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【表現評論】メモリーズオフ 想い出にかわる君 コアレビューその7 響ルート2(終)【全作再プレイシリーズ】

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⚫︎響と花火へ

はしゃぎまくる響。浴衣持ってないから買ってやろうかという流れに。モテ男の割には貢ぎ体質らしい。来る前に買わないと意味ねえのでは。ゲーム的には。

ことあるごとにカナタの回想が挟まれるんですが、いうほど興味はないという。君にとっては昔の女でも、こっちからすると特に情報もない、金魚鉢を持ってくる謎の新キャラなんですわ。

響の誕生日にディナークルージングに連れて行くと約束します。もう好きになってるという自覚があるようです。予約すると高すぎる! って言ってますが、どんなもんなんだろう。今調べたら2万くらい? 二人で4万? 大学生なら払えなくもなさそうだけど、この男は毎日カフェで散財してバイトもしてないからな。おまけに響に結構毟り取られてるし。

⚫︎バイトする男

金がないのでルサックでバイト。シンにこき使われながら時給800円でバイトしてます。現代だと余裕で最低賃金以下。クルージングは誕生日祝い用にオプションをつけまくったらしい。10万くらいするのかもしれない。

⚫︎誰とでも寝る女

カフェの常連に、貢がせる男変えたんだ〜と挑発される響。これは挑発なのか。事実なのでは。その次に環から、誰とでも寝る女だと言われます。と言っても環が言ってるわけではなく、みんなそう言ってるという話です。みんな言ってんだから、多分何かしらの真実は含んでますよね。

そして本人から衝撃の事実が開示されます。なんと、最初にぶつかってきたのはわざとで、携帯が壊れたというのも嘘だったという事実です。な、なんだって〜!? そんなバカな! 響ちゃんがそんな子だったなんて! 金のためにぶつかってきたなんて!

いや、みんな知っとるがな。知らないのはショーゴ君だけです。格好を見ろ格好を。完全にそっちの人やがな。金のためは嘘だろうけど。シンにも当たり屋娘呼ばわりされているので、何も知らないのは完全に主人公だけです。

衝撃の事実? を知って、不貞腐れてバイトをしていると、シンにこう言われます。出会い方なんて、どーでもいいんじゃんと。ほんとそれ。

主人公はどれが本当でどれが嘘か、一生過去の記憶を探っています。この世界は嘘! 嘘! 嘘だらけだ! だから俺様が見せてやるよ。絶望って名の真実をなぁ! ハザマかよ。前もこのネタ言わなかったっけ。誰のルートか忘れたけど。キャバ嬢に騙されたやつのように、記憶を永遠ループさせる男。

シンの勧めで謝りに来た響。こんなことを言ってます。

「ホメられなくてもいいもん! 汚いって言われてもいい!! アタシは、欲しいモノのためだったら、ホントに欲しいモノのためだったらっ、盗むよ!!」
「盗んだって手に入れるよ!!!」
「……だって……だってどーしても、ショーゴが欲しいんだもん。アタシが欲しいのはショーゴだもん」

想い出にかわる君

ここまでど真ん中に投げ込んでくるセリフがあっただろうか。これは許した。僕も騙される素質がありそうです。シンもたまにはいいことする。

⚫︎カナタと響

カフェで対面。知り合いだったらしい。これは完全に忘れてた。あ〜。あの髪飾り盗んだ昔の友達ってカナタだったのか。もうお下がりは嫌や〜とブチ切れ始める響さん。急にキレ始めるの、リアル感あって怖いんだよな。なんか生々しいよ。誰がお下がりだよ! と今度は主人公がブチ切れて帰宅します。この主人公、よくキレますね。帰宅後、もう二度と許さんと言いながら、携帯鳴らないかな? ちらっ? を繰り返しています。完全に地雷女の沼にハマってますわ。

ずっと携帯は鳴らなかったのに、船上デートの直前になってかかってきます。明日忘れないでよと。これはもう負けてますわ。

⚫︎船上デート

これが想君のベストCGです。まだキャラ半分残ってるやろ。

しかしこのゲーム、CGのクオリティが全く一定じゃないですね。トータル枚数増やしすぎたせいで、スタッフの質がバラバラになっているのではないか。ただ盛り上がるところの質はしっかりキープしてる。どうでも良さそうなところとか、やたらと登場人物が多いCGは、適当感が漂う。

響は何度も何度も部屋の前まで来て、声をかけられずに帰っていたようです。メールも何回も打ったけど、送れなかったと。いや〜。響は嘘ついてないと思うけど、現実ならこのくらいの嘘は平気で吐きそうなやつ、いっぱいおるで。きっと。とりあえず主人公は許しましたと。こいつら何回喧嘩して何回許してんだよ。付き合ったら毎月起こりそう。

ここでいよいよ大好きなセリフが出てきます。想君で一番記憶に残ってるやつ。

「……とびっきりステキなとこで、高級なモノを食べる。ずっと、これがアタシの夢だったよ……ショーゴが叶えてくれた」
中略
「もちろん、めちゃくちゃおいしいよ。アタシ、今、すっごい幸せだよ! でもね、アタシ、こんなにおしゃれなプリンじゃなくてもいいや」
「アタシは、プチット・プリンがやっぱり好き。でも、ホントに食べてみるまではそのことがわからないものなんだね?」
「それがわかったから、アタシは、すごいうれしんだ……」

想い出にかわる君

しんみり来るセリフです。夢を叶えるってのは、単に嬉しいってことじゃなくて、経験によって執着を捨てることなのかもしれない。執着から解放されていくのが、大人になることなのではないか。そう思わされます。

響はついに俺が俺がの精神を通り抜けて、こんなことを言い始めます。

「アタシ、ショーゴに幸せになって欲しんだ」

想い出にかわる君

このシナリオは響の成長物語ですね。本当に欲しいものは盗んだって手に入れる→ショーゴに幸せになって欲しいという、精神の移り変わり。この精神はまさにメモリーズオフです。響こそがメモリーズオフの継承者なのかもしれない。唯笑→翔太→響という流れ。

⚫︎身を引く響

ショーゴに幸せになって欲しい、を実現するために、響は身を引こうとします。まあね。成長しているとはいえ、元は誰とでも寝る女ですからね。これが真実かどうかは明示されませんが、那由多の罪と一緒で、遠からずなんでしょう。本人も否定しないし。すごいゲームだな。ヒロインにこんな属性を持ってくるなんて。

誰とでも寝る女と付き合ってるなんて噂されたら、ショーゴ君は幸せになれないと、そう思って、二度と会わないとバイバイメールを送ってきます。それを追いかけようとすると、なぜかカナタと遭遇。バイクで轢きそうになった(当たってない)猫を病院に送っていくという一幕がありました。これいるか? これいるか?ってイベントが多くないですかね。

シナリオは響を追いかけて抱き合って終わりました。今のところ抱き合って終わる率100%ではないか。

⚫︎響ルートまとめ

全く言葉を選ばなければ、家庭環境のせいで育ちが悪くて手癖も悪くて人に言えない方法でお金を稼いでいそうな非行少女が、愛を知ってまともになっていくという、そういうお話です。シンデレラストーリーとでも言えばいいんでしょうかね。違うか。

響は純粋なキャラです。純粋というのは、意図がないという意味での純粋です。意図した悪も、意図した善もない。最初のうちは思うがままに行動して、思うがままに言葉を吐いています。世界には自分しかいない状態です。ショーゴと交流を深める中で、感情を抑えることを覚えたり、相手のことを思いやるようになって、自分以外の他人の存在に初めて気がついたんじゃないでしょうか。そして他人の存在に気付いた時、自分がいかに間違ったことをしていたかを恥じるようになり、最後の別れに繋がったんでしょうね。無自覚に犯していた罪を、改めて認識させられることに対する苦悩みたいなものを描いていれば、さらにいいシナリオになったんじゃないかな。この頃にリバースカットなんてないけど。自分的は結構好きな話ですが、ギャルゲーのストーリーとしてはどうでしょうね。大分アウトな要素が多そう。この手の設定が再び出てくることは、おそらくないでしょう。貴重なキャラです。



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