見出し画像

【表現評論】「ゼノブレイド3」 過去と向き合うゲーム【ネタバレ大有り】

この記事はゼノシリーズ全てのネタバレを含みまっています。要注意。

発売直後にクリアして書いた記事を今頃出すという。
結論から言うと過去作のファンとしては期待外れのゲームでした。

●はじめに

自分はゼノと名がつくメイン作品は全部プレイしているんですよ。ぶっちゃけ信者ですね。ゼノシリーズ信者、高橋信者と言っても過言ではない。なのでまずゼノブレイド3を除く個人的なランキングを発表してみたいと思います。なんでいきなりランキングぶっぱしてんのって? したいからです。

神 ゼノギアス
優 ゼノブレイド1 ゼノブレイド2 ゼノサーガEP1
良 ゼノブレイドクロス(未クリア) ゼノサーガEP3
可 ゼノサーガEP2

唯一神は言うまでもなくゼノギアスですが、ゼノブレイド1と2も素晴らしかったですね。特に2は神に入れるかどうか迷いました。EP1もあの最初のワクワク感だけ考えれば神ってます。フォルトゥナ湖でゾハルを見つけ出すシーン、Kos-mosの音楽が流れて無双するシーン、グノーシスが現れるシーン辺りは最高です。クロスはクリアしてないですが、コンセプトは悪くないですよね。EP3も何とか物語を畳んだことで価値があると思います。EP2は……うーん……まあ今の戦闘システムの原型にはなってるということでね。アルベドはかっこいいっす(ハマー)。

さて、ゼノブレイド3クリア後の今ですが、この作品がどこに入るか考えてみます。結論から言うと、可以下、EP2未満まであるのが正直な感想ですね。申し訳ない。ゼノシリーズ信者、高橋信者でも、ゼノブレイド3は早く終わらないかな、という感じでした。頑張って何とかクリアしたレベル。今回の記事ではその理由を考えてみます。ちなみにサブクエはほとんどやってないので、メインストーリーだけで語ります。いや、やっぱりEP2未満はないか。以下にしとくか。

●ストーリーの掴みが弱い

ゼノブレイド1は大戦闘が始まってダンバンさんがちょっと無双してピンチになってヒロインが死ぬ。ゼノブレイド2は主人公がいきなり死んで復活しヒロインと共闘。どちらも掴みはバッチリって感じですよね。じゃあゼノブレイド3は何があるのかっていうと、まず最初にあるのは謎の3人組の出会いと、謎のおっさんとの出会いなんですよね。おっさんは恒例のヴァンターカム的な? アレで、前作にも似たような人がいましたが、とりあえずそのおっさんはいなくなりますと。それからよくわからん理由で村(コロニー)を追い出されますと。始まりはこれだけ。つーかですね、コロニーに全く思い入れがないんですよね。アルルがいるわけでもないし。ティモシーがいるわけでもないし。コロニーに思い入れがないので、全く悲壮感がないんですよね。最初から全然引き込まれませんでした。ゼノシリーズで最初に引き込まれなかった作品はなかったですよ。今まで。いきなりシティに行けとか言われても、なんやねんシティっていう。ネーミングについては後からまた触れますが、バブルの響きみたいです。シティのネオン濡れたハイウェイ駆ける俺みたいな。そんな歌詞ありそう。強い動機もなく物語が始まるせいで、序盤のぼんやり感も酷い。とりあえず旅しますわみたいな。主人公に強い動機がないのはゼノギアスも一緒ですが、あっちはすぐに合流するバルト君が序中盤の実質的な主人公ですからね。物語の方向性がはっきりしています。

●ストーリーの意外性が皆無

3は何も捻りがなかったですね。流石にそのまんまでは? って感じでした。世界樹が実は軌道エレベーターだったとか、フィオルンが実は生きていたとか、そんなものは全くないです。そのまんまは言い過ぎだけど、ある程度予想通りのストーリー。エヌとエムて。まんまノアとミオですやん。裏も何もないという。全体的に薄いストーリーが延々と続くし、お使いも多いんで苦行でした。しかも全体的に敵の主張を全く論破できていないんで、結果として力でゴリ押しのストーリーになってます。力こそ正義。いい時代になったなノア。執念が足りんぞノア。北斗の拳かな。それにしてもカムナビとエセルはなぜ戦ってたんですかねマジで。どういうこと? なんかそれっぽく誤魔化してない? Zとかいうノアミオ尊い勢もよくわからないし。概念みたいな敵はやめた方がいい。ノアミオもフェイエリィの劣化版だし。ストーリーではミオとエムが入れ替わってたところだけはよかったです。あれは予測不能でした。しかし世界観も3作目になると飽きが来ましたね。ここも何か意外性が欲しかった。

●キャラの魅力がない

とにかく今回は全員真面目ちゃんなんですよね。ちょっと笑えるのはタイオンとユーニだけ。年齢が似通っていて悩みのレベルも似ているので全然多様性がない。全員同じようなキャラ。設定上同じ境遇の若者しか出せないので、設定で既に失敗している説。ノポンはいるけどなんか違う。6人とも見た目が違うだけで本質は変わらん(マルベーニ)という感じ。みんな物分かりが良すぎるので動きもない。ミオが構ってちゃんムーブをかましていたところが唯一の見どころなんですが、これだけプレイして見所がそこだけて。ノアはなんですかね。途中だけ人が変わったように感情出してたんですけど、物語の都合上無理矢理というか、キレちまったよアピールしてる中学生に見えてしょうがないというか。応援する気にならない主人公でしたね。そんで敵にも魅力がない。メビウスは動機がよくわからない人物ばかりで、あったとしてもつまらない動機の持ち主ばっかりです。ラスボスもそう。Zが一番おもんない。ゼノサーガのヴィルヘルムもそうでしたけど、神様みたいな動機はダメですね。行動がどれだけ高尚であっても、動機は人間臭くってのが物語の基本、魅力の源泉のようです。カレルレンなんか全ての動機は女に振られたってだけですし。究極的にはそんだけ。シンも女絡みという点では似たようなもんです。ヨランが唯一面白い動機の持ち主でしたが、回想を擦りすぎ。さすがにもうええと。エヌはラカンとかグラーフの劣化版で、ペラペラとよく喋る上に、やってることも浅ましく、挙げ句の果てに女を取られて脳破壊されるという、小物オブ小物でした。おくりびとだろ、おくれよ、やくめでしょ、だけがハイライトです。エヌは動機はいいんだけどやってることがショボいという、Zの逆バージョンでした。全体的に衣装含めたデザインも、グッと来るものがなかったですね。Kos-mosとかホムラチャンみたいなキャッチーなキャラクターもおらず。ミオはなぁ。メインヒロインのオーラは感じられない。ニアっぽいし。ブレイド形態のニアならまだしも。とりあえず髪は長いままで。セナとユーニは悪くもないけど悪くもない。The及第点というキャラでした。ランツは筋肉の割にはすっきりしない。やっぱラインよ。タイオンは今回のメンツではよかった。ノアは主体性がない。脚本に動かされるキャラ。こういうのが令和最新版のキャラクターなんですかね。性格含めた造形的にグッと来るのはエムだけですわ。自己犠牲は物語の基本ということでね。あとはキャラグラフィックも全然進化が見えなかったですね。ゼノブレイド2から結構経ってるのにどうなのと。少なくとも年月に応じた進化があったとは思えません。

●戦闘がつまらない

まず戦闘人数が多すぎ。誰が何をやってるかわかりません。全てが大味。基本はゴリ押し。やることおんなじ。ボタンはマシマシ。思わずラップになるくらい大味です。チェインとリンクをひたすら連射してました。演出も何かな〜。いきなりサーフィンはないでしょ。エウレカか。ニルヴァーシュか。霧槍尖晶斬か。ニルヴァーシュは形も似てるか? あと演出が長い。合体技の長さが異常。ロールチェンジのせいでキャラの特徴もありませんでした。ノア以外は誰を出しても大差なし。それにしてもいつまでEP2の戦闘システム擦り続けるんですかね。お気に入りなんでしょうか。ライジングダウンのシステム。

●メビウスのデザインが微妙

メビウスはテスタメントのポジションなんですが、こいつらのデザインが微妙でした。全員同じ色でなので代わり映えがしない。デカさは違うけど。ただのマントとはいえ、色違いのテスタメントの方が映える。そもそもキャラが多すぎるんですよね。テスタメントみたいに数人でええねん。A~Zって、流石に無理があるでしょ。

●ネーミングがそのまんま

エヌだのエムだのキャッスルだのシティだの、あまりにも名前がそのまますぎませんかね。ウーヌス・ムンドゥス・ネットワークだの、オメガ・メテンプシューコーシスまでやれとは言いませんが、もう少し捻った名前はなかったんかと。こんなんじゃ厨二心がくすぐられねえですよ。

●キャラが多すぎる

敵も味方も流石にキャラが多すぎませんか。アイドルゲーか。ゼノクラシアブレイドか。これでキャラクターを深掘りするのは流石に無理でしょうよ。

●過去作の劣化版

ゼノブレイド3は全体的に過去の集大成だと感じました。ゼノギアスっぽいとか、ゼノサーガっぽいとか、ゼノブレイドっぽいとか、何回も思うシーンがありました。この記事のタイトルも過去と向き合うです。でもさ〜、向き合うの意味って、過去の偉大さと向き合うってことなんですよね。ゼノブレイド3は過去を越えられているとは思えませんでした。まあ老害思考ですね。別にええねん。老害で。否定はしない。ゼノブレ3は○○の劣化版だな、みたいなことが多い。やっぱり過去作って偉大だったんだなって。ゼノブレイド2は過去(ゼノギアス)を意識したようなポイントがあって、部分的にはゼノギアスよりおもしれーと思えたんですが、ゼノブレイド3は引用した部分が過去作を超えていると感じる部分がありませんでした。プレイ時間だけは凄いです。ボリュームはナンバーワンということで。

●BGMは微妙。ムービーは神

珍しくBGMも耳に残りませんでした。笛がやたらと聞こえるだけで、過去のムービーシーンで流れる曲(敵との対峙、カウンターアタック)のように、思い出せるものがないです。BGMは微妙ですが、ムービーのクオリティは満足でした。特に最後の乱戦ムービーは圧巻でしたね。ムービーが多すぎるって言ってもゼノシリーズなんでこんなもんでしょう。ゼノサーガの時から散々言われてるので。なんならゼノギアスも長い。

●終わりに

過去作と比較して、突出したものが思いつかないゲームでした。ストーリーもミオとエム入れ替わりからのエヌ発狂しか思い出せません。それ以降って何だったっけという。しかしなぜここまで楽しめなかったんでしょうか。自分でもわかりません。ゼノギアスの次に好きなのがゼノブレ2なので、懐古厨ということもないはず。多分。他のゲームシリーズも、大体新しい作品の方が面白いと思ってるし。でもこのゲームはそう感じませんでしたね。ゼノブレ3のウリ(ボリューム)と自分のツボが噛み合ってなかったんでしょう。と言っても比較対象がゼノシリーズなのでこうなってるだけで、普通のゲームと比較すれば普通だと思います。ゼノシリーズと思わなけば、面白い寄りの凡ゲーという評価になりそう。DLCはやらないです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?