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声優・ナレーターが知って得する音声学

ヨギーニ声優 西野いつきのnoteへようこそ。
『NARRATION』では、ナレーションのスキルアップに役立つことを綴っていきます。

今回は、私がプロになる前に学んでいて得したなぁと思った音声学のおはなしです♪

音声学には、調音音声学・音響音声学・聴覚音声学があります。私は短大やアナウンサーさんのもとで、あさ~く調音音声学を学んでおります。
宅録をはじめてから、音響音声学と聴覚音声学の必要性も感じ、少しずつ学びの幅を広げているところです。
この辺も勉強して、ナレーターや声優の皆さんに共有していきたいと思っております。

この記事の後半は、有料レッスンで教えている内容を含むため、有料記事になっています。ご了承ください(´;ω;`)
皆様から頂いたお気持ちは、ナレーション・音声・ヨガの学びに役立て、ナレーターさん、声優さんに還元していきます!

音声とは

まず、音声学で取り扱う音声とは「コミュニケーションを取るために鼻や口のあたりから発せられる音」のことと定義されています。

つまり、くしゃみは音はするけど音声にあらず、ということです。

相手を黙らせたいと思ってする咳払いはコミュニケーションですが、生理的にでる咳は違いますね。
これを習ったときに疑問に思ったのが、独り言です。
これも音声だそうです。独り言は自分の意思を自分に伝えているので、音声の定義に当てはまると教わりました。なるほど、そうですね。

コミュニケーションというのは、
「伝えたい」という意思を持って
「伝えたい相手」に発するものです。

ては、ナレーションについて考えてみましょう。
ナレーションは誰の意思でしょう。
ナレーターでしょうか。

ナレーターだとしたら、ナレーター自身が聞手に何か伝えたいものを持っていなければなりません。

ナレーションの場合、ナレーション原稿を作った方の意思を汲んで読んでいますね。つまり、ナレーションはナレーターの意思ではなく、作品を作りたい企業様など、クライアント様の意思をのせたものであるはずなのです。

この大前提があるから、ナレーションにはプロの技が必要になります。

何故か?

喋り手の生理で読めないからです。

生理でよむとは、人間の自然な反応で声が変わることです。
ナレーター自身が暑いとか寒いとか、お腹痛いとか、ちょっと眠いとか、
そんな気持ちがあっても、ナレーションにはのせませんね。
また、文字を目で見た時の印象で、カタカナで音が高くなったり、「」がついているからと強調したり、これらも「ただ目で見て反応している」だけならナレーター自身の反応です。

ナレーションにのるのはあくまでも、クライアント様の想いです。(稀に、ナレーターが会話するようにしゃべる作品の場合は、本人の生理がのる場合もありますが、基本はのせません)

声を出すことができる人は声で自分の意思を伝えられますが、誰かほかの人の想いを伝えるとなると途端に難しくなります。普段、無意識で変わる声の高さや長さ、音の質をコントロールしなければならないからです。

私達が相手の気持ちや言葉の意味を汲み取るとき、
音の質
音の高さ
音の長さ
音の大きさ

を感じて、聞き分けをしています。
これは音響学でも言われていることなので、音響学を学んだことのある方はよくご存じだと思います。
また、音声マーケティングの業界でも、このあたりのことに沿って研究をしています。

普段意識していないこれらすべてを、意思を持ってコントロールすることができるのが、プロの喋り手だと私は考えています。

では、4つの音の聞き分けポイントにそって、スキルアップする知識を紹介していきます。
土台を固めて様々なナレーションを楽しく読めるようになりましょう♪



音の質をよくしよう!

まず「音の質」についてお話します。
音の質とは
「あ」や「い」などの違いです。

オーディオ機器の音質というと、周波数特性や歪率、SN比、ダイナミックレンジといった専門用語が出てきますが、ここでいう「音の質」というのはシンプルに「あ」と「い」が違う音だということです。
録音すると「あ」の周波数は……とかっていう話になるんですけれど、それはまた別のお話。

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