見出し画像

母猫が子を見守るほどに(抒情詩)


母猫が子を見守るほどに1
母猫が子を見守るほどに2

こころ半ばで別れた
母子は今夜
どれほど寒く
震えているだろうか

一人で生きることを
強いられた子どもは
明日から
人に震え世に震え
答えを問うことすら出来ない

それでも
昏い日々を生き抜いて
いつか己の子へ
神話を伝えるために

誰にも教わることのない
言葉の行間に
人は生きるしかないのだと
刻むように日々を過ごし

眠れぬ夜明けが
求められぬままに過ぎ
無為の昼下がりが
求めて止まぬ過日に似

ある日
唐突に降り注ぐ言葉の雨に
己もまた生まれる前の父母と
等しいことを聞く
お前もまた有為にここにあるのだと

季節をその身に負い
我らの血を継ぐために
確かに生きる
連なる命の切っ先であるのだと