Vol.4住宅政策の転換ってショボくないか?

うーん、これから人口減少がさらに進むことが確定している日本では空き家が大量発生することはすでに確定しているわけで、空き家の借り上げとみなし公営住宅にするという案は別に悪くはないのだけれど、そもそも借り手のない空き家を大量に政府が借り上げてどうするのだろうという問題が出てきはしないのだろうか。また、その状況で家賃扶助を行うのは二重の援助になると思うのでどちらかでよいような気がする。

学生の下宿の家賃補助についてはむしろ、大学等の寮をきちんと整備する方が重要ではないか。今はどうだか知らないけれど、私が学生の頃は大学寮といえば極左過激派の巣であり、まともな人間が近づくようなところではなかった。事情を知らずに地方から進学して入寮した当時の友人は「学生かどうかもわからない連中が屯していて、毎日オルグしてくるが、もう目を瞑り、耳を塞いで見なかったこと聞かなかったことにしている。本当は別の下宿に代わりたいが田舎から仕送りしてくれる両親には(仕送りが増額になるので)とても言い出せない」と言っていたことを覚えている。

こういう状況を放置していたことがそもそも大間違いであって、我が母校では何年か前に有象無象の抵抗を排して遂に寮を取り壊したとのことだが、それで完了ではない。学生諸君が安心して勉学に励める環境を大学が構築する必要がある。かつて、某国際学会がケンブリッジ大学で行われたとき、大学院生のプログラムとしてケンブリッジ大学の寮(学生は夏休みでいない)を安く使わせてくれるというものがあった。

キャベンディッシュ研究所のそばにあった割り当てられた寮の部屋に実際に入ってみると、家具は質素ではあったがしっかりしたものを使っており、大きな窓からは景色が見晴らせて、美しい緑の芝生はきちんと手入れされていたわけである。「そりゃこういう環境からはノーベル賞受賞者が出てくる筈だよな」と感嘆したものである。初めて国際学会に参加した山出しの貧乏学生が「さすが大英帝国」を感じた瞬間である。

もしかすると古い先生ならば旧制高校の小汚い寮で酒を飲みながら放談するようなのがよいというイメージを持っているのかもしれないけれど、そういう時代ではないということである。

野党の提案なので、どうせ実現性はないのであれば、将来の日本を担う学生の勉学環境をいかに豊かにするか、もっと語ってもよいと思う。単に下宿の家賃補助程度の話であればいかにも小さすぎるのである。ノーベル賞なんて俗な話だけれど、日本の明るい将来をもっと大ボラ吹いてもよいではないか。

はっきり言って日本の大学に世界をリードする知的集団にするための方策まで語らなければ全然ダメである。政府の小役人のようにしかめ面しながら「100万円出してやるから1000万円の成果を上げなければ打首獄門の刑に処す」みたいなことを言っていれば誰も寄り付かないよ。

あとは断熱材とかについては住宅メーカーにアピールさせた方が100倍は上手だと思うので、ここにわざわざ出してどうしたいのかはよくわからない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?