る位置を少しずつ下げさせます。時間が経つにつれて、FWの守備が機能しなくなり、FWとDFの距離が空いたビジャレアルはズルズルと交代し、2失点。引き分けに持ち込まれてしまいました。

次の試合がシーズンを左右する

残念ながら引き分けてしまいましたが、僕はそれほど悲観的にはなっていません。なぜなら、ようやくこのチームが残りの試合をどう戦えば良いか、糸口がつかめたからです。

後半に相手に対策されましたが、監督が代わって1週間で迎えた試合と考えれば、仕方がありません。むしろ2-0にできたことを、プラス要因として考えた方がいいと思います。

だからこそ、次の試合が重要になります。次の試合で勝てなければ、この試合で踏み出した前向きな一歩の意味がなくなってしまいます。チーム作りの遅れを取り戻すためにも、次は負けられません。

次の対戦相手は、レアル・バジャドリード。第7節に対戦し、0-1で負けた相手です。この試合の後、ビジャレアルはズルズルと順位を下げていきます。2018-19シーズンのポイントになる相手かもしれません。

僕が「勝負の三連戦」と位置づけた3試合は、完敗→(監督交代)→引き分け、と続いています。ここで勝てるかどうか。とてもとても注目しています。

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西原雄一

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