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昆虫食の炎上は対岸の火事ではない

昆虫食が注目されています。

背景の因果関係は、
「世界的な人口増化 → 世界的な食糧危機」
「温暖化による環境問題 → 畜産物よりも生産効率の良いたんぱく源の模索」
という構図なので、この流れはもう避けられませんし、世界的にはさらに注目されていくと思います。

ですが、こと食べ物を押し付けたりすると、人は急にヒステリーになるものです。

ここにきて最近の日本では、国が昆虫食を推進したことで、虫を食べたくないアンチから厳しい攻撃を受けています。

敷島製パンのコオロギパンの件。
学校給食のコオロギパウダーメニューの件。

実際に寄せられているクレームや質問はこんな感じ。

「安全性がわからないものを食べさせるな」
「ニーズがないものを無理に売ろうとするな」
「寄生虫についてどう対応していますか?」
「発ガン性 物質が含 まれているとは本当ですか?」
「妊婦の方が流産する可能性がある成分が含まれていると聞きました」

これらのほとんどは、理解の不足や根拠のないデマです。
もともと食べたくない人が多いところ、突如、政府が推進したことで一気に世間の嫌悪感が表に出てしまいました。

そりゃあ、一方で大量に食料廃棄してるのに食糧難って、
「いやそんなもんいきなり食わすなよ、まずフードロスをなんとかしろよ」って話になりますよね。


僕はこの風評被害をあまり他人事には感じません。

なぜなら、こういう「新しいものごとへの批判」はいつも起こり得ますし、僕自身もこれまでに経験してきたからです。

「ホットスムージーは、温めると酵素や栄養素が死んでしまいませんか?」
「噛まないと咀嚼機能が低下するのでは?」
「果糖で逆に太りませんか?」

たとえばこれらは、典型的な揚げ足取りの質問です。
嫌なら、黙って買うのをやめるだけでいいのに。

また、「数グラムのナッツやドライフルーツを足すだけで 100円も取って売るなんて、詐欺じゃないですか?」とネットで絡まれたこともありました。

「えっ、生じゃなくて冷凍なの?」
「専門店なんだから、野菜はもちろん有機なんじゃないの?」
「マックシェイクとは何が違うの?」
「コンビニの野菜ジュースとは何が違うの?」

商談をしていても、ジューススタンドとの違い、コンビニのかき氷やソフトクリームとの違いを説明しているだけでその日の話が終わる。

スムージーを粉だと思ってる人。
しじみの味噌汁を売った方が健康的じゃないかと笑う人。
だめな理由を並べて声高らかに自論を展開する人。

このような話は、これまでにうんざりするくらい聞かされてきました。

人々が、生活の中にない「新しいもの」を受け入れようとすることは時間 のかかる 行為です。

誰かが何か新しいことをはじめると、必ず、自分の利害も関係ないのに文句だけ言ってくる人がいます。

そういう批判は、出てきた当初ほど風当たりが冷たいのですが、やがて誰も何も言わなくなるもので、推進する者としては「屈しない」ことが大切だと思っています。

いやはや、歳を取るにつれて頭が固くなり、新しい価値観を受け入れづらくなると聞きます。
自分を客観視できる能力を失わず、いつまでも柔軟に新しいものを受け入れられるようにいたいものです。

昆虫食に関しては、本来であれば、食べたい人が食べればいい、食べたくない人は黙って食べなければいいはずで、炎上で新しい価値観が潰されていくのを見るのは悲しいことです。

あ、でも・・・
ちなみに僕はコオロギは食べません

(この記事は、2023年1月にF&Pジャパン社内向けに発信されたものから編集を加えてお届けしています)


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