部長久美子、あすかと優子を内に秘める。響け!ユーフォニアム3期3話感想

 語りたくって書きました。語る相手がいないので僕の一方的な文章になります。なんなら今まで書こう書こうと放置したユーフォニアムの感想がこっからスタート(続くか未定)するのもいかがなものかと思ったのですが気持ちのある内に書いてしまわねば押し入れにしまって永遠に引っ張り出せなくなりますから。


・部長の久美子

ユーフォニアム3期3話、久美子の政治手腕が問われる回でしたね。麗奈の厳しさに挫けそうになる1年生を必死に支える沙里の心が一度折れてしまって1年指導担当の二人と一緒にお見舞いに行く話。
 僕ここで久美子が沙里を懐柔していくシーンが部長としての久美子と個人としての久美子が半々でないまぜになっているようでとても好きなんですよ。交換ノートで久美子は一人の落伍者も出さずに北宇治全員で一年を過ごしたいと書いていました。
 しかしいざ落伍者を出さないとなると久美子の思い、優しさだけでは事は運べません。そこで久美子は頭の中で言葉を一つ一つ選びながら沙里に語りかけていきます。

・打算(あすか)と優しさ(優子)と

 ここの久美子の表情や目線、ともよさんの演技が光ましたね。ここ原作では確かどのような言葉遣い、表情をすれば自分の思惑の通りに人が動いてくれるかの考えが地の文にあったと思います。
 ここでの地の文がですねぇ、とてもあすか先輩を真似してるというか人の感情を計算して言葉を選んでる感じがあったんですよ。それがアニメだと沙里の事をまっすぐ見つめずにあちらこちらに視線を向けながら言葉を紡ぐ久美子として描かれていてとても良かったです。
 ただ忘れてはいけないのが久美子のこの会話は交換ノートにも書いてある一人の落伍者も出したくないという思いと久美子個人の優しさから出てきています。ただそこに打算が混ざっているため沙里の顔をまっすぐ見つめるまで時間がかかる。優子だったらきっとここでは優しい目で沙里に相対するのでしょう。
 優子だったらこうしていたのだろうかという描写が原作には何回か出ていたような。

・刺さった 

 そして久美子は最後にこう言います。「沙里ちゃんのおかげで一人も部活を辞めていないよ」と。ともよさんの演技が光りましたね。ぱっと聞いただけなら優しい声音、でも少し上擦ったような震えが混じるあの演技。
 久美子は直前に「ごめんね」と「ありがとう」を言っています。どちらも久美子の本心なのでしょう。1年生ながら部のことを考えて動いてくれた沙里に、部長として出来たことを押し付けてしまった申し訳なさと、実際に退部を食い止めてくれたことへの感謝。どちらも久美子の本心なんだと思います。
 ただ久美子の中には部長としての久美子がいるわけなので、沙里を繋ぎ止めるための言葉選びを同時に久美子は行ったのです。それが「沙里ちゃんのおかげで一人も部活を辞めてないよ。」
 そして沙里は久美子に感謝をして再び部活に励むことになるんです。

 ここ、原作だと「刺さった」と表現されているんです。

 えぐくないですか?

 久美子は狙ったんですよ。刺そうとしたんですよ。そして事実刺さったんですよ。
 優しさが根底には当然あると思います。でもそれ以上に部長として沙里と退部の恐れのある部員達を繋ぎ止めるために久美子は計算したんです。
 自分が率先して部員の問題解決に当たる優子の優しさに、吹奏楽部の利益を計算して行動するあすかの打算を被せたんです。「あぁ、多分このあたりでこれを言ったら沙里ちゃんを繋ぎ止められるかな」と考えてるんですよ。
 ここがねぇ、一部員としての久美子しか見ていなかった我々読者からすると今までの物語とはっきり違う役割を担う久美子を魅せられてるわけですから凄い衝撃だったわけなんですよ。

・おわりに

 もしここまで読んで頂いた方がいたらありがとうございます。
 ユーフォ3年生編の小説の発売日、開店直後に本屋に行き早速読んだ時の衝撃たるや。原作を知っているからこそこれからの展開をアニメで追っていくことが怖いやら嬉しいやら。
 そういえば3年生編の短編は出てないんですよね、飛び立つ君の背を見上げるは久美子2年生編のやつでしたから。そっちも楽しみです。
 また書きたくなったら書きます。


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