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ジャグリングルーチンのつくりかた : ぱさーじゅ秘伝のタレ

ジャグリングアドベントカレンダー2022の12月5日の記事です。昨年につづき、また性懲りもなく参加させていただきました。最高齢連覇めざしています。

君は、ぱさーじゅを見たか?

ぱさーじゅを知っていますか?
 電気通信大学のジャグリングサークルです。東京は調布にあります。日本で唯一地名のつかない国立大学です。学年あたり800人くらいの理系単科大学で、大学院まで入れて4000人くらいのどちらかというと小さい大学です。
 流行病の影響もあって、今の部員は3年生と2年生が一人ずつ、1年生がゼロ。主力は大学院修士2年で3人だけどこんどの3月には卒業するぞ、他の学年も1人か2人、、という青色吐息の絶滅危惧サークルとなりました。涙

 そんなぱさーじゅ(Passage)ですが、2010年代まではジャグリング界でそこそこの存在感があったかと思います。
 3ボールの大会三玉王の開催、デビルの祭典ファンタスティックの開催、JJF CSにも、2005、2008、2009、2010、2013に出場していましたし、当時のジャグリングライブ門仲ジャグリングナイトには10組以上が出演しました。また、火曜と水曜の体育館での練習にも、他校やプロなどいろんな人が来てくれていました。

 とくに存在感があったのが2004年から続く自主公演の Hop  Step  Passage (HSP) と、調布祭でのステージです。見たらわかるのですが、すこしだけぶっ飛んでいました。HSPは、日本でのジャグリング定期公演として京大のドーナツにつづいて2番目に古いものでした。全部過去形なのが残念です。

秘伝のタレ

 そんなわけで、ぱさーじゅにはステージ作りやジャグリングルーチン作りの経験が長くありました。しかし前述のとおり、今はそれを引き継ぐ人があるかどうか危惧状態にあります。

 そこで、どうせなら日本中のジャグリングでルーチンを作る人の役にたてばということで、秘伝のタレ = ルーチンの作り方を公開しようと思います。2010年にぱさーじゅのHSP出演者の基礎的知識としてまとめたものです。少し改訂してルーチンつくりの基本を伝えています。
 私が舞台製作の経験と、さまざまな演出論やその指導法などを調べてぎゅっとまとめたものです。主観的なところや、特徴のぶっとんだ感じを目指すことに偏ったところが多々ありますが、そこは差し引いてください(どうかおねがいします)。

ルーチンのつくりかた
         Ver. 1.1 2012/6/2 西野順二 Ver 1.0 2010/6/20

☆ルーチン入門
 1)ルーチンとは : 技や身体による3秒~30分の一連の動き。
  BGMを使う事が多い
 2)ルーチンの目的 : a)他人に見せる、b)練習の目標にする
 3)ルーチンを作るとき : かならず「ルーチンノート」を用意する。
  一人一冊。

☆初級つくりかた(レベル1~2)
 0)初級の内容 = 「ルーチン」を作り行う上で欠かせないこと
 1)見せる相手と目的をよく考える
 2)自分のできる技を書き出す
 3)必要ならばBGM(曲)を選ぶ
 4)技を並べ、決めポーズを入れ、つなぎを練習する
 5)時間に合わせて調整する
  例) 60秒のとき、同じ技を5秒ずつとすると10個の技と2つの決めポーズ
 6)ノーミスが出るまで練習する、他人に見せるのなら、見る人に失礼でないようにする
  30回の法則) 技を人に見せられるのは30回連続で成功する習熟度が必要
  30%の法則) 人前では実力の30%しか出せない。1/3の成功打率なら1/10になる
 7)とくにスタートとフィニッシュを失敗しないように練習する
 8)基礎体力もつける : 60秒のトスルーチンなら60秒カスケード耐久力が必要
 9)「素:す」に戻らない練習をする
 10)誰か複数の人に10回以上みてもらう

☆中級つくりかた(レベル2~5 : HSP程度)
 0)中級の内容 = 「作品」として見せるレベルを目指す作り方
 1)テーマを決め、ストーリーを作る (とくに大事)
 2)あそびを入れる(「面白み」) : 新技、マイム、見立て (とくに大事)
 3)展開を考える。序破急の方法とタイミング設計をする
 4)テーマにそってBGMを分析し図表にする。展開とのすりあわせを考える
 5)テーマにそって観客に見てもらいたいポイントを決める
 6)基本構成テクニックをつかう : 掛と受、反転、対称、繰返し、バリエーション
 7)視線を決める
 8)ドロップフォローを用意する
 9)決めポーズとそのバリエーション

☆上級作り方(レベル6~10 : 自主公演レベル)
 0)上級の内容 = 「芸」もしくは「自己表現」としての作り方
 1)伝えたいものを練る、イメージもしくは言語によって外化する
 2)観客のプロファィリングをする(見る相手は誰か?)
 3)「サイド」ストーリーをつくる(分かる人だけが分かる深み)
 4)伏線をはる (前半での動きの意味が、後半になってやっと分かる)
 5)キーポーズ、キーテクニックを決める
 6)ノリ
 7)構成によるストーリーの表現
 8)視線をはずす
 9)投げているときと投げていない時の差を埋める(全体になめらかに)

☆ルーチンノートの使い方
 0)ルーチンを作る者は必ず、ルーチンノートを作らねばならない(ジャグリングノートでも可)
 1)できる技の一覧を書く
 2)ルーチンの展開を記述する
 3)BGM(曲)の分析
 4)技、動きのアィディアを記録する
 5)やりたい技、動きの一覧を書く

電気通信大学ぱさーじゅ共有資料

秘伝

 技のバランスの取り方とか、曲の選び方とか、盛り上げ方たとか、多くはそういうものがルーチンの作り方と呼ばれるかもしれません。見てのとおりそれとはちょっと違います。

 なお、1から10のレベルというのは、じつはルーチンのレベルではありません。難易度とかそういうことではありません。
 想定される観客の理解レベルです。「レベルxxの観客ならここまでわかる」みたいな。傲慢ですね、、

ぱさーじゅのルーチン

いくつかサンプルを載せておきます
ここに載せたかったぶっとんだのがいくつか公開で残ってないのが残念です


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