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救助困難

離婚した家庭では多くの事例で母親が親権を持つけれども、外来などで、離婚した父親が子供を受診させようものなら口さがないナースが「あそこのお家って偽装離婚じゃない?父親が連れてくるなんて滅多にないよね」って騒ぐレベルのものである。

もしかしたら以前に書いたかもしれないが、そういう事例で離婚父と話をしたことがある。彼は離婚後、一切子供とは会えなかったのだという。けれども、子供だけでなく母親も倒れてしまって子供を受診させる人がいなくなってしまったのだろう。母親から電話がかかってきたそうである。「久しぶりに子供と会ったので、日常の様子などはわからないんです。」とその父親は申し訳なさそうに言っていた。

本題は、あの母親が1週間も旅行して、その間に残した子供を餓死させてしまった事例である。

そりゃ、離婚した父親はロクデナシだったのかもしれない。けれども例えそうではなかったとしても、テレビドラマの安っぽいヒーローのように父親が子供の危機に助けに来るなんて、この日本では考えられないよ、と思う。

そもそも、子供の危機を感知するためには超能力が必要である。部屋から出られない3歳児がどうやって外部に救助を求めるのだろうか。たぶん、日本のドラマならば現実にあり得ないようなご都合主義の解決策を考えるのかもしれない。

少なくとも不法侵入になることを覚悟しなければ助けにゆくことは不可能である。場合によっては未成年略取も付け加えられるかもしれない。

まあ、事情のわからない人は「結果的に父親が牢屋に入ることになっても子供の命が助かればいいじゃん」とか無責任に放言してしまうのも今の日本である。

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