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士業とホスピタリティ

行政書士として開業し、そろそろ一年になります。
取り扱い業務がBtoBメインなのでクライアントは経営者が殆どなのですが、
かなりの高確率でこう尋ねられてきました。

「現在の顧問士業を変えたいので誰か紹介してもらえないか」

理由について詳しく伺うと、ほぼ100%が"対応に不満がある"との回答。
本人に言えば良いのでは…とも思うのですが、そこは言い辛いのか優しさなのか、とにかく関係性の改善よりも他の顧問を探す道を選ばれる方が多いようです。

私自身、当然ながら勤め人であった頃と比較して士業の方と接する機会が格段に増えました。中には一般企業の常識では考えられない対応を目にした事も、確かにあります。クライアントからお聞きするエピソードにも、今時よくそれで成り立ってきたな、と思わせる内容は多く、どうやら士業の中には接客レベルが高いとは言えない、ホスピタリティ精神に欠けた方もまだまだ多いのだという事が分かってきました。

何しろ士業は専門性の高い職業ですから、クライアントとしても代わりがいないのであれば我慢して付き合うしかないと考える訳で、表面化せずに継続している関係も多いのでしょう。経営者であっても数多く士業の知り合いがいるという方ばかりではないでしょうし。

しかし翻せば、代わりさえいれば簡単に契約を切られてしまうという事でもあります。機会さえあればより良い相手との関係を築きたいと考えるのは自然で、だからこそ私のような新人相手に紹介を望む声が寄せられる訳ですからね。

士業の別にもよりますが、顧問先を獲得するのはなかなか難しいものです。
実務レベルに問題は無いのに接客レベルが原因で顧客離れが生じてしまうというのは、何とも勿体ない話だと思います。士業の多くは、対応に多少の難があったとしても、基本的には勉強熱心で真面目な、クライアントに貢献したいと心から考えている方々ですからね。

一方で私は開業したばかりで経験こそベテランには及びませんが、一般企業勤めの経験が長く、しかも多業種を渡り歩いた経験による対応が「これまでの士業には無い」ものであるという点でご満足いただき、ご依頼につながったケースが殆どです。

法定業務というものはクライアント側からは差別化がし辛いものであり、将来的には電子化やAI対応にスライドしていくものでもあるでしょう。
また、対人対応は追加料金が発生する様な贅沢なものとなり、接客そのものが商品していく事は充分に考えられます。
逆に単純化できない難易度の高い業務の価値は継続するか上昇する傾向にあるでしょうから、専門性の高い士業がホスピタリティレベルを高めれば、法律実務界全体の業務クオリティが向上するという事でもあります。

何よりも、依頼する側もされる側も心地よい対応によって関係性が構築できれば、ニーズに対する結果は最適なものとなりますし、質の高い仕事にもなり、誰もが幸せです。

行政書士として二年目に入る今、こうした事をお伝えしていきたいと考えている次第です。

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