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今日(2月4日)は風疹の日

そろそろみんな忘れてきているかも知れないが今日は風疹の日である。学会のメールニュースで私も今知ったわけである。

昨今は子宮頚がん予防のHPVワクチンの副反応の大騒ぎや新型コロナワクチンのニュースが世の中を騒がせているが(どうやらコロナワクチンは2月17日以降に医療従事者への接種開始の目処が立ったそうである)

一方でHPVワクチンは最初女児への接種が開始されたが、痛みや失神などの副反応という訴えが多く、接種勧奨は中止された。名古屋市の調査では接種の有無と症状の出現については有意な関連はないという結果が出たが、今でも接種については低調なままになっている。日本で足踏みしている間にこのヒトパピローマウイルスは男性の発がんにも関与することが明らかになってきており、いくつかの国では女児だけではなく男児にも接種する動きが出てきているそうである。

風疹は男女関わりなく感染し、発症する疾患であるが、やはり、重篤な合併症としては先天性風疹症候群がある。これは、妊娠初期に妊婦が風疹に感染すると、生まれてきた赤ちゃんに白内障による視力障害や難聴、心奇形などが起こるものである。

もちろんそういうふうに生まれてきた赤ちゃんもお母さんも大変である。できるだけそういうことをなくそうと風疹の予防接種が行われたのである。ところが、その時に、当局は15歳の女児にだけ風疹ワクチンを打つことに決めたのである。まあ、男など勝手に風疹にかかっていればいいじゃんということだったのかも知れない。先天性風疹症候群を防ぐためには女性だけを守ればいいじゃないかというシンプルな考えだったともいえる。

そういうことで、昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性は風疹ワクチンを受けずに成人したことになる。私もその中の一人だけれど、もっと前に風疹には罹患していたのでまあ男性に接種していても受けなかったかも知れない。

これがMMR(おたふくかぜ、風疹、麻疹)ワクチンに変更になり、男女問わずに接種されるようになったけれど、おたふくかぜによると思われる無菌性髄膜炎(自然感染ではおおよそ5%、20人に1人は無菌性髄膜炎が起こる)の発症が問題になったり、ワクチンと自閉症の関係があるというニセ論文(追試で関係性が否定され、著者は医師免許を剥奪された)が話題になって、MMRワクチンへの忌避が強くなり、結局、接種は中止された。2006年からは麻疹風疹の二種ワクチンであるMRワクチンが開始された。

風疹は俗に’三日はしか‘と言われて、麻疹より軽症と思われていたし、国も麻疹撲滅の方に力を入れていたので風疹は注目されてこなかったのである。風疹って発熱とリンパ節腫脹と淡紅色の発疹が特徴だけれど、発熱が微熱のこともあり、ただの風邪と思われていることも多かったわけである。

それが平成25年にかけて成人男性を中心に風疹の流行が起こった。それに伴って先天性風疹症候群のベビーが報告されたわけである。

2013年(平成25年)には32例の先天性風疹症候群のベビーが報告されたという。

それで慌てて抗体保有率の低い成人男性に対して風疹ワクチンの接種勧奨が行われるようになった。けれども忙しい働き盛りの男性である。抗体検査率や接種率は遅々として上がっていないようである。

もしかすると、ワクチンを打っていない男性の世代はもう子供じゃなくて孫を見る時期が近づいているかも知れない。おじいちゃんがお腹にいる孫に風疹をうつして先天性風疹症候群を発症させてしまってはまさに痛恨事ということになりかねない。

ちょっと時間的余裕ができた人は是非抗体検査を受けに行って、もし陰性であれば風疹のワクチンを打っていただきたいものである。

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