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ゲームとことば#65「お味方が城内に突入しました!」

『信長の野望・革新』で相手の城に攻め入ると、どこからともなく伝令の声が聞こえる。
「お味方が城内に突入しました!」
緊張感を帯びた、勇ましい声だ。
通常、城を攻め落とすには守る側の何倍もの戦力が必要になるという。
城攻めはゲームでも自然と気合が入る瞬間だ。

私は『信長の野望シリーズ』のなかでも特に『天翔記』と『革新』が好き。
理由はどちらも「パワーアップを実感しやすい」からである。
『天翔記』は「教育」で武将のパラメーターをちまちま上げられるし、『革新』は「技術」によって兵科が目に見えて強くなるからだ。
打てば響く。インタラクティブはゲームの本質であると思う。
『信長の野望・革新』の技術についてもう少し詳しく説明する。
「技術」とはゲーム中のコマンドで、自勢力の金銭や労力を使って、自国の発展や戦力の増強につながる技術革新を行うというものだ。
たとえば「灰吹法」の技術を得ると金山・銀山の収入が上がったり、「蹄鉄」の技術なら騎馬隊の機動力が上がったりといった感じ。
習得するのにかなりの時間を要するが、その分効果が大きい。本作を攻略するうえで欠かせない要素である。

私はシリーズを通して大友家でプレイすることが多いのだが、本作の大友は兵器技術を得意とする勢力。
兵器技術のひとつ「大筒」を習得し、敵国をドッカンドッカン蹂躙するプレイをよく楽しんでいた。
大筒は攻撃力はあるものの機動力に欠け、乱戦では使いづらいのだが、そこはロマンでカバー。大筒バンザイだ。
ただこのゲーム、ある意味で銃火器より恐ろしい武器が存在する。
それは古来より使われている武器、弓矢だ。

英吉利(イギリス)との交流を深め「長弓」の技術を習得すると、矢の飛距離が驚くほど伸びる。
驚くほどといったが、誇張でもなんでもない。
だって村や山を飛び越えるんだもの。
弓矢の常識を覆す射程距離は、遠く離れた場所からでも敵の城を攻撃できてしまえるほど。
そしてそのまま遠距離で攻撃を続けると、表題の「お味方が城内に突入しました!」の報告が聞ける。
どう考えても突入しているのは矢だ。人(お味方)ではない。
いや、矢に愛着の念を抱き「お味方」と呼んでいる可能性も捨てきれないが。
とにかくただ矢を浴びせているだけなのに、みるみる城が崩れていく。なんとも恐ろしい光景ではないか。

長弓(Long Bow)の技術を生んだイギリスの作家、アーサー・C・クラークの有名な言葉に『十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない』とある。
山を越えて攻撃する弓矢?
さすがにそれは魔法だろう。

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