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詩 未だ霜は日陰に白く


未だ霜は日陰に白く
吐く息は昇らず消え
獣たちが
寒さに鳴く
冬の夕日が
眩く目を射る

背徳の美術史をなぞる
ゆびさきは滑らかに堕ちて
突然の別れ
そこに嘘など無く
あるのは唯、嗚咽
言えない言葉を
口にしようとして
どうしても言えなくて
涙が溢れて止まらない

言葉では
止められないものばかりで
わたしたちは
反発しあっている
わたしたちの内で
言葉を待たない
抗えない獣が
吠えるように血涙を流す

きっと
あなたとわたしは
人ではない
未だ、
そしてこの先もずっと
言葉に出来ない
互いの名を知らず
春になったら
消えてしまうのだろう