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美はどうしてそこにあるのか

睨みつけるような瞳の
どこか暗い輝きの
無限に煌めく装飾する宝石
胸元の影深く
丸き肩に宿る柔らかな夜の光
繊細を極めた装飾のドレスの
連弾に似た調べ
頬に青白くある明日
額に銀に輝く今
沈黙の饒舌たる赤い唇の魔
炎の幽遠たる白銀の耳飾り

美はどうしてもそこにある
絶望の淵より見上げる月光のごとく
抗えない日月の時の理を超えて
留める美の刹那を
悲しい調べは奏でる

我が滅びて尚知る人よ
そこにあるのは優しさだけではない
酷薄なほどの絶対
断崖絶壁の青と
最後の陽の赤
そして
どこまでも見えぬ黒
光は虹を宿しながら
闇を忘れることはない

色を聴くほどに深く
声は香りは胸に染みる
届かぬほどに尊い
かんばせの眼差しに射られ
つい忘れてしまう
かの心の白刃の思い

美しさは危うい刃
研ぐほどに鋭く
寄せ付けず脆く
そして
自らを追い詰める

佳人
どうか丸みを許容せよ
強さとは時に鈍ること
河は下るほどに濁り
豊かになることを
先鋭なるその視線の先に
見据えて
滅びの美学に騙されないで