男のロマン

いや、便所掃除しろと言われたわけである。夏の高温で多分黒カビさんも喜んで増植していたわけで、そりゃ掃除しなきゃというのは誠に真っ当な話である。

で、スギ薬局で塩素系洗剤を買ってきて、あるときえいやっと便所掃除したわけである。いつも使っている便所さんありがとうと便器をピカピカに磨き上げたのである。(あ、その筋の話ではないので手で便器を磨いたわけではない。ブラシと洗剤で洗った訳である。)

「おう、便器くん、白くなったじゃないか」と満足して疲れたのでもう早めに寝床に入って熟睡していたのである。

そうすると不意に叩き起こされた訳である。奥様が阿修羅のような形相で立っていて、便所掃除をやり直せという訳である。確かに便器は見違えるように白くなった。けれども、紙類の処理がなっとらん!というのである。見てみたら、確かに窓のところに使用したトイレットペーパーの芯を撃墜マークのように並べておいたので、それがお気に召さなかったらしい。

時計を見たら夜中の11時半である。もう睡魔で立っているだけでふらふらであったので「じゃあ」とだけ言ったか(ちょっと記憶は定かではない)で多分そこで私の意識は途切れている。朝になって起きてトイレに行ってもトイレットペーパーの芯はそこに並べられたままであったし、朝には奥様は何も言わなかったのでそっと処理はしておいた訳である。(単にトイレットペーパーの芯をゴミ箱に捨てただけである)

いや、男は当然の家族を養う賃労働の他にアンペイドワークをガンガンやれ、労働は自由にする!男なら夜中に叩き起こされても奥様の命令に従って速やかに家事育児を担当せよ!とサヨク様やフェミさんが無言の命令を行う現代日本ではあるが、やはり熟睡している夜中に叩き起こされて訳のわからん命令で家事育児をせよと言われてもかなり辛いということはわかった。兎にも角にも私はそんな命令には従えないとまた眠ってしまった訳であるから。

恐らくはもし無理に奥さんが私に夜中に便所掃除の続きをせよと言えば私はかなり不機嫌な状態になって一日中ぶつぶつ言っていたかもしれないということはかなりの確信を持って言える訳である。家庭円満のためにはそれ以上無理を言わなかったうちの奥様はそれなりに賢明であったと言えるだろう。

もしかするとフェミさんは「そもそもそんなゴミを捨てないのが悪い」とか小賢しく言うかもしれない。もちろんそれは誤りである。撃墜マークは男のロマンなのである。

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