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虐待の解決

以前、虐待による死亡事例が報道されて注目を集めたときに、日曜日のNHKの朝の討論番組でいかに子供を保護すべきかというテーマの回があった。たまたまその番組を見ていたのだが、そこでは多分、警察出身のジャーナリスト氏が「警察に全権を渡せば虐待家庭にガンガン踏み込んで子供を助け出せる」みたいなことを言っていたのだけれど、他の児童専門家の出演者が誰も賛同しなかったのでジャーナリスト氏が結構イライラしている姿を見たことがある。

例え虐待家庭といえどもそれぞれの親子の絆はあるだろうし、様々な感情のつながりはあるのかもしれないと思う。そいう関係性をできるだけ維持して、問題解決の折には再び親子が手を取り合える道を見つけねばならないという気持ちがあるのだろうかと思った次第である。

そりゃ中にはもはや古い絆は断ち切らねばならぬ、古い関係性を壊して新しい関係性を構築せねばならない事例もあることとは思う。けれども、周囲が押し付けるのではなくて、子供自身が選べるようにしてあげた方がよいという考えを持っていたのかもしれない。警察の力は犯人逮捕には頼もしいけれど、親子の関係に強制力を働かせることには副作用の方が多いという考えだったのかもしれない。

警察にも虐待や親子関係について理解の深い人は結構いるとは思うのである。けれども、警察が全面的に規制に入るとなれば、それまで凶悪犯罪を解決しようとしていた人たちが来るかもしれない。そういう人たちの正義では、「親=悪人」、「子ども=被害者」という単純な図式に置き換えられるかもしれない。そこに一抹の不安があったのかもしれない。

かくしてその番組中では件の警察出身のジャーナリスト氏の提言は顧みられることなく番組は終了したのである。

警察の名誉のために言っておくと、実際のところは、警察が虐待を見つけて解決に向かった事例もあると思うし、児相が警察と協働して事例の解決に当たったものも少なくはないと思うのである。少なくとも、自分が虐待を受けていて、どこに相談していいかわからないと悩んだときには警察に駆け込むと少なくとも児相には連絡してくれるのではないだろうか。

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