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アコギ回顧録 番外編⑧ アコギにまつわる御茶ノ水界隈(楽器店街)の思い出話

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

 たまたまですが、相棒の話が出ているこのタイミングで東京の御茶ノ水(楽器店街)へ行ってきました。相棒が転勤になり東京へ行き始めた頃、待ち合わせはいつもこのあたりでした。あちらこちらにたくさんの思い出があり、懐かしさも手伝ってこの番外編を書くことにしました。

黒澤楽器御茶ノ水店(詳しいことは知らないのですが、現在はベースの買い取りを行っているような感じでした。)
 御茶ノ水界隈で、初めてヴィンテージギターを買ったお店がここでした。(Martin D-35 1967年製)その後何度も通うようになり、店員さんとも仲良くしてもらいました。何本も購入したし、ここに委託に出して売却したギターも相当数あります。何年か後、仲良くなった店員の方が新大久保にあるクロサワ音楽館に異動(音楽館の館長でした)。今度はそこへ通うようになりました。(Gibson J-200 1955年、Martin D-45LEなどはここで買っています。相棒との待ち合わせに、一番よく使わせてもらったお店です。ギターもたくさん弾かせてもらいました。荷物を置かせてもらって、食事に言ったりお茶を飲みに行ったりもしました。館長さんとも、行くたびにお茶を飲みに行ったものです。
 一度スカウトされたこともあります。
「給料、どれぐらいもらってるの?」
「大体〇〇万円ぐらい。」
「それぐらいの給料は保証するから、うちで働かない?」
 少しだけ心が動きましたが、冷静にに考えると「京都と東京で同じ給料をもらってもな~。」と思いなおしてお断りしました。

谷口楽器
 ここにも思い出があります。アコースティックギター売り場の責任者の方と仲良くさせていただき、御茶ノ水に行った時には毎回顔を出していました。ヤマハのLL-100Dというギターが発売された時「2本入荷しています。弾いてみませんか?」と言われ、かなりの時間弾きまくりました。1987年の話で、当時の定価が150万円!音もセットアップも良かったのでかなり気に入ったのですが、当時ちょうどヴィンテージギターにハマったばかりだったので「これより1950年台のD-28かな?」と思い購入には至りませんでした。
最近はとんでもない値段になっています。
くそ〜!買っておけばよかった。

こんなギターです。(昨年の8月にネットで出ていた情報より)
LL-100D Jacaranda 1987
ドリームギターの入荷です。1987年ヤマハ創業100周年に製造された逸品、"LL100D"。テリー中本氏のヤマハ時代最終期のモデルとしても呼び声高い名品。さらにはモデル#001の1本。

三木楽器さんで
販売価格(税込): 4,675,000 円

マニア垂涎の1本、そしてニッポンのドリームギター。ヤマハ"LL-100D"。1987年ヤマハ創業100周年の折に世界限定20本のみで製作された特別なモデルで、ヤマハが魅せる国産の粋を凝らせた究極の1本です。トップには美しく柾目杢浮き出る最高級エゾ松、サイド&バックには黒々としてワイルドかつ柾目杢美事なハカランダを贅沢に使用。マホガニーネック、黒檀指板&ブリッジ、オリジナルTM-57GXペグ、アバロン指板バインインレイ、本鼈甲ピックガード、ハカランダロゼッタ&アバロンバインインレイ、100th Anniゴールドロッドカバー、テリー中本氏のサイン入りラベル。当時ヤマハに在籍していたテリー中本氏の、ヤマハ時代最終期のモデルとしても呼び声の高い名品。全体的にあしらわれたバインは美しい貝象嵌で施され、またネックヒール&ヘッド裏には同デザインの彫刻が施されています。派手になりすぎず、しかしながら優美で品のある外観は日本らしさを随所に感じさせる唯一無二のデザイン。また、ハカランダ製のロゼッタリングにはアバロンインレイに合わせ、葉の箇所に2つのダイヤモンドが埋め込まれています。サウンドは言わずもがな、ヤマハ”L”らしい骨太でサスティンのきいた煌びやかでレンジの広い響き。当時の技術・マテリアルの中でもそれぞれの最高位を惜しげもなく用いて、テリー中本氏ヤマハ時代最終期を飾るに相応しい1本に仕上げられています。さすがに若干の小傷や塗装引け、ボディサイドに幾らかの白化は見受けられますが、経年から鑑みればとてもキレイに保たれた本器。板の割れや補修はなく、ネックまわりのコンディションもパーフェクト。本モデルは、ボディ内テリー氏のサインとモデルシリアルが記されているのですが、本器はなんとモデルシリアル#001です。また、販売当時のモデルシリアル入り木製パネルに木製スタンドも残されたプレミアムな1本。外装に幾らかのスレ傷は見られますが、オリジナルレザーハードケースも付属します。なかなかお目にかかれない”LL-100D”、しかも#001&プレミアムグッズ付きの正にコレクタブルアイテム。このご機会、お見逃しなくドリームギターをそのそのお手元でご体感ください。その他の詳細や修理履歴などもお気軽にお問い合わせください。

Condition:EX+++
Top:Solid Ezomatsu
Side:Solid Jacaranda
Back:Solid Jacaranda
Neck:Mahogany
Fingerboard:Ebony
Bridge:Ebony
Machine Head:TM-57GX/Gold
Fingerboard Inlay:Abalone
Rosette:Abalone & Diamond
Binding:Maple & Abalone
Pick Guard:Tortoiseshell
Pick up:none
Nut width:43mm
Scale:651mm
Case:Original Hard Case

カワセ楽器
 ここには1969年製のD-45を見に来たことがあります。35〜36年前の話です。当時1976年製のD-45を持っていたのですが、どうしても1968〜1969年製のものが欲しくなりあちこち探していました。
 そんな時カワセ楽器に1969年製のD-45があるのを知り、自分のD-45を持って比べにいきました。その時はわからなかったのですが、今思えばそのD-45はemployee modelで、非常に希少価値のあるギターでした。状態も、音も良かったです。自分のD-45とはかなり差がありました。当時の価格が150万円!ちなみに、自分のD-45は定価が80万円、キャッシュで買って64万円でした。
 流石に買えませんでしたが、今持っていれば軽くイッセンマンゴエ!!は間違いないところでしょう。〝たら“と“れば”の話は、キリがないほどあります。

Blue-G (現在は渋谷に移転されています。以前はお茶の水に来たら、必ずといっても良いぐらい寄っていたお店です、)
 何年前か忘れましたが(そんなに昔の話ではありません。10年経っていないと思います。)、MartinのOOO-28 1944年製(スキャロップドブレイシングでした)をホールドしたことがあります。数日後に日帰りで弾きに行きましたが、思っていた音ではありませんでした。とりあえずキャンセルしますと言ったら、1946年製のOOO-28が別に2本入荷していますとのこと。その2本も弾かせてもらいましたが、自分の基準ではイマイチでした。結局何も買わずに店を出ることになってしまいました。はるばる京都から来たのに、何も買わずに帰るのもな〜。と思い、今度は近くのお店(ウッドマン、ホーボーズ)へ行き、Gibson J-45とJ-50の1940年代〜1950年代をあるだけ全部弾かせてもらいました。が、欲しい!と思ったギターはありませんでした。ほぼ1日御茶ノ水にいてあれこれ沢山のヴィンテージギターを弾かせてもらいましたが、結局何も買わずに京都に戻りました。交通費とその他諸々の経費はかかりましたが、その経費以上に良い経験ができました。今でも、無駄ではなかったと思っています。
 もちろんBlue-Gさんでは、他のギターを何本も購入させてもらっています。ウッドマンやホーボーズ、リムショットなどでも、何本かギターを購入しています。

※念のために申し上げておきます。
 気に入ったギターには巡り会えませんでしたか、それはショップの責任ではありません。あくまでも自分個人の基準では、購入に至らなかっただけです。他の人も同じような判断をするとは限りません。

 似たような話は他にもあります。1944年製のMartin D-28(スキャロップドブレイシングでした)をホールドし、買う気満々で現金まで用意して弾きに行きました。(この時のお店は、御茶ノ水界隈ではありません。)比べるために持って行った、自分D-28 1951年製(坂庭省悟さんの愛器です。このギターは本当にスゴイです。一音一音の音の太さ,反応、バランス。全てがものすごく高い次元で調和しています。)の方が良かったので、キャンセルしたことがあります。この時は2回弾きに行きました。経費も万単位になりましたが、良い経験ができたと思っています。後悔は全くありません。

 キャンセルの話が続きましたが、反対に衝動買いも何度か経験しています。大抵は自分の予想をはるかに超えた音の良さで買ってしまうのですが、例外も少しあります。値段に(安さに)負けて、買ってしまうパターンです。衝動買いの欠点(難点と言っても良いかも知れません。)は、支払いに困る場合が時々あります。全く買うことを考えていないので、余裕がない場合が多いです。最後はローンを組むという手があるので、まあ何とかなりましたが・・・。

シモクラセカンドハンズ
 ここでもたま~に出物がありました。Martinn D-76をここで買ったことがあります。(格安だったので買いました。典型的な値段に負けて買ったパターンです。)

他にも思い出話はたくさんありますが、今回はこれぐらいにしておきます。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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