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滞在制作 5日目

今日は昨晩から午前中にかけて雨、と天気予報では言われていた。
予報の通り、午前中は小雨が降っており、上演も昨日同様路線変更で決行する。最近、朝起きた時に、無意識にウーパールーパーの顔マネをしてしまっている。

天気が良い時は屋外でお茶会を行うのだが、雨の日は屋内で行わざるおえない。とは言え、どうにか上演している事を少しでも示したくて、珈琲の匂いを漂わせ、音楽をガンガンかける事にした。

iTunesから出せる音楽を出していたため、ジャンルもバラバラな音楽を流していたが、私自身は久しぶりに音楽を聞いてノリノリだった。

午後は先日、歓迎会に来てくださった方の経営しているカフェに行った。しかし、気付けば少し止んでいた雨が激しくなっていた。雨雲レーダーも見ても、この後は激しくなる一方だったので慌てて自転車でカフェに向かう。

メガネもビショビショで前も当初は前も少し見えづらかったが、少し運転しているとだいぶマシになってきた。雨の中、自転車を走らせるのは人生で初めての体験だったが、雨に濡れる事以上に「行く」と行った約束を守りたい気持ちでいっぱいだった。

自転車というのは、どうしてこんなにスペクタクルな気持ちになるのだろうか?スーパーに初めて自転車で行った時も大冒険の気分だった。今日もずぶ濡れで何だが、ドラマの登場人物みたいだ。
雨に濡れるだけでドラマみたいな気持ちになるなんて、本当に私は単純だし、ダサいなぁと思ってしまう。しかし、有名な青春ドラマでは自転車を使用したシーンが多く登場する。例えば「恋空」や「ルーキーズ」みたいに。やはり自転車は青春生成装置として、何か秘訣があるのかもしれない。

何が自転車を青春生成装置として機能させているのか、少し考えていた。意外と盲点だったが、青春である事がキーポイントだった。青春ドラマの登場人物はだいたい高校生が登場人物である。彼らは、未成年でまだ自動車の免許が取れる年齢ではないのだ。つまり、彼らにとって自転車とは自らが操作できる乗り物の中で一番早く、遠くに行ける乗り物という事になる。

思春期の多感な時期、そりゃなるべく遠くに行ったりしたい時には自転車が必要だ。なぜ自転車が青春生成装置化しているのか、分かったように思えた。

自転車から10分ほどの所のカフェだったので、そんなに濡れないだろうと考えていたが、普通にビショビショだった。カフェに着いた時には、普通に心配された。とにかく「あはは〜」と言うしかなかった私に対して、すかさずカフェの店長さんはタオルを用意してくださった。とっても優しい。

そのカフェは完全予約制の隠れ家的カフェであり、メニューは特に無く、出された料理を食べていくスタイルだった。
お料理が出る前に、飲み物を聞かれた。紅茶があったので、「紅茶はどんな紅茶ですか?」と聞いたら、紅茶は紅茶バーのような所から自由に選んで入れるスタイルだった。ズラリと並べられたティーパックはどれもオーガニックの良いお茶で、見ただけで興奮した。私はその中でハーブティーのティーパックを選んだ。

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クリッパーのフラワーパワー。甘みと酸味の合わさった優しい味わいだ。ハイビスカスが入っていることもあり、少しピンク味があって可愛い。ティーパックの包装も漏れなく可愛い。お茶だけで大興奮の私だったが、程なくして料理も出てきた。

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ガパオライスにカボチャのポタージュ、魚のグラタン風にしたやつ。それぞれの料理がなぜこのセットで存在しているのか、分かるほどにバランスが取れている。ガパオライスのピリ辛さにカボチャのポタージュの甘みが染みる。さっぱりとした野菜にはグラタン風の魚で重みを。素敵な料理であった。

食事をした後、カフェの店長さんの息子さんが美大生という事で、彼のアトリエを見学させてもらった。先日の歓迎会で、作品の写真を見せていただいたが、実際に実物を見る事が出来た。
この土地の自然や山間の景色などを彼が養分として存分に吸っている事が作品を通じても伝わり、かけがえない体験や経験を持っている事がよく分かる。彼もその事を実感している分、大事にしようとしているようだった。色々彼に対して質問してしまい、気付けば夕方頃になっていた。最後には店長さんと息子さんと私でお話をしていた。

滞在制作にきて早5日目であるが、様々な人と出会う度に、この土地は丁度いい田舎であることを実感する。

カフェから家に戻る途中にガレージの管理人さんからオススメされていた温泉に行く。既に夕方だった為、カフェの店長さんからは温泉から帰る時は夜道が真っ暗だから気をつけて、と言ってもらった。この土地は夜になると本当に真っ暗なのだ。

防災のスピーカーでは16時45分に夕焼け小焼けが流れて、子どもたちは家に帰るようにアナウンスが流れる。わざわざそんなアナウンスを流す理由も分かるほど、真っ暗なのだ。私も夜になれば真っ暗になることを知っていたため、だいたい17時ごろまでには家の中に戻っている事がほとんどだった。

大自然の中の温泉は本当に癒やされて、とても良い気持ちになって帰宅した。初めての夜道は自転車のランプがあった事もあり、すんなりと帰宅することが出来た。

良い感じに身体もほぐれていた事が顔にも出ていたのか、管理人さんには艶々しているね、と言われる。その時、すかさずウーパールーパー顔をしてしまった。

明日以降は天気が良いらしく、また本来通りの上演に戻る。明日からはどんな上演になるのか楽しみだ。


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