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【マッチレビュー】アトレティコ1-1バルサ 2018/11/25

1.スタメン
2.試合内容
 (前半)
  ○両チームの入り方
  ○機能しないバルサ右サイド
 (後半)
  ○まだまだ機能しないバルサ右サイド
  ○アトレティコの先制ゴール
  ○デンベレの投入
  ○バルサの同点ゴール
3.おわりに

1.スタメン

両チームのスタメンは以下の通り。

(WhoScored.comより)

2.試合内容

(前半)

○両チームの入り方
 ・バルサのボール出し↔アトレティコのプレッシング

バルサのボール出し(GKからのリスタート)は、CBがペナ下端に、ブスケツがペナ前に位置した形から始まる。これ対して、アトレティコはレマルが一列前へ出てプレッシングを仕掛ける。と言っても、強度は低く、前で奪ってやるというほどの意図はなかった模様。バルサは、ブスケツや降りてきたアルトゥールがテアシュテーゲンにリターン。ショートパスを繋いですんなりとゾーン2まで前進できた。

 ・バルサ保持↔アトレティコ非保持

 バルサは真ん中の選手たちを中心に、比較的自由に動き回っていたため特定のフォーメーションに当てはめるのは筋違いかもしれないが、強いて言えば2-5-1-2かなと。両SBは高い位置へ。この試合先発起用のビダルはボールサイドへ縦横無尽に動きトップ下的に振る舞っていた。セルジはメッシが外にいればIH、中に入っていればSHのように振る舞い、メッシに合わせてレーンを移動していた。
 対するアトレティコの陣形は基本的には代名詞である4-4-2。ただし、アルバが高い位置まで出てくると極力右SHのコケが対応しにいっていた(下図)。ほぼマンツーマンと言っても良い。

 ・バルサネガトカ↔アトレティコポジトラ

 バルサはネガティブトランジョンで即プレス。規則性があるわけではないが、スアレスとメッシはCBにつきにいき、ビダルがボールマンに猛然とプレッシャーをかける場面が多かったように思える。
 アトレティコは2トップへの縦パスをスイッチにカウンターを狙う。グリーズマンの落ちてパスを受けにくるタイミングは絶妙で、チームが押し上げる時間をつくる。

 ・アトレティコ保持↔バルサ非保持

 アトレティコが押し込んで攻撃している時間はあまりなかったが、保持時はSHはしぼり、SBが高い位置へ侵出する形をとる(下図)。この形には今シーズン一貫して取り組んでいるようだ。
 バルサは4-4-2。MFラインは並び順は固定ではなく、ブスケツが右に出ることもあった。

アトレティコがこの試合を通して左サイドからの攻撃で、何度か見せたのが下図のような動き。

高い位置をとるルイスにボールが入ると、セメドが食いつく。その裏のスペースをレマルが狙った。するとバルサはピケが対応せざるを得ない。CBが釣り出されるのは非常に危険だ。この試合に限らず、バルサのSBは食いつきが強い印象を受ける。

 ・アトレティコのボール出し

 アトレティコのボール出しは、一貫してコスタをターゲットにしたロングボールだった。

○コケとサウールのポジションチェンジ

 スタート時点では、コケは右SH、サウールは左CMだった。しかし、22分のFK以降入れ換わっていた。コケの展開力を攻撃に生かしたかったのか、アルバに対してサウールの守備力を買ったのか、意図は分からないが、とにかく、アルバのマークはサウールが担当することになった。

○機能しないバルサ右サイド

 左サイドを思うように使えないバルサだが、右サイドも問題を抱えているように見えた。メッシはしばしば中盤まで下がってきて組み立てに参加する。そのタイミングで右サイドから前進が始まると、メッシは裏へダッシュして深さをとることはほとんどなく、スアレスも中央へ留まっていることが多かったので、セメドやセルジはほぼバックパスしか選択肢がない状況が生まれた(下図)。

(後半)

 バルサは、前半終了間際に負傷したセルジに代わり、後半スタートからラフィーニャが投入された。

○まだまだ機能しないバルサ右サイド

 バルサの保持時は相変わらず不定形だが、強いて言えば2-1-5-2。ラフィーニャは左IH的に振る舞い、ビダルは右に回った。

 上はまだまだ機能しないバルサ右サイドの図。メッシは依然として中盤に降りるので、中盤は大渋滞。セメドが持っても選択肢は少ない。ビダルが大外に開くこともあったが、そこにボールも持っても持ち味は発揮されるわけがない。
 アトレティコはほぼ得点を匂わせないが、コスタやグリーズマンのひとりカウンターでワンダ・メトロポリターノを盛り上げる。64分にはレマルに代えてビトーロ。

○アトレティコの先制ゴール

ホームチームに待望の先制点が生まれたのは77分。CKの場面、ファーサイドに回り込んだコスタが頭で叩き込んだ。キッカーのグリーズマンは素晴らしいボールを入れた。しかし、最後コスタと競り合ってたのがラフィーニャっておい…。
ちなみに、80分にコスタは負傷交代でコレアが入る。

○デンベレの投入

追い付きたいバルサは80分にアルトゥール→デンベレ、85分ビダル→マウコムと立て続けにウインガーを投入。4トップのファイアーフォーメーション(下図)

デンベレは右の大外からドリブル突破でアトレティコを脅かす。

○バルサ同点ゴール

 バルサは90分にそのデンベレが起死回生の同点ゴール。サイドチェンジを受けたアルバが早いタイミングで中央のメッシへ浮き玉を送ると、メッシは巧みにコントロールして右のデンベレへパス。デンベレはワンフェイク入れてオブラクの股を抜いた。
 実は、この得点の前からサウールはアルバへの寄せが遅くなっていた。アルバをマークしながらSHとして攻撃にも参加し上下動を繰り返していたサウールは限界に来ていたはずだ。

3.おわりに

 アトレティコとしては、ゴディン、ヒメネスというディフェンスリーダー欠く中で悪くない結果を得たのではないか。鉄板の4-4-2はもちろん堅かったが、個人の守備も素晴らしい。特に、SHによる、SBに対して縦のパスコースを切りながらの寄せは迫力があった。それに、個人的にはシメオネがアルバにどう対応するかに注目していたが、4-4-2にこだわりすぎずにマークをつけたのは良かった。ただし、結果論ではあるが、終盤、負担の多かったサウールを交代させるべきだったのではないかと思う。
 メッシは最強だった。抱きついてくる相手を引きずりながらドリブルしていくボディバランスは意味がわからない。しかし、メッシの中盤参加はこれだけ引いている守備を前にすると、逆に攻撃を停滞させる原因にもなりうると感じた。バルサは、メッシの中盤参加を認めるのであれば、前線で幅と深さを取ることで脅威になれる選手を起用すべきだと思う。そういう意味で、デンベレの投入は正解だった。むしろ、最初からそうすべきでは?ってかまてよ…これってペップバルサの“偽9番”システムっぽい…。

最強の矛盾対決は、采配の成功・失敗からも目の離せないゲームとなった。

今日はここまで。

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