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うるとらまんはいなかった
どこにもいなかった
僕の中にも結局いなかった
怪獣が好きだったから
どうしても
信じたくなかったけれど

それは遠い昔にはいたのだろうか
或いは遥か未来に現れるのだろうか
それとも
いつからも
いつまでもいないのだろうか

それでも光を知っていた
物心ついたころ
まだ覚えていた光があった
今でも時折過るもの
五月の青い影
静かな鳥の声
木々は涼しく風を受け
花が赤く赤く
青く青く
白く蝶となり
ひらひらと光舞う景色

見える限りの
晴れていた空に
雨は静かな慈しみを満たす
雨上がりの虹を生むために

ずいぶんと遠くなったけれど
まだつながっている徴として
ここまだ虹の見えるところ
ここにいつまでもどこか
慣れないままだけれど