見出し画像

海外一人旅は、過去の自分を更新する最高のライフハック

昔、飲食店に勤めていたからか、食堂やレストラン、カフェなどでのお客さんの立ちふるまいに目がいきます。そこで思うのが、「背広を着たおじさんには、横柄な人が多いな」ということです。

もちろん全員が全員ではないんですが…。メニューを取りに来た店員さんの顔も見ず、無言でメニューを指差すだけの人。料理が運ばれてきても、会釈一つしない人。お金を投げて出す人。などなど。

食事をしているときも、非常に不機嫌そうな顔をしています。一言で言えば、「偉そう」なんですよね。

しつこいですが、全員というわけではないです。ただ若い人に比べると、その割合は圧倒的に多く見えます。


これって何でなんだろう、といつも思っていました。その時の状況や性格の違いはあるでしょう。

ただ偉そうにしている理由は、だいたい一つに絞れます。偉そうにしているということは、虚勢を張っているということです。虚勢を張るということは、自分に自信がないんです。


自分もまた、45歳のおじさんです。なので、その気持ちは理解できるんです。

今はものすごいスピードで世の中が変わっていますから。前提として、ITに疎いと話になりません。

昔は「教えてもらえると思うな。見て盗め」なんて威張っていたことが、検索やYouTubeですぐやり方を確認できます。この時点で検索スキルを持ち合わせていないおじさんは、若者に負けます。

価値観も変わりました。高級時計や持ち家、車などを持っているより、SNSでフォロワーの多い人が価値を持たれます。


必死で残業して働いていたら、いつのまにかゲームのルールが変わっちゃってたんです。素手と剣だけで戦っていたのに、知らないうちに魔法を覚えないと勝負にもならないみたいな。

そうなると、おじさんは若者に勝てる要素がなくなってしまいます。体力的に衰える一方ですからね…。

頭の回転や記憶力も鈍くなる。見た目も老いてくる(悲しい)。これを認めんがために、表面上は虚勢を張る。偉そうにする。そういうことなのではないかと。(もちろんステキなおじさんはたくさんいますよ!しつこいですが)


そこで提言です。そんな自信をなくしたホワイトカラーのおじさんこそ、一度でいいですから海外へ一人で行ってみましょう。なぜなら、謙虚さを思い出すからです。


もちろんツアーに入ったらダメです。日本人だけの団体で移動するみたいな、そんな安全圏にとどまったままの旅行であれば、そのグループの中で偉そうにするに決まっています。

自分で飛行機のチケットを取り、ホテルを予約する。現地で使用するスマートフォンやノートパソコンをどうするか決めて手配する。これらはすべて、ネットを使って行なえます。まずここで、ネットの素晴らしさに目覚めましょう。

現地の空港へ降り立ってからは、試練の連続です。入国カードの記載が必要であれば、記入しなくてはなりません。書いてある言葉は、現地語か英語。これを出せないと入国審査が通らないんですが、英語がわからないと軽くパニックになります。

無事入国できてからも、

現金をどこで手にすればいいか?
SIMカードを買うとしたら、どの窓口のどれを選べばいいのか?
飛行場からホテルへはどうやっていけばいいのか?
電車に乗るのであれば、その乗り方は?
バスに乗るのであれば、その乗り方は?
タクシーを使うとボラれるのでは?

などなど、初めての海外一人旅は不安要素しかありません。


無事、ホテルに到着しても、チェックイン時にDeposit(保証金)が必要な場合があります。Depositとして現金を要求されるとこれまた軽くパニックになります。

ようやく部屋へ着き、一段落して食事をしようと思っても、一体、どこへ入ればいいのやら。

飲食店の店員さんは、日本語なんてしゃべってくれません。メニューも現地語や英語ばかり。慣れない現地通貨を手にしていますから、支払いの面倒さも頭をよぎります。飲食店へ行くこと自体がものすごく億劫になります。

かといって食べないと体が持ちません。入ろうかどうしようか色んなお店を素通りして、意を決して一つの店へ入ってみる。何とか指差しで店員さんへ意思を伝えたところ、自分ではまったく予想をしなかった料理が運ばれてきた、なんてこともざらです。

もちろん料理のお皿は丁寧になんて置いてくれません。「お待たせしました(スマイル)」という会釈も当然なし。

…とまあ、どうでしょう。こんな環境では、とてもじゃないですけど、偉そうな態度なんてできませんよね。


海外へ初めて一人旅すると、どんな些細なことでもハードルが上がるんです。ちなみにここに書いたのは、すべて4年前の41歳の時、最初の一人旅で自分が感じた不安です。

初めての時は本当にパニックの連続でした。行った国は香港でした。空港で入国カードを書かずに入国審査を受けたら、「これを書いて出直してこい!」とパスポートを突っ返されました。心折れてそのまま日本に帰ろうかと思いましたよ…。


自分は英語もほとんど話せません。なので海外へ行くと、普通に言葉の通じることがどんなに楽なことかと思います。海外一人旅を経験すると、自分という人間の能力のなさ、小ささを思い知ります。日常のありがたさに気づきます。謙虚になります。がんばって接客してる日本の店員さんに偉そうな態度なんて取れません。


ということで自信を喪失しているホワイトカラーのおじさん。一度だけでいいので、海外一人旅を経験してみればいいのにと思います。年齢が上だからという理由だけで、自分が上だというマウントは取らなくなります。海外一人旅は、過去の自分を更新する最高のライフハックです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?