感動感涙小説 ビェンデレラ 完結編「ポテトチップス新発売」

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登場人物
・ビェンデレラ 美しい貴族の娘。必殺技は「熱波光臨八つ裂きビーム」
・屁助(へーすけ) ビェンデレラの父。必殺技はビーム「裏霞(うらがすみ)」
・ゲベ子 ビェンデレラの継母。ビェンデレラのビームで焼き殺された。
・ブタ美 ゲベ子の娘。ビェンデレラの手刀で首を切り落とされ死亡。
・死肉食い ブタ美の妹。ビェンデレラの手刀で首を切り落とされ死亡。
・ぶぶ漬け淀魅(よどみ) 屁助の前妻。過去、昆虫生物に殺された。

(これまでのあらすじ)
継母と義姉にいじめられていたビェンデレラは、ついキレて三人を「熱波光臨八つ裂きビーム」で殺してしまった。
父の屁助は、そのことにたいして驚きもしなかった。

(本編)
ビェンデレラが継母と義姉を殺した、という情報は、すぐに王子の耳に入った。
王子は、シリアルキラーマニアだった。「マーダーケースブック」みたいな本も全巻揃えていた。
「ビェンデレラに、人を殺したときの気持ちを聞いてみたい……」
王子は熱望したが、シャイなので直接、ビェンデレラにそのことを聞く勇気がなかった。

「そうだ、ビェンデレラを城に呼ぶ口実として、舞踏会を開こう!」
王子はそう思いつき、舞踏会を企画した。

しかし何の理由もなく、舞踏会を開くわけにはいかない。

ビェンデレラは貴族の娘だから、招待状を出すことには問題がない。
そういえば、ビェンデレラの父親である屁助が舞踏会を好まないため、しばらく屁助の家に舞踏会の招待状を出していなかった。

そこで、舞踏会を開く大義名分として、
「古代ボボロベンベ王・生誕1万年」
を盛大に祝うことにした。
古代ボボロベンベ王は、この国の創始者の一人と言われているが、神話・伝説上の人物だ。
神話でも脇役に属するため、ふだんから盛大に祝われたことはあまりない。

こうして「古代ボボロベンベ王・生誕1万年記念舞踏会」が開かれることになり、その招待状がビェンデレラの元にも届いた。

「うーん、行きたいけど、お城に行けるようなドレスも、馬車もないなぁ」
ビェンデレラが悩んでいると、魔法使いポッペラレリペレが現れた。
魔法使いポッペラレリペレは、おせっかいで有名な魔法使いである。
地方都市のシャッター商店街に、勘違いしたブティックを開店するババアのような風貌をしている。
そのふだんの表情から、いかにもこにくらしい、陰険な性格が予想できた。

「私が魔法でドレスと馬車を出してあげる。その代わり、夜中の12時には魔法は解けてしまうよ」
魔法使いポッペラレリペレがそう言ったので、ビェンデレラは喜んだが、
「私がいつもいつもこんなに親切だと思っちゃいけないよ。いいかい、毎日まいにち、一生懸命、向上心を持って過ごすんだ。そして両親に感謝し、人々にも礼儀を忘れず……」
魔法使いポッペラレリペレの説教が長すぎたので、イライラして、ビェンデレラは、
「うるせぇ! ゴチャゴチャ言うな!!」
と言って、殴り飛ばしてしまった。
ものすごいパンチ力だった。
しかもスピードが速すぎて避けることは不可能だった。
「ぐぎぇっ」
魔法使いポッペラレリペレは、顔面でビェンデレラの拳を受けてしまった。その瞬間、脳細胞が沸騰しはじけ飛んだ。
魔法使いポッペラレリペレは三キロほどふっとんで、国境にある火山の噴火口に落ちて、死んだ。

「どいつもこいつもうるせぇんだよ!!」
カルシウムが不足しているビェンデレラは怒り狂い、魔法使いを素手で倒したことに興奮して、暴れ回った。
そして、そのままお城に突進した。

ビェンデレラがお城に入ったとたん、大爆発が起こり、城が粉みじんになるだけでなく、国土すべてが廃墟となった。

「ポテトチップス、新発売!!」
だれかが叫んだ。

これが「ポテトチップス戦争」の幕開けであった。

おしまい

作者あとがき
この作品を書いたとき、私にはこれ以上ない手ごたえがあった。
芥川賞受賞は確実だろう。
これで騒ぎになるのがわずらわしい。
この小説の大ヒットで大金を手にしたら、ぜんぶ歌舞伎町に新しくできたビルからばらまきます。

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