パチンコ店の店名公表問題

先日のノートで、魔女刈り的様相として、大阪府の吉村知事による、新型コロナウイルス感染症対策としての営業自粛要請に応じないパチンコ店の店名公表への危惧を書いた。

そんな中で、吉村知事は既定路線どおり、24日に店名を公表した。私のノートの書き込みのあとも、多くの著名人なども、パチンコ店の宣伝になるだけと指摘していた。

公表されたパチンコ店はかえってお客さんが増えているという。パチンコ自体は私はやらないが、社会では依存症の問題も出ており、軽々に営業を止めろというべき問題でもないと思う。

すべてを禁止したときに、依存症のひとたちのストレスの矛先がどこに向かうのかの研究も不十分なようで、社会的な影響も考えなければならない。少なくとも、この依存症の人たちの反動の問題への議論や対策を抜きに、新型コロナウイルス感染症対策だけを見て、店名公表により、間接強制しようとするのは、あまりに稚拙である。

そして、私が懸念したように、すでに業界差別的な傾向もでている。パチンコ店というだけで、営業しているのか、と第一声で聞かれるようだ。

今回の店名公表は、2つの点で失策と言える。
一つは、店名公表により、かえって近隣府県からのお客さんが集まるような状況を作っており、人が密集する環境を行政自ら作り出してしまったことである。

これは、感染症対策としてもっとも避けなければいけない事態である。飛行機は異常なほど欠航になっているが、電車、バスなどが大きく間引きしていないのは、減らせば人が密集するからだ。空いている状態にする方が密集を避け、ソーシャルディスタンスも取れる。絞り過ぎは、かえって感染症リスクを高めること、特にこのような嗜好関係は公表は逆効果になることを、いい加減、知事や政治家は勉強すべきである。

そして、二つ目は、これにより差別を助長したこと、魔女刈り的様相に行政が加担した既成事実を作ったことだ。カスタマーハラスメントが問題になっている昨今、このように行政が関与しすぎることは、公権力を使って自分たちの価値観に合わない人たちへのクレームを正当化し、価値観をゴリ押しすることを助長するだけで、状況は余計に悪くなる。
 そして、それに味をしめた人たちは、けしからんの大合唱で、差別や弾圧、バッシングを加速させる。

公表は行政がよくやる手法ではあるが、リスクコミュニケーションの観点では、このようなケースは公表は逆効果にしかならない。吉村知事にかぎらず、政府、専門家会議、知事などのリスクコミュニケーションのまずさも目立ちはじめた。
改めて、知見を蓄積してほしい。

どうでも良いときに勝ち誇っていた世耕議員、PR会社出身なら、こういうときこそ、知見を活かすべきなのに、最近は表舞台で名前を聞かない。何をしているの。

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