公民連携、新しいクリエイターの時代へ


1    念願の報告会

先週の7月24日(木)、長浜市長を囲む座ぶとん会議にて、ローカルフォトの3年間の活動報告をしてまいりました。
ずっとやりたかったので、ようやく!と言った感じです。

ご存知ない方のために。わたしは2016年から3年間、滋賀県長浜市の『長浜ローカルフォトアカデミー(現在は長浜ローカルフォト)』という、写真によるまちづくり事業に携わっておりました。

写真によるまちづくりのスタート、長浜ローカルフォトアカデミーのお姉さんである、小豆島カメラはこちら。


報告会当日は、藤井市長をはじめ、シティプロモーション関係者のみなさまに向けて、ローカルフォトメンバー4人(山内美和子さん、竹中昌代さん、田中香織さん、田中仁さん)とともに、3年間の活動の成果と今後の展望についてお話いたしました。

前半は
1. 写真でまちを元気に!ローカルフォトのシティプロモーション
2. 遠くの都市より近くの地元、地元へにむけて発信すること
3. 面舞台のみならず、裏舞台を魅せる。参加者すべてに光をあてる
4. 上記を継続することで市民のシビックプライドの醸成につなぐ
という3年の総決算。

後半は
1. なにを撮るかでなく、なぜ撮るか? 
2. きっかけとなった、農家さんの「問い」
3. 地域クリエイターの時代
事業を始めるにあたってのそもそも論と、今日の「クリエイター」のついてお話をしました。

すなわち
前半は「なにを撮るか?(撮ってきたか?)」
後半は「なぜ撮るか?」
というテーマです。


2 影の主役に光を当てる

前半の「何を撮るか?」について。

まずは、いつものようにローカルフォトのスタンダードである
「公(パブリック)と私(プライベート)の間の写真」
「見たい、たべたい、会いたい」
「少し先、三歩先の未来を見つめて撮影する」
「シビックプライドの醸成」
「地元のコンテンツでローカルカルチャーの醸成」
について簡単にご説明。


次はメンバー4人の写真をご紹介。
ご覧いただいたのは、まちの表舞台ではなく裏舞台。日々の暮らしはもとより、祭りや行事の裏舞台。ハレではなくケ。
祭りの炊き出しを提供する奥様方など、これまで撮られることのなかった影の立役者に光を当てています。


われわれの幼少期(万博世代です)、人口増加時代はフィルムで限りある枚数しか撮れませんでした。なので祭りなど表舞台の写真がメインでしたが、デジカメで無限に撮れる人口減少時代は、裏舞台の立役者こそ主役です。

ですので、あらゆる地域で「影の主役に光を当て、人のつながりを取り戻す」と努めてきました。
みんなを取り残さない、とSDGs が謳われる時代なら尚更のことです。


3    なぜ撮るか? 個人の課題はみんなの課題

後半のテーマ「なぜ撮るか?」


これは、2014年からこの事業を始めて、わたし自身が再発見した最も重要なテーマでした。
「なぜ撮るか」すなわち「なぜやるか?」
「なぜ発信するか?」「なぜ事業をやるか?」。今一度、川の上流を遡って確かめる。

大雑把にいうと、これまでの事業の流れはこんな感じ。
なにやるか(手段)→ どうやるか(方法)→ 実現すべき未来(目的・解決)

でもこれからはこうじゃないと!
なぜやるか(問い・課題)→ なにやるか(手段)/どうやるか(方法)
→ 実現すべき未来(目的・解決)

近年いろいろな地域からシティプロモーションのオファーをいただき(本当にありがとうございます!)、企画書を拝見するのですが、ほとんど 「なにやるか」手段から始まっているんですね。

それぞれの企画書はとても素敵ですし、(撮影技術や発信方法など)技術習得は期待できます。しかし、(撮られた写真を)見た人がイベントに参加したり、まちを訪れたりといった、実際のアクションに結びつけることは、なかなか難しいのではと思います。

「どうやるか」技術習得自体が目的化して、地域の賑わいの取り戻しや関係人口といった、ほんらいの目的はどこかに消えている  “地域事業あるある” に、どれだけの関係者が気づいているでしょう?
「なぜやるか」問いの共有をせず、出たとこ勝負で始めたものの、方個性を見失って空中分解。そんな現場をたくさん見てきました。

カメラが進化して、誰でも簡単に素晴らしい写真が撮れる今、写真講座のハイライトだった「どうやるか」技術習得の時間は大幅に短縮され、「なぜやるか」見えない思想を焼き付けることに注力しています。

撮影者の思想が出来事を生み、シーンを作り、世界を変える。
そんな “写真の魔法” をもっと多くの人に体験してほしい。

もちろん「問い」を見つけることは難しく、メンバーの相談にのることもしばしば。でもそうやって「なぜやるか」を繰り返し考察することに意味があるんです。

過疎や小中学校の統廃合、高齢化、格差社会、非正規雇用など、近年は「社会の課題」と「個人の課題」の距離が急速に縮まっています。仕事と遊びの境目がなくなりつつあるように、社会と個人の境目も溶けてきました。

だからこそ、個々に「なぜだろう」と問うてみる。個人課題の発見は、地域課題の発見につながり、より早く解決にたどり着けます。

長浜ローカルフォトは「問い」を発見するまで、3年の月日がかかりました。講座や実践の積み重ねで、今ではメンバー全員が日々の小さな課題解決ができるようになったと思います。
地域課題を共有して、人々に光を当てる。  活動は続きます。



4   温故知新クリエイターの時代

最後に、現代のクリエイター事情について、お話しました。
わたしが滋賀に通い始めた10年前、“クリエイター”というのは圧倒的に  “都会の仕事” でした。 「われわれはこの土地では無用やなあ」と、同行したライターとともに、がっくりと首をうなだれたことを思い出します(笑)。

当時のクリエイターは細分化され、一芸に秀でた専門職(プロフェッショナル)。音楽やファッション、建築やアートなど、インターフェイスのデザインにかかわり、都市カルチャーを生み出し発信する「狭義のクリエイター」でした。

しかし東日本大震災以降、事情が一変します。地方を拠点とする、デザインができて、写真が撮れて、プログラミングができて、大工仕事や農業もこなす、百姓のような「広義のクリエイター」が爆発的に増えました。農作物や発酵食品やものづくりといった、その土地独自のカルチャーを発信しながら、課題解決に取り組みます。

長浜も同様、10年前には(ほぼ)不在だったクリエイターが、びっくりするほど増加。彼らが立場や肩書きを超えてつながったことで、地域のあちこちで面白い出来事が起こり、新しいシーンが生まれています。


2009年は荒野だったのが…

めっちゃ増えた、地域クリエイター。


クリエイティブの仕事も、納品から課題解決へ。もはや、課題を解決できないと職能として成り立ちません。納品仕事だけのカメラマン、やばいっす。


瀬戸内国際芸術祭をはじめ、地方でアートフェスティバルが盛んに開催される昨今、細分化され専門職だったクリエイターが、どんどん百姓化し、デザインやアートの定義が進化していきます。人口減少時代の新しい潮流です。

昭和平成時代の  休まず前進し、たゆまぬ努力で新しいものを生み続ける、スクラップアンドビルドなクリエイター から

令和時代の 時々立ち止まりながら、古いものと新しいものを組み合わせ、アップデートするクリエイター へ。

温故知新。この国に新たな文化が生まれつつあると思っているのはわたしだけでしょうか?



藤井市長さま、長浜市役所のみなさま、長浜ローカルフォトのメンバーのみなさま、本当にありがとうございました。

photographed  by   Miwako Yamauchi,   Masayo Takenaka,  Kaori Tanaka,   Jin Tanaka    




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嬉しい! ありがとうございます!
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MOTOKO oshima

写真によるまちづくり、ローカルフォト主宰。 活動範囲は、小豆島、長浜市、真鶴町ほかいろいろ。
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